2011-09-26 14:24:35 テーマ:---

執行猶予付き禁固判決の意味

陸山会政治資金収支報告書虚偽記載事件について、先ほど東京地裁が小沢氏の秘書や元秘書に対して執行猶予付き禁固刑を言い渡した。

マスコミは3人の被告が有罪になるかそれとも無罪判決が言い渡されるか、ということに専ら関心を持って報道していたが、虚偽記載の事実そのものは争い難い事案であったから弁護団として法廷戦術として徹底抗戦を続けていても、裁判所が有罪判決を言い渡すのは想定の範囲内だったと思う。

記載があるかないかということは政治資金収支報告書の記載を見れば一目瞭然だから、その法的な評価について弁護団がどんなに周到に大弁論を繰り広げても裁判所の法的な判断・評価を覆すのは難しい。

問題は、否認をすることによって情状酌量が認められなくなり判決に執行猶予が付かなくなるかどうかというところにあった。
3人が3人とも執行猶予付き禁固判決になったのだから、裁判所は相当程度情状を酌量したということだ。

犯罪の成立を争って無罪を主張する被告の情状をどこに求めるかというのは、結構難しい。

まだ判決の詳細が明らかになっていないが、おそらく犯行の態様に悪質性が乏しいということだろう。
本件では違法行為を行った被告は何ら個人的利得を得ていない、本来裁かれてもおかしくない本件違法行為によって得られる実質的利得が帰属する者について罪が問われず、その使用人のみが罪に問われることの不権衡、不条理、などのことが実質的に勘案されて、実刑判決を言い渡さなければならないほどの悪質性は認められないと判断されたものと思う。

否認して有罪になっても情状酌量の余地がある、ということである。
実刑判決と執行猶予判決とでは天と地ほどの違いがある。

大久保被告と石川被告は当然控訴するだろうが、一番犯情の軽微な、本来起訴猶予になってもおかしくなかった池田被告が控訴をするかどうかはよく思案した方がいいだろう。
そこまで付き合ってもご本人には余りいいことはない。
そこまで付き合う義理があるのであればやむを得ないが、言ってみれば巻き込まれ交通事故みたいなものである。

立場立場でこの判決の受け止め方は変わってくるが、執行猶予が付くような事案であったら、最初の段階での対応を間違えなかったら起訴猶予や略式の罰金、ということもあったはずだ。
有罪は有罪だが、この判決で被告3人が厳しく断罪された、とは多分言えないだろう。
判決の詳細が分かった段階で改めてこの問題を取り上げるつもりだ。

参考 毎日新聞配信記事

.<陸山会事件>小沢元代表の元秘書3人に有罪判決
毎日新聞 9月26日(月)13時36分配信

 小沢一郎・民主党元代表(69)の資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡り、政治資金規正法違反(虚偽記載)に問われた元秘書3人の判決で、東京地裁(登石郁朗裁判長)は26日、元事務担当者で衆院議員、石川知裕被告(38)に禁錮2年、執行猶予3年(求刑・禁錮2年)、後任の元事務担当者、池田光智被告(34)に禁錮1年、執行猶予3年(同・禁錮1年)、元公設第1秘書、大久保隆規被告(50)に禁錮3年、執行猶予5年(同・禁錮3年6月)を言い渡した。

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コメント

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1 ■小沢サイドのマスコミ側は、

元秘書は『無罪』だ、そういう論調の報道解説が多かったが、裁判所側の判断は『レッドカード』だった訳で、これも親小沢側と裁判所側の『見解の相違』と云う事なんでしょうね。

2 ■判決雑感

検察側コメント(判決前)
『客観的に見て、収支報告書にうその記載があったことは間違いないので、無罪になることはありえないと思っている。バタバタしても仕方が無いので、淡々と判決を待つしかない』

とうとう判決が出ました。
私も早川氏と似たような感想です。
この判決を見ると、検察は虚偽記載を指摘したいがために起訴した格好となってしまった。
検察が不当な取調べ手法まで用いて立証しようとした違反の動機が認められないとなれば、もうこれはただの形式的な違反に過ぎないのです。
恐らく、他の国会議員も、検察にここまで徹底的に調べられたら、記載ミスの一つや二つ出てくるでしょう。
現職の国会議員を当選後初の通常国会直前に逮捕することを正当化するような違反事実とは全く異なる判決が出たという印象です。

検察、メディアによる『小沢つぶし』によって、国益は大きく損なわれたと感じます。
2009年5月に、小沢氏は自身の秘書(現職国会議員)の逮捕によって、民主党代表辞任に追い込まれました。
もし逮捕が無ければ、小沢氏は民主党代表として2009年8月の衆院選挙を戦っていたわけで、恐らく、総理大臣になっていたことでしょう。

政権交代後もこの『政治とカネ』問題によって、民主党政権内部で空虚な混乱が続き、小沢氏本人の検察審査会による『強制起訴問題』によって、幹事長職まで辞任に追い込まれた。
そして、2011年1月に強制起訴されたことで、2011年2月には党員資格停止に追い込まれた。
日本の政界の中心にいた人物をここまで追い込んだ原因が『収支報告書の記載ミス』だったとは一体どういうことか?

