2007-01-14
■ [本] 『下流喰い 消費者金融の実態』須田慎一郎(ちくま新書)

違法貸金業、通称「闇金」での多重債務の果てに、新宿・歌舞伎町の「おんな市」で違法風俗業者の競りにかけられる女性たち――。この信じられないような現実を、著者は潜入取材で目の当たりにする。多重債務者が350万人に達すると言われる一方、消費者金融業界は増殖を続け、メガバンクは業界大手に多額の資金を注ぎ込む。しかしその餌場となるのは、いわゆる“下流”と呼ばれる低所得者層なのだ。著者はこうした負の連鎖を引き起こす仕組みを「悪魔のビジネスモデル」と呼び、グレーゾーン金利やそれを放置してきた行政の怠慢にメスを入れる。また、巨額の広告費を支払う消費者金融業界に対して多くのマスメディアが及び腰であり、時には批判が封殺されることもあると痛烈に抗議する。