2011.9.27
核兵器事故も多発していた
「逝きし世の面影」さんからいただいたトラックバック記事「後は野となれ山となれ」を読んで、核兵器関連の事故が、過去に多数発生していたことを知らされて驚いた。出典は必ずしもすべて明らかではないのだが、時系列に詳細な一覧表を示しており、沖縄沖での核爆弾水没事故など、これまで問題にされてきた事件も含んでいる。
考えてみれば、安全第一で運転している商業用原子力(原発)でさえ事故が起きるのだから、実用第一で運用される軍事用原子力で事故が起きるのは当然なのだろう。米ソ冷戦がピークだった1960年代には、核爆弾を積んだアメリカの爆撃機が、常時12機以上もソ連国境沿いに飛行して核戦争の勃発に備えていたのだ。毎年複数回の事故が起きるのは不思議ではない。
この資料によると、1950年から1986年までの37年間に、61件の深刻な事故があり、内33件は航空機関連だった。核を積んだまま墜落した爆撃機もあるし、核爆弾だけを投棄した例もある。回収できなかった爆弾も少なからずあり、少数だが核物質の拡散を招いた例もある。
それに次いで多いのが原子力潜水艦の事故で、ソ連の潜水艦には、核爆弾、原子炉ともに沈没して回収されていないものがある。意外なほど多いのがアメリカとソ連の潜水艦が衝突した事故で、5件がリストに載っていた。しかし両国ともに厳重な軍事機密なので、詳細はわからないことが多いという。
1992年以降はアメリカが海外の核を撤去する政策に転じたため、軍事的核事故は報告されていないということだが、それで安心というわけには行かないだろう。海底に沈んだ核爆弾や原子炉は、いつまでそのままの形でいられるのか。中身のプルトニウムが、とんでもない後世に溶け出して海水を汚染したりしないだろうか。
劣化ウラン弾は依然として使われているし、地下の核実験もある。なによりも過去に無数に繰り返された核爆発実験の放射性物質は、今も地球を覆っているのだ。脱原発はすでに現代の常識だと思うが、軍事用の核からも脱却しなければ人類の未来は安全にならない。これはもう軍事問題ではなくて、人類生存の問題になる。
Comments: (1)
2011.9.27 13:30:20 | hamham : 私達も人類の端くれとして、目の黒いうちに、この汚染された地球をクリーンにして次世代に渡したいです。これからの若者達といえば、学校は、国定哲学・情緒で左右されるようなことなく、自由で内容ある学校教育に腐心してもらいたいものです。そうでなければ、目先だけにとらわれずに、スケール大きく、根本的に人間、社会、歴史を考えて為政を行うような政治家が育たないと思います。 |
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