執行猶予付き禁固判決の意味
マスコミは3人の被告が有罪になるかそれとも無罪判決が言い渡されるか、ということに専ら関心を持って報道していたが、虚偽記載の事実そのものは争い難い事案であったから弁護団として法廷戦術として徹底抗戦を続けていても、裁判所が有罪判決を言い渡すのは想定の範囲内だったと思う。
記載があるかないかということは政治資金収支報告書の記載を見れば一目瞭然だから、その法的な評価について弁護団がどんなに周到に大弁論を繰り広げても裁判所の法的な判断・評価を覆すのは難しい。
問題は、否認をすることによって情状酌量が認められなくなり判決に執行猶予が付かなくなるかどうかというところにあった。
3人が3人とも執行猶予付き禁固判決になったのだから、裁判所は相当程度情状を酌量したということだ。
犯罪の成立を争って無罪を主張する被告の情状をどこに求めるかというのは、結構難しい。
まだ判決の詳細が明らかになっていないが、おそらく犯行の態様に悪質性が乏しいということだろう。
本件では違法行為を行った被告は何ら個人的利得を得ていない、本来裁かれてもおかしくない本件違法行為によって得られる実質的利得が帰属する者について罪が問われず、その使用人のみが罪に問われることの不権衡、不条理、などのことが実質的に勘案されて、実刑判決を言い渡さなければならないほどの悪質性は認められないと判断されたものと思う。
否認して有罪になっても情状酌量の余地がある、ということである。
実刑判決と執行猶予判決とでは天と地ほどの違いがある。
大久保被告と石川被告は当然控訴するだろうが、一番犯情の軽微な、本来起訴猶予になってもおかしくなかった池田被告が控訴をするかどうかはよく思案した方がいいだろう。
そこまで付き合ってもご本人には余りいいことはない。
そこまで付き合う義理があるのであればやむを得ないが、言ってみれば巻き込まれ交通事故みたいなものである。
立場立場でこの判決の受け止め方は変わってくるが、執行猶予が付くような事案であったら、最初の段階での対応を間違えなかったら起訴猶予や略式の罰金、ということもあったはずだ。
有罪は有罪だが、この判決で被告3人が厳しく断罪された、とは多分言えないだろう。
判決の詳細が分かった段階で改めてこの問題を取り上げるつもりだ。
参考 毎日新聞配信記事
.<陸山会事件>小沢元代表の元秘書3人に有罪判決
毎日新聞 9月26日(月)13時36分配信
小沢一郎・民主党元代表(69)の資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡り、政治資金規正法違反(虚偽記載)に問われた元秘書3人の判決で、東京地裁(登石郁朗裁判長)は26日、元事務担当者で衆院議員、石川知裕被告(38)に禁錮2年、執行猶予3年(求刑・禁錮2年)、後任の元事務担当者、池田光智被告(34)に禁錮1年、執行猶予3年(同・禁錮1年)、元公設第1秘書、大久保隆規被告(50)に禁錮3年、執行猶予5年(同・禁錮3年6月)を言い渡した。
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1 ■小沢サイドのマスコミ側は、
元秘書は『無罪』だ、そういう論調の報道解説が多かったが、裁判所側の判断は『レッドカード』だった訳で、これも親小沢側と裁判所側の『見解の相違』と云う事なんでしょうね。