欧米(特にアメリカ)の教育機関に入学申請をしたり、外資系企業の面接を受けると常に聞かれるのが、「あなたのリーダーシップ体験について話してください。」という質問です。
大学の入試エッセイで書かされ、面接でも過去にどんな場面でどうリーダーシップを発揮したかと事細かに聞かれます。もちろん入社してからも、リーダーシップは主要な評価項目のひとつです。
一方、日本ではリーダーシップについて問われる機会はごく限定的です。中には「今まで、一度も問われたことがない」という人さえいるでしょう。
なので、その概念自体あまりよく理解されていません。たとえばちきりんがよく受ける質問のひとつは、「欧米ではなぜ全員にリーダーシップを求めるのか?」というものです。
質問の意図は、「組織を率いるのはごく少数の人のはず。彼らだけがリーダーシップをもてばいいのに、なぜ大学入試や採用面接で全員にリーダーシップを求めるのか?」とか、「10人のチームで10人が強いリーダーシップを持っていたら、チームとしては巧く動かないのではないか?」といったところでしょう。
これらの質問はごく常識的なものだと思います。そして答えはシンプルです。
「全員にリーダーシップがある組織は、一部の人にだけリーダーシップがある組織より圧倒的に高い成果がでやすい」んです。だから学校も企業も、欧米では(&外資系企業では)全員にリーダーシップを求めるのです。
例で説明しましょう。
高校の文化祭で各クラスが出し物をすることになりました。まずは何をやるのか話し合います。最初は誰も意見を言いません。責任者のAさんは、意見を言ってくれそうな人を指名してようやくいくつかアイデアを出してもらいます。
それを黒板に書いていくと、今度は意見がたくさん出始めます。校則問題をとりあげた演劇をやろう、バンドはどうだろう、食べ物屋を出店して売上を寄付するのはどうか、討論会か講演会を主催して有名なゲストを招きたい・・・云々。
これをどうやってひとつの意見にまとめようか、Aさんは考え、それぞれの案のいいところと悪いところをまとめてもう一度討議し、最終的に多数決をとることに決めました。Aさんは翌週の放課後を全部使って資料をまとめ、必要な予算も先生と相談しました。
2回目のクラス討議でAさんは各案について、全員が参加できるか、必要な設備はあるか、他のクラスとかぶらないか、などを説明します。みんなは「ふーん」という感じて聞いています。
中にひとりだけ非常に熱心に「演劇で校則問題を取り上げたい」と主張する生徒がいました。彼は自説を延々と話します。それがあまりに長いので、他の生徒は次第にしらけ始めました。他の案の検討が始まっても、彼はすぐに「校則問題を扱った演劇」に話を戻してしまいます。
そのうち、あからさまにAさんをにらみ「お前、なんとかしろよ」という視線を送ってくる生徒も出始めました。さらに何人かは「用事がある」と言って席を立ちました。
Aさんは、延々と話している生徒をなんとか静かにさせ、他の意見をもっていそうな生徒に発言を求めますが誰も積極的に話そうとしません。するとまた「演劇で校則」の生徒が「ちょっといいですか?」と話し始めてしまいます。
話がいよいよ進まなくなったところで、汗だくのAさんを見ていた先生が介入しました。先生は他の生徒を次々と指名して、他案について意見を出させてくれました。Aさんは心からほっとします。その後はなんとか議論が進み始め、多数決で「誰かゲストを呼んで講演会をやろう」ということに決まりました。時間の大半が使われた「校則問題を扱った演劇の案」の賛成者は数名だけでした。
大学の入試エッセイで書かされ、面接でも過去にどんな場面でどうリーダーシップを発揮したかと事細かに聞かれます。もちろん入社してからも、リーダーシップは主要な評価項目のひとつです。
一方、日本ではリーダーシップについて問われる機会はごく限定的です。中には「今まで、一度も問われたことがない」という人さえいるでしょう。
なので、その概念自体あまりよく理解されていません。たとえばちきりんがよく受ける質問のひとつは、「欧米ではなぜ全員にリーダーシップを求めるのか?」というものです。
質問の意図は、「組織を率いるのはごく少数の人のはず。彼らだけがリーダーシップをもてばいいのに、なぜ大学入試や採用面接で全員にリーダーシップを求めるのか?」とか、「10人のチームで10人が強いリーダーシップを持っていたら、チームとしては巧く動かないのではないか?」といったところでしょう。
これらの質問はごく常識的なものだと思います。そして答えはシンプルです。
「全員にリーダーシップがある組織は、一部の人にだけリーダーシップがある組織より圧倒的に高い成果がでやすい」んです。だから学校も企業も、欧米では(&外資系企業では)全員にリーダーシップを求めるのです。
例で説明しましょう。
高校の文化祭で各クラスが出し物をすることになりました。まずは何をやるのか話し合います。最初は誰も意見を言いません。責任者のAさんは、意見を言ってくれそうな人を指名してようやくいくつかアイデアを出してもらいます。
それを黒板に書いていくと、今度は意見がたくさん出始めます。校則問題をとりあげた演劇をやろう、バンドはどうだろう、食べ物屋を出店して売上を寄付するのはどうか、討論会か講演会を主催して有名なゲストを招きたい・・・云々。
これをどうやってひとつの意見にまとめようか、Aさんは考え、それぞれの案のいいところと悪いところをまとめてもう一度討議し、最終的に多数決をとることに決めました。Aさんは翌週の放課後を全部使って資料をまとめ、必要な予算も先生と相談しました。
2回目のクラス討議でAさんは各案について、全員が参加できるか、必要な設備はあるか、他のクラスとかぶらないか、などを説明します。みんなは「ふーん」という感じて聞いています。
中にひとりだけ非常に熱心に「演劇で校則問題を取り上げたい」と主張する生徒がいました。彼は自説を延々と話します。それがあまりに長いので、他の生徒は次第にしらけ始めました。他の案の検討が始まっても、彼はすぐに「校則問題を扱った演劇」に話を戻してしまいます。
そのうち、あからさまにAさんをにらみ「お前、なんとかしろよ」という視線を送ってくる生徒も出始めました。さらに何人かは「用事がある」と言って席を立ちました。
Aさんは、延々と話している生徒をなんとか静かにさせ、他の意見をもっていそうな生徒に発言を求めますが誰も積極的に話そうとしません。するとまた「演劇で校則」の生徒が「ちょっといいですか?」と話し始めてしまいます。
話がいよいよ進まなくなったところで、汗だくのAさんを見ていた先生が介入しました。先生は他の生徒を次々と指名して、他案について意見を出させてくれました。Aさんは心からほっとします。その後はなんとか議論が進み始め、多数決で「誰かゲストを呼んで講演会をやろう」ということに決まりました。時間の大半が使われた「校則問題を扱った演劇の案」の賛成者は数名だけでした。
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