メディアは有罪判決という部分だけを取り上げて、さらに小沢氏を追い込むことでしょう。
それに自民党が便乗するとしたら、もうお笑い種としか言い様がない。まさに愚の骨頂。
物事の本質を見分けられないメディアや政治家は、国民にとって百害あって一利なしだと思います。

3 ■有罪判決、という「部分」だけではない。

時事によれば:

”判決は、中堅ゼネコン水谷建設からの1億円の裏献金の授受を認め、虚偽記載の動機になったと認定”

”登石裁判長は、小沢元代表から借り入れた土地購入代金の4億円を、石川被告が複数の口座に分散入金し、その後集約して組んだ定期預金を担保に銀行から融資を受けたことを「隠蔽(いんぺい)工作」と指摘”

”判決は、起訴内容の一部を除いて、3人の共謀が成立すると判断”

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110926-00000056-jij-soci

という訳で、小沢組、全面敗訴、ですな。執行猶予がついたとはいえ、3-5年。政治的には終わりでしょう。

政界から、というか、日本の国から、小沢組と小沢信者たちは、『逝って良し』って感じでしょうか。

さて、中国にでも亡命されるんでしょうかねぇ?

4 ■こんばんは

これだけ認めて執行猶予判決はないでしょ

認めるなら実刑判決にしない理由が分からん

5 ■Re:こんばんは

>えるもーどiさん
いや、起訴内容に入ってないから罪に問いようがない。じゃあ、なんで検察は起訴しなかったのかというと、起訴してないわけじゃなくて起訴してたけど取り下げてたと。

かなり意味不明な裁判になってきてて小沢さん本人の裁判が楽しみになってきた。この際、検察官がいない所でその部分まで明らかにしてもらいましょう。

6 ■微妙な判決ではあるわな。

検察、被告痛み分け、っていうところか。
検察の度重なる不手際で実刑は厳しい。
さりとて政治資金規正法違反については争いがないので、それをお咎めなしには出来ない。
まあ、結果論から言うと、『こんなもんじゃないか?』って判決だわな。

ついでに言えば『小沢潰しで失われた国益』ってなんでごさいましょ~~かね。
韓国が瀕死(中小とはいえ一気に銀行7行破綻とはww)、中国もいよいよバブル終焉がはっきりしだしてきた現状を見るに、何を今更感もなきにしもあらず。

多分、この先10年くらいはは日米欧VS中露でシナリオが進むだろう。
戦争とまでは行かずとも、厳しい経済戦争が続くはず。
そのプロセスで何が起こるかはわからない。
こんな状況下でわけの分からん政策にお熱をあげる民主党なんて邪魔なだけ。
しかも、それを作ったのは小沢。
正直なところ、小沢には全責任をとってもらいたい。

7 ■天の声

判決予想では早川先生の勝ちですね。
私は予想しない判決でした。

日本経済新聞で判決要旨を見ました。
http://www.nikkei.com/news/headline/related-article/g=96958A9C93819695E0E4E2E6E08DE0E4E2EBE0E2E3E3E2E2E2E2E2E2;bm=96958A9C93819695E0E4E2E0E08DE0E4E2EBE0E2E3E3E2E2E2E2E2E2

>岩手県や秋田県では、公共工事の談合で小沢事務所の了解がなければ本命業者にはなれない状況。小沢事務所の秘書から発せられる本命業者とすることの了解はゼネコン各社にとって「天の声」と受け止められていた。元公設第1秘書の大久保隆規被告は2002~03年ごろから天の声を発出する役割を担うようになった。

>西松建設は公共工事の談合による受注獲得のために寄付し,ているのだから、同社としては西松建設による献金と小沢事務所に理解してもらわなければ意味がない。献金の受け入れ窓口だった大久保被告が理解していなかったとは到底考えられない。

西松建設関係者が被告人になった裁判では,
どの判決も天の声には言及しませんでした。

私は有罪判決を予想していましたが,
小沢事務所が東北地方の公共事業を仕切っていたという話は無視されると思っていました。

今日の判決では
西松建設事件での大久保被告人の故意を認定
する前提事実として
天の声を認定したので,
事件に関係ない事実を認定したわけではありません。

どういう証拠に基づいて天の声を認定したのでしょう。
判決全文を読みたくなってきました。

8 ■「日本の」国益は損なわれていません

>六甲おろしさん

>>ただの形式的な違反に過ぎない

 小沢が代表&幹事長を務めた民主党は自民党議員に対して、違反(=違法)ですらない、事務所職員が領収書が紛失したとか、漢字を読み間違えたとか、顔に絆創膏を貼ったとかで辞めろと連呼してたんだから、秘書が有罪判決食らったんだから、とっとと辞めろよ。

>>他の国会議員も、検察にここまで徹底的に調べられたら、記載ミスの一つや二つ出てくる

 へ~?。そんなにありふれたことなら、カップラーメンの値段を即答できないから辞職しろと騒いでいた民主党は、自民党議員を全員告発すればいいんじゃないの?政治資金収支報告書は誰でも閲覧できるんだから。

>>検察、メディアによる『小沢つぶし』によって、国益は大きく損なわれたと感じます

 毎日&朝日新聞グループ、週刊ポスト、日刊ゲンダイ、テレビ番組の相当数は今でも小沢ヨイショを続けてますが?

