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ESSAYS

6 メキシコ旅行記 其の壱

 私の作品の根底に流れている古代の遺跡的雰囲気は単純に私がそう言うものが好きだならなのです。で、古代遺跡フリークの私にとってメキシコは絶対にいつかは行ってみたい国のひとつでした。そして2001年夏、とうとう行ってきましたよと、いうわけでちょっと報告いたします。

 メキシコシティーに着いたのは夕方5次頃。その日はあいにく雨模様でしたが、メキシコに来た僕達をアンヘル・デラ・インデペンデンシア(メキシコ独立記念塔)が出迎えてくれました。写真が小さくてみにくいと思いますが塔の頂上に天使の像があります。ライトアップされていてなかなか神秘的でした。
 この晩あっちこっち歩き回っていたらすっかり道に迷ってしまい、ずぶ濡れになってしまいました。この時期は雨季なのだそうで、夕方から夜にかけて雨が降ることが多いようです。
 結局この後妻の体当たりスペイン語と日本語を話す現地青年のおかげで無事ホテルに戻ることができました。
 翌日テオティワカンに行く途中に立ち寄ったのがグアダルーペ寺院。メキシコでは巡礼地として有名で、キリスト教徒ならば一度は訪れたいところらしい。1531年12月9日に褐色の肌の聖母が出現し、この地に寺院を建てるようにとのお告げと、奇跡の証であるバラの花(12月には咲かない)を与え、様々な奇跡を起こしたとか。そのバラの花を包んだ布にはその褐色の聖母像が浮かび上がり、それがこの寺院の「御神体」となっています。
 まあ、どうみても誰かが描いた物にしけ見えないのですが、現地の人たちはその聖母の姿の「浮き出た」布の前でひざまづいて祈ったり涙を流したりしていました。今までにいろいろな国に行きましたがその度に、信仰が生活の基盤になっていない日本という国について考えされられます。
 これがグアダルーペ関連グッズ。色彩感覚がちょっと違います。金、銀を多用していて、特にグリーンが印象的。ちょっとエル・グレコっぽい感じもします。面白いのは、昔のお菓子のオマケのように見る角度によって違った絵が出てくる聖母像。結構シュールです。夜トイレに行く時に前を通りすぎると絵がパッと変わったりすると結構コワイかも。
 寺院の建物、前の広場の雰囲気なんかはやっぱりスペインに似ていますが、スペインには無い泥臭さみたいな物を感じます。例えば寺院の周辺には物乞いがたくさんいて、結構しつこく手を伸ばしてくるのです。目が白く濁ってしまった骨と皮だけのような老婆が結構ずうずうしく物乞いをする姿とギラギラした聖母の複製画の輝きが妙な対照を成していました。
 さて、次は今回のメキシコツアーの最初の山場、テオティワカンです。この遺跡を見たくてメキシコに来たと言っても過言ではありません。はっきり言ってグアダルーペ寺院で時間が過ぎるのがもったいなかった。(笑)
 テオティワカンはメキシコシティーから車で1時間弱のところにある標高2000mの超巨大遺跡。メキシコ名物のサボテンの間からその壮大なピラミッドが現れてきた時には「ゾクゾク」っとした興奮を覚えました。
 エジプトのギザの三大ピラミッドを見に行った時には、カイロ市街のビルの合間から突然ピラミッドが出現し、その違和感に却って驚きを覚えましたが、今回のこのピラミッドの出現はいかにもこれから聖地へと足を踏み入れるのだという期待感を抱かせました。
 で、とうとう念願のテオティワカンのピラミッドの前に来たので記念撮影。後ろに見えるのは高さ46メートルの月のピラミッド。階段を上っている人の大きさからそのスケールがわかるでしょうか?
 テオティワカン文明は紀元350年から650年に栄え、その後突然消えてしまったという謎に包まれた歴史を持ちます。しかしその文明がどんなに高度であったかはこのピラミッドの壮大さが雄弁に語っていると言っていいでしょう。
 エジプトのピラミッドが神のために作られた物だとすると、このピラミッドは神と人を繋ぐもののように見えます。それはこのピラミッドが階段を持っていて、人々が登ることができるからかも知れません。2000メートルの高地に更に山を築いて少しでも近くに神の声を聞こうとしたかのように見えました。
 せっかくなので月のピラミッドに登ることにしました。見ての通りものすごく急で、しかも一段が結構大きいので登るのには苦労します。おまけに2000メートル以上の高地というせいもあってか、息が切れるのが早い。ちなみに写真に写っているのは妻ですが、最初は元気だったものの頂上にたどり着くと息切れで気持ち悪くなってました。(笑)
 以前どこかに旅行した時に飛行機で私の隣に座っていた人が「テオティワカンとかさ〜、若いうちでないと行けないから行っておきたいよね〜」と言っていたのを思い出しました。確かにお年を召した人にとってはかなりキツそうでしたね。 
 やっとの思いで頂上に上るとなぜか犬が。しかもその犬は遺跡を感慨深げに見入っているようです。犬もやっぱり「すげえな〜」とか思っていたのでしょうか?それとも実はこの犬の前世がテオティワカン人で、「そういえば前はここで神官だったな〜」とか思っていたのでしょうか?いずれにしても不思議な風景だったので写真に撮っておきました。
 犬の見つめているのが「太陽のピラミッド」そして右手奥に向かって伸びている参道が「死者の道」です。死者の道、という名を聞くとこの犬がエジプト文明の死をつかさどる神、アヌビスに見えてきます。
 ピラミッドというエジプト文明との類似点を持つメキシコの古代文明はグラハム・ハンコックの言う通り、アトランティス文明の名残なのでしょうか?
 さてさて、テオティワカンを後にして次の目的地に行く途中で市場を見つけて立ち寄りました。このあたりはマヤ民族がたくさんいて、独特の民族衣装を身にまとっています。写真の中央にいる女性が着ているのがそれです。
 マヤの人たちは背と鼻がが低く、ちょっとずんぐりしているのですぐにわかります。
 メキシコシティーは車の排気ガスでどんよりしていたし、テオティワカンは色彩がグレーと緑中心でちょっと枯れた感じだったので、この村に入って目に飛びこんできた色彩の豊かさに心が安らぐ思いでした。
 どの国に行っても市場っていいですね。その国が最も生き生きして見える場所です。あ、そういえばこのあたりでは日本人が珍しいらしく、随分ジロジロ見られました。

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