ちまたの旬な話題から、日本の未来像を問うテーマまで。


原発事故6ヶ月と将来(2) 生活編

武田邦彦 (中部大学)

7月、8月になって放射性物質は地面に落ち、ホットスポットも明らかになり、ようやく法律も理解され始めました。今では、1年1ミリが法律の規定であり、他のものは政府が非難や除染をしたくないから決めた値であることが判ってきました。

そして半年たって私たちは子供を守る長い旅に出ようとしています。原子力をやらなくても日本のエネルギーに問題は無かったのですが、私たち大人(特に私のような原子力に関係した人)の責任は重たいのですが、その失敗を子供たちに負わせることはできません。

・・・・・・・・・

生活の原理原則は次の通りです。

1)汚染マップを覚えて、汚染の近いところに近づかないで何気なく被曝量を減らす、

2)内部被曝は打撃が長く続くので、食材に十二分に注意する、

3)東北の人も一緒になって「東北を助けるのは被曝するのではない」、「汚染を全国に拡げてはいけない」という点で一致協力すること、

4)限定的な地域にある汚染物質を拡散しない(花火や瓦礫に象徴される)、

です。長期戦ですから、あまり肩の力をはらず、「被曝は怖くない」と言う人とはあまり激論せず(結果が問題ですから)、継続的に法律を守ることを求めて行くことと思います。

日本が幸運なら、日本の大地は交換が早いので、チェルノブイリの5倍ぐらいのスピードで自然の除染が進む可能性もありますし、政府や自治体も少しは注意をするようになるでしょう。

人間の手で除染するのは簡単で、土を表面から5ミリ、アスファルトを表面から2ミリ削ること、森林は樹木の枝を落とすことで、それを福島原発の半径5キロの地域に持って行って、樹木は焼却(フィルターつき)、アスファルトや土は除染洗浄して、その水を処理することを15年間で完了します。技術もあり、あとは決意だけで日本はもとの国土を取り戻すことができます。

そして、5年後、「良かった!子供を守ることができた!」と言うようになりたいものです。

また、経済を重視する人の中には「原発がないと日本経済が停滞する」と心配していますが、そんなことはありません。まず原発の電気代は安いと言われていますが、税金(年5000億円)、安全対策費、廃棄物処理費などを合計しますと、電力単価はほぼ石油、石炭並みか高めです。

今まで、電力の経営が目指してきたのは、原子力をやることによって国から税金を引き出し、その分だけ経営を改善するということです。経営者にとっては必ずしも悪い手段ではありませんが、国民にとっては電気代でも税金でも同じですから、それも専門家が指摘する必要があります。

また、石油・石炭・天然ガスはほぼ永久につかます(数1000年)ので、心配は要りませんし、温暖化は日本にほとんど被害を与えませんから、これも無関係です。資源枯渇や温暖化の問題はそれ自体を深く考えても良いのですが、それより「アメリカの動き」を見ていますとよくわかります。アメリカが動かなければあまり切羽詰まってはいないということです。

だから、(福島の人には不適切な表現ですが)、科学技術から言えば)原発は実験してみたら、地震に弱いことが判ったのですから、いったん基礎研究に戻り、出直す方が良いでしょう。

経済の人は「景気を良くする」というのは物流などもありますが、それより人の心が明るく、一致していることだと言うことをおわかりと思います。福島原発事故が起こっても原発を無理矢理稼働しても、なにか引っかかるものが残り、議論も紛糾します。

「takeda_20110926no.165-(9:23).mp3」をダウンロード
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