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戦後民主教育を破壊してしまったために生じた国家の困難

五十嵐仁の転成仁語
最近、つくづく思うんです。日本という国は、どうしてこんなに酷くなっちゃったんだと……。

なかでも、一番酷いのが政治と政治家。でも、それを選んでいるのは、われわれ有権者なのですから……。

小泉首相以後、安倍、福田、麻生と自民党の首相3人が1年ずつ続きました。その後、政権が交代して、鳩山、菅と、また1年ずつの首相が続いてきました。

何とか長続きして欲しいものだという期待の下に出発した野田新首相ですが、どうもいけません。来年の秋まで持つかどうか。

野田さん自身は「安全運転」を心がけ、なるべくしっぽを捕まれないようにしているようです。でも、最も政治のリーダーシップが求められている「危機の時代」に、そのようなことでトップリーダーとしての責任が果たせるのでしょうか。

問題は首相だけではありません。大臣や議員にも「こんな人が」と言いたくなるような人が沢山います。

「法務大臣は二つの言葉だけ覚えていれば良い」と言って辞任に追い込まれた柳田法相、上から目線での傲慢な発言で辞任させられた松本復興相、「死のまち」発言と「放射能つけじゃうぞ」というおふざけで辞任に追い込まれた鉢呂経産相などが相次ぎました。その他にも、「これが大臣か」と思われるような人も見受けられます。

このような政治家がどうして生まれたのでしょうか。どうして、このような政治家が選ばれるようになってしまったのでしょうか。

これについては様々な背景があるでしょう。小選挙区制の罪については、すでに書きました。

もう一つ、大きな背景として指摘したいのが、教育とマスコミの罪です。これこそが、政治家と有権者の劣化を進めてきた責任を追うべき二つの領域であるように思われます。

長期的に言えば、自民党と文部省(文科省)が一貫して進めてきた「教育改革」が戦後民主教育を破壊し、かつて狙われた「期待される人間像」を現実のものとしてきました。短期的に言えば、マスコミのセンセーショナリズムと右傾化が、これを抑制する力を奪い、国民の愚民化に輪をかけてきたのではないでしょうか。

芸人を鍛えるのが観客の目であるように、政治家を鍛えるのは有権者の眼です。観客の芸を見る目が衰えれば芸人は育たず、有権者の政治を見る目が充分でなければ政治は劣化します。

このような政治を見る目を鍛え育てるのは、教育とマスコミの役割にほかなりません。しかし、日本の教育とマスコミは、逆の機能を果たしてきたのではないでしょうか。

その結果、東京では石原慎太郎都知事、大阪では橋下徹府知事、名古屋では河村たかし市長が、行政のトップに選ばれています。有権者の政治家を見る目がどのようなものであったかは、これらの事実に示されています。

マスコミでも、日本で最も読まれている新聞は、改憲論を主張している『読売新聞』です。極端な右よりの主張で知られている『産経新聞』も、経営が成り立つほどの読者を得ています。

中立と見られている『日経新聞』も、9月19日の6万人が集まった脱原発集会をほとんどまともに報じませんでした。国民の受信料で成り立っているNHKも同様です。

6万人もの人が、焦眉の問題である原発について自らの主張を掲げて行動に立ち上がった事実を、きちんと報道する姿勢を持てなくなっているということです。

これで、どうして民主主義を励まし、政治を活性化することができるでしょうか。

週刊誌には、もっと酷い例もあります。日本の世論を右寄りに引っ張ってきた『週刊新潮』と『週刊文春』の役割は犯罪的であると言うべきでしょう。

たとえば、『週刊新潮』9月1日号では、「露出度が4倍になって山本太郎 反原発は儲かるか!」という記事が掲載されています。実際には、ドラマなどから干されたため、情報番組への出番が増えても収入は十分の一に減ったそうです。
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