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復旧作業に携わった福島原発の元作業員が「ピンはね」「偽装請負」の横行を告発

すくらむ

国家公務員一般労働組合

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 ※「連合通信・隔日版」(2011年9月27日付No.8511)からの転載です。【★連合通信の購読申し込みはこちらへ】

〜〜〜〜《編集長から》〜〜〜〜
 事故後に福島第一原発周辺で働いた元作業員の体験談。危険な作業であるにもかかわらず、ピンはねや労働法外しが横行しています。報道を含め、こうした「闇」の部分にもっと光を当てる作業が必要です。

 ピンはねの体験語る 福島第一原発の元作業員
 「個人請負」の偽装が横行


 東京電力福島第一原子力発電所で事故発生から約3週間後に、現地で復旧作業に携わった元配管工の男性が「あまりにも賃金が削られている」と「ピンはね」の体験を語った。日本労働弁護団が9月21日に開いた会合での発言。

4日間で16mSv



 男性は東日本大震災発生までの約10年間、東電の第3次下請の企業で「契約社員」として働いていた。埼玉県に避難していたところ、元の勤め先から就労の依頼があり、4月初旬の4日間、がれきと化した原子炉建屋周辺で作業にあたった。危険な作業のため、気が進まなかったが、かつて世話になった縁もあって断れず、賃金のピンはねがないよう念押ししたうