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今回の学習内容

第5回 家族

家族と法律

講師:東京都立三田高等学校主任教諭 藤野 圭紀
法律とは、社会の秩序を保つために必要な取り決めを定めたものであり、人は一生を通してさまざまな法律にかかわっていきます。家族と法律のかかわりについて考えていきましょう。

学習ポイント

 家族と法律
家庭科シアター
家庭総合第5回純1家庭総合第5回純2家庭総合第5回純3

純くんたちが拾ったものは…婚姻届!
それは、ハムスターのハム夫とハム子の落し物でした。
さっそく返してあげたのですが、当のハムスターたちは…?

    家族と法律
    家庭総合第5回コウタ家庭総合第5回コナン家庭総合第5回先生

    さて、ハムスターがどうかは置いておいて!
    人の男女は婚姻届を出してしまえば夫婦になれます。
    双方の同意と証人の署名があれば、男女は婚姻届を出すことで夫婦になることが
    できると法律で定められているのです。

    実は結婚に限らず、家族に関するいろいろな法律があります。
    今回は家族と法律について学んでいきましょう!

      ポイント1【法律から見た家族】
      家庭総合第5回ポイント1家庭総合第5回家族法家庭総合第5回クイズ

      家族について定められている法律のことは一般に家族法とよばれています。

      例えば、
      民法(親族編、相続編)、戸籍法、学校教育法、育児・介護休業法、
      児童虐待防止法、DV防止法、家事審判法
      、などなど
      さまざまな法律によって“家族”はいろいろな場面に対応できるように定められています。

      番組では「家族法クイズ」を行いました。
      この回の学習メモにも載せてあるので、みなさんもやってみてくださいね!
      ちなみに、コナンちゃんは7問中5問正解でした!

        ポイント2【現代の家族と法律】
        家庭総合第5回ポイント2家庭総合第5回婚姻届1家庭総合第5回婚姻届2

        次に、現代の家族法の成り立ちについて考えてみましょう。
        例えば家族法に定められているものの一つとして、今回は“結婚”に注目してみましょう。

        さて、婚姻届には
        夫婦になる二人が記入する項目が左右に分かれて同じように並んでいます。
        そして、どちらの苗字を名乗るかも、婚姻届に記入します。

        このように、今では結婚の申請は男女平等になるように考えられています。
        しかし、昔はそうではありませんでした。
        そこで今回は、昔の結婚制度について紹介します!

          家庭総合第5回光明寺1家庭総合第5回光明寺2家庭総合第5回光明寺3

          神奈川県鎌倉市にある光明寺。
          1243年創立の歴史ある仏教のお寺です。

          お寺と結婚の関係は何だと思いますか?

          昔は、その人の身分や財産を記した人別帳をお寺の戸籍所に登録していました。
          そして結婚の際も、お寺で登録する形だったのです。
          というのも、江戸時代の日本では多くの人が仏教を信仰していて、
          信者は檀家としてお寺に管理されていました。
          江戸幕府はそこに目を付け、お寺に戸籍を管理させたのです。

          当時は封建社会で士農工商という職業分類も明確だったため、
          身分が違うと結婚することも難しく、さらに離婚するのも大変でした。

          また、三行半(みくだりはん)という言葉があります。
          夫婦のどちらかが相手に対して愛想を尽かしたときに三行半をつきつける、
          なんて聞いたことがありませんか?
          三行半とは離縁状、今で言う離婚届のことです。
          3行半で書かれることが慣習になっていたため、
          そう呼ばれるようになったと言われています。

            家庭総合第5回離婚届家庭総合第5回家族法の移り変わり家庭総合第5回戸籍

            さて、現代に戻って考えてみましょう。

            今は基本的に男女それぞれの同意があってはじめて離婚できるようになっています。
            結婚や離婚に限らず、家族の法律は時代と共に変化していきました。
            今の家族法は、戦後に規定された憲法24条「個人の尊厳と両性の本質的平等」
            の理念に基づいて作られています。

            ところで、「戸籍」という言葉に「戸」という漢字が使われていることでもわかるように、
            日本では家単位で籍が管理されています。
            しかし、世界では個人単位に管理される国がほとんどで、
            これは日本の家族法の大きな特徴です。

              コナンのこんな生活
              家庭総合第5回コナン1家庭総合第5回コナン2家庭総合第5回コナン3

              一人暮らしも少し落ち着いてきたコナンちゃん。
              今日は住民異動届を出しに役所へ行きました。
              この届けは転入の日から14日以内に出さなければなりません。

              無事手続きも完了!
              ごみの分別方法など、その地域での生活に必要な情報も手に入りました!

                ポイント3【民法改正への動き】
                家庭総合第5回ポイント3

                さて、1947年に民法が改正されて60年以上が経過し、
                現在の社会に合わなくなっているという論議が広まっています。

                一例として、東京都に暮らすあるお母さんのお話について考えてみましょう。

                  家庭総合第5回民法改正1家庭総合第5回民法改正2

                  このお母さんには、高校生の長女、2歳の次女、今年生まれたばかりの長男の
                  3人の子供がいます。
                  実は、彼女は前の夫と別居生活の後、3年前の4月に離婚しました。
                  それから3ヵ月後、現在のパートナーとの間に次女を授かりました。

                  しかし、日本では離婚後300日たたずに生まれた子供は前の夫の子供になると
                  民法で定められています。
                  そのため、次女は本当の父親ではない前夫の娘として届けなければなりませんでした。
                  そして本当の父親の子供として届け出るためには家庭裁判所に調停を申し出て、
                  前の夫との親子関係がないことを証明しなければなりませんでした。
                  また、無事に証明されても、子供の戸籍には前の夫との親子関係がないことを証明する記述が残ります。

                  みなさんはこの問題について、どう考えますか?

                    家庭総合第5回離婚後300日家庭総合第5回民法改正そのほか

                    離婚後300日経たないで生まれた子供は前の夫の子供として扱われるという法律は、
                    もともと生まれてきた子供の父親が存在しないという事態を避けるためのものでした。

                    しかし、科学技術の発達で300日待たなくても父親が誰であるか判断が可能となり、
                    また生活様式も変化したため、さまざまな問題が指摘されていて改正が望まれているのです。

                    この他にも、再婚禁止期間短縮、夫婦別姓、男女の婚姻年齢の統一、
                    婚内子・婚外子の相続分の平等
                    など、民法改正を望む声はいろいろとあります。

                      我ら学校家庭クラブ
                      家庭総合第5回家庭クラブ1家庭総合第5回家庭クラブ2家庭総合第5回家庭クラブ3

                      学校家庭クラブとは、家庭科の学習を発展させて、家庭や地域に生かそうという活動です。
                      ふだんの生活の中から課題を見つけて改善したり、地域の問題に取り組んだりと、
                      内容はさまざまです。
                      毎日の生活の中には「家庭科」がたくさんあります!
                      NHK高校講座「家庭総合」では、
                      学校家庭クラブの活動を紹介していきます!

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