東京電力福島第1原発事故で、経済産業省原子力安全・保安院は13日、事故発生当初に1号機の格納容器の圧力を下げるベント(排気)が失敗した場合、敷地境界での被ばく線量が「数シーベルト以上に達する」との試算を、3月12日に実施していたと発表した。数シーベルトを全身で一度に浴びると死ぬ恐れがある。
ベントが難航していた12日午後1時ごろ、保安院職員が試算の文書を作成。官邸にいた平岡英治・保安院次長(当時)に知らされ、原子力安全委員会に文書がファクスされた。
試算では、ベントできない状態が続くと、約10時間後の同日午後11時には格納容器内の圧力が上限値(約4.2気圧)の3倍に達して格納容器が破損。大量の放射性物質が放出されると想定した。被ばく線量は敷地境界で数シーベルト以上となり、気象条件次第で原発から3~5キロで「著しい公衆被ばくの恐れがある」と記している。
東電などによると、1号機は3月12日午前0時6分、格納容器内の圧力が上限値を上回る6気圧になった。午前9時ごろからベント作業を開始。作業に手間取ったが、保安院は「後に格納容器の圧力低下が確認された」としている。【岡田英】
毎日新聞 2011年9月14日 0時28分