 中国軍の野戦司令官として日本解放の戦いを続けると宣言し、天皇陛下の御日程をゴリ押しで捻じ曲げて中国要人に拝謁を強要し、反日朝鮮人に選挙権を与えると公約している小沢が失脚して、日本にとって百利あって一害なしです。

>>日本の政界の中心にいた人物をここまで追い込んだ原因が『収支報告書の記載ミス』だったとは一体どういうことか?

 ミスじゃなくて、裏金隠しのための意図的改変だと認定されてますが?

 一国の宰相にホッケの煮付で辞職要求しておいて、この言い草は何だよ?(笑)

 小沢信者って、私生活でもこんな「自分に甘く、他人に厳しい」ダブルスタンダード振り回して暮らしているのか?迷惑な奴らだな。

9 ■これは脱税問題にも波及するのではないか?

 歴史はほんのわずかの自然の巡り合わせや、人間の奮闘あるいは怠慢で変わることもある。

 六甲おろし氏が言うように、総選挙前に検察が小沢金脈捜査をしなかったから、民主党はもっとバカ勝ちをして、「小沢首相」が誕生していた可能性は高い。

 人民解放軍の一員を自称する小沢が日本を支配すれば、日本は中国に植民地支配される悲惨な亡国を辿り、それは米国を西太平洋から追い出して、全アジアを中国が支配するという野望を実現する王手になっていたはず。

 チェックメイトには至らなかったが小沢を土俵際まで追い詰めた特捜と、「友愛」される危険を冒して検審に異議を申し立てた市民の力で、自由世界は辛うじて守られたと言える。

>>”判決は、中堅ゼネコン水谷建設からの1億円の裏献金の授受を認め、虚偽記載の動機になったと認定”

 検察が小沢起訴を断念し、検察審査会が強制起訴に持ち込むまでの間、雑誌では「検察は税務でリベンジを狙う」と報道されたが、それは実現されなかった。

 しかし、裁判所が裏献金を認定したということは、今度は「申告していない巨額収入に課税しなかった国税庁、脱税容疑で捜査をしない検察は何をやっているのか?」という話になる。

 この両者は鳩山兄弟の脱税も事実上見逃している。こんなので納税しろ、増税しますと言っても、国民が納得するのか?

10 ■こんばんは

あれだけ認めるなら実刑にしなさいよと思うが

感想は裁判官がもし親小沢なら

推察で無罪判決を下してもいいというルールが出来た感じやね

11 ■玉虫色の決着

初の投稿で失礼します。

この決着は納得いかないですねえ。
えるもーどi 氏が仰る通り、ここまで認めて、なぜ実刑じゃないのか?
検察・被告両者の言い分は真っ向から対立しており、情状酌量の余地もなかったと思うが。
普通、無罪か求刑通りの実刑かのどちらかでしょう。

実際、執行猶予がついたってことは、裁判官が情状を汲んだ形といえる。
政治家としての管理監督責任の重要さ、高額な虚偽記載ということで、有罪は免れないが、隠蔽動機の真の核心を立証するには至らないという判断から、情状を汲んだのではないか?
隠蔽した動機が「マスコミに余計な詮索を受けないため」というのでは、確かに弱いですねえ。
風評被害防止のための隠蔽ではなく、知られちゃいけない金だから隠蔽したできなきゃ駄目でしょう。
「知られちゃいけない金を貰い、何某か便宜を働いた」という収賄的な事実が立証できないのであれば、そもそも起訴したこと自体が問題視されてもおかしくないと思います。
メディアにしたって、国民にそう思わせてきたわけだから、「なぜ実刑じゃなかったのか?」にもっと踏み込まなきゃおかしい。

結果論として冷静にみれば、本意ではないが、六甲おろし氏が仰る通り、これは検察側の勇み足が露呈されたと見ます。
巨悪は根絶してもらいたいが、結果を見る限り、何某かの思惑が働いた意図的な「小沢狩り」だったと言えなくもない。
「小沢信者」から検察・メディアに対して不満が出るのも当然でしょう。

余談ですが、こういう検察の暴挙を肯定する人の気が知れません。
この程度の犯罪で現職国会議員が逮捕されるというのは、普通は考えられないでしょう。
これでは検察はどんな政治家も逮捕できることになっちゃいますよ。
検察が国会以上の強大な政治的権力を持つことになり、民主主義の崩壊を招きかねないと私は思いますがねえ。右翼も怖いね。

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