2011年7月29日 11時36分 更新:7月29日 11時46分
政府の国家戦略室は、原発が全基停止した場合、来夏の電力供給量はピーク時の需要に対して9.2%(1656万キロワット)不足するとの試算をまとめた。29日午後に開く「エネルギー・環境会議」(議長、玄葉光一郎国家戦略担当相)で説明する。
戦略室は、国内の全原発が定期検査後に再稼働できない場合、来年5月には全基が停止すると想定。火力発電所などを最大限稼働させても、来夏には東日本で約10%、西日本で8%のピーク電力が不足するとの試算を説明する。
同会議ではこの試算などを踏まえて議論し、国民生活や経済への影響を最小限にとどめるため計画停電は回避し、一層の節電努力や規制緩和で乗り切る方針を確認する見通し。政府はこれを受け、発光ダイオード(LED)照明や蓄電池などの普及促進策を導入する考えで、関連予算を11年度第3次補正予算案や12年度予算案に計上する。
また同会議では、原発への依存度引き下げに向け、中長期的な対応策も協議。東西の周波数の違いなどから電力大手間で電力を融通しづらい体制を見直すことや、電力大手の発電部門と送電部門を切り離す「発送電分離」も今後の検討課題として議論する。【宮島寛】