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ESSAYS
7 メキシコ旅行記 其の弐
延々と車に乗って次に目指すはユカタン半島北部にあるマヤの遺跡ウシュマル。ここにもピラミッドがあると聞いて登る気満々だったのですが、いつまでたっても着かない。ず〜っとこういうまっすぐな道が続いていて運転手が眠っちゃうんじゃないかと思うくらい。 ちなみにこの時の運転手は現地の英語ガイドだったのですが、この人の英語がまたものすごいスペイン語混じりで何言ってるかわからない。「コーラルがまだ残っている」とか言うので珊瑚が残っているのか?と思ったら実は color でした。その他にも jaguar は「ジュガール」だったりして慣れるのに時間がかかりました。 でもすごく素朴な人で、生まれたばかりの娘の写真をいとおしげに見せてくれたりしました。 |
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ウシュマルの遺跡に向かう参道で野生のイグアナに遭遇しました。体長60センチくらいでしたが、野生で見るのは初めてなので感動。恐る恐る触ってみたりして。 よく見てみるとあちこちにいて、割とノロノロ動いていました。周囲の色によって皮膚の色が変わるらしく、この写真のイグアナは石のようなグレーですが、木陰にいたものは艶のある緑色でした。 この日はとにかく陽射しが強くてメチャメチャ暑かったせいかイグアナも岩の陰などに隠れていました。通り掛かりのアメリカ人らしい女性はふとイグアナを見てしばらく「なんだ?」といった感じで見つめ、その後ものすごい悲鳴をあげてました。結構かわいかったけど。 |
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そしてこれがウシュマルの通称「魔法使いの」ピラミッド。中央には幅の広い階段があって頂上まで続いているのですが、現在は登ることができません。 このマヤの遺跡は時代的にはテオティワカン文明と同時期のものなのですが、テオティワカンのものよりも傾斜がきつく、寸胴で無骨な感じです。テオティワカンの遺跡が洗練された大都市であるのに対して、ウシュマルのピラミッドはジャングルの中に力強く忽然と姿をあらわしたような不思議な魅力があります。まさに空にそびえたつ、といった感じで見るものを圧倒する迫力があって、妻はテオティワカンよりもこっちのほうが気に入った様子でした。 観光客がそんなにいないのもいいところ。テオティワカンがエジプトの三大ピラミッドだとすればウシュマルは階段ピラミッドと印象が重なるような気がします。 |
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ウシュマルはこんな感じでジャングルに隠れているのです。ちょっと連想したのは「風の谷のナウシカ」。滅んだ文明がジャングルに覆われて静かに朽ちている様子がなんとも魅力的です。この遺跡はなぜだか人のいた雰囲気を想像しやすく、ある意味での「生活感」が漂っています。人のぬくもりみたいなものなんでしょうか?テオティワカンはもう少し冷たい印象でした。 でもそれってひょっとしたら単に訪れた時の気温の影響だったりして。テオティワカンは標高も高かったし、風も強かったのでちょっと肌寒かったんですね。ウシュマルは見ての通り快晴で湿度もたっぷりあったし、緑も多かったんでそう感じただけなのかもしれませんが。 それにしても、なんてすごい風景でしょう。360°一面緑の地平線からひょこっとピラミッドが頭を出しているんですよ。 |
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これは壁面のレリーフです。よくわからないかもしれませんが顔が連続して彫られています。これはチャックと呼ばれる雨の神様なのですが、雨の少ないこの地方では雨乞いの神として崇拝されていたとか。 様々な古代文明のレリーフにはこのような同じ文様の繰り返しが見られますが、このように判で押したように同じものが並ぶと妙に気持ちいい感じがします。 ウシュマルには他にも尼僧院や総督の宮殿、大ピラミッドなど魅力的な建造物がありました。特に大ピラミッドから眺めるユカタン半島の緑のパノラマは壮大で思わず息を呑むばかり。 ところがこの日はとにかく暑くて湿度も80%という日だったので汗びっしょりになってしまい、最後に車まで歩いて戻るのがとにかく大変でした。日本の夏よりもつらかった。 |
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あまりの暑さにバテバテになったので昼食をとることに。手作りのトルティージャや鳥のグリルといった伝統的なマヤ料理を堪能しました。食事の後で店の主人にソンブレロをかぶらされて、テキーラの一気飲みをさせられているところです。これはよくある観光客のもてなしなんですけど。 酒は苦手なのですが、このテキーラはカルーアが入っていて甘くて飲みやすかったです。しかしやっぱりテキーラ。しばらく経つと足が少しふらつくじゃありませんか。全然脈拍とか変わらないのにいきなり足にくるとは怖い酒だ。 ここで食事をとった後でさらにユカタン半島を北へ80キロ離れたメリダという町を目指します。またまた延々まっすぐの道を車を走らせましたが、猛暑の中ピラミッドに登ったりテキーラを飲んだりですっかり眠ってしまいました。 |
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メリダに夕方たどり着くとちょうどその日が祭りの日だったようで、町の中央広場みたいなところでは人々がメキシコっぽい管楽器の伴奏に合わせて踊っていました。老若男女問わずほとんど町中の人が踊ってるんじゃないかと思うくらいの人数でした。なんでもこの踊りは朝まで続くのだとか。 いろいろな出店も出ていたり、素人のピエロが大道芸みたいなのをやっていたりしました。このメリダと言う町はスペイン植民地時代の名残を多く残した町ですごく味わいがあります。 町で買い物をしようにも英語が全く通じなくて困りました。煙草を買うのにも一苦労。値段をスペイン語で聞くまではいいのですが、向こうから返ってくる返事がさっぱりわからない。 いや〜、英語ができても役に立たないともあるんですね。 |
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下はチーズ味のクレープみたいなのを焼いてくれるお菓子やさん。安くておいしかった。そのお菓子を焼いているのは10歳くらいの男の子です。ちょっと見にくいですが、右側にマヤの民族衣装を着たおばあちゃんが立っています。 | 人形遣いのおじさん。というよりおもちゃを売ってる屋台のおっちゃん。子供達が興味深げに見ていましたが、カメラを向けたら逃げちゃいました。なんだか悪いことをしたような気が… |
ホテルへの帰り道でふと立ち寄った露店のお姉ちゃん。この2人は手作りのアクセサリーを売っていたのですが、なかなかセンスの良いものを置いていました。結局黒曜石の矢じりがペンダントヘッドになったネックレスと、琥珀のついたブレスレットを買いました。両方とも素朴でいい雰囲気を持っています。 この2人は訛りのあまり強くないきれいな英語を話したので交渉もスムーズにいきました。ついでに2人とも結構かわいかったので記念に写真を撮らせてもらいました。 メリダは当初ただの宿泊地の予定でしたが、思わぬ祭りに遭遇してラッキーでした。賑やかな祭りの余韻を残す町を後にしてホテルに帰るのはちょっともったいないくらいでした。 翌日メリダを後にしてさらにユカタン半島を北上、チチェン・イツァーの遺跡を目指しました。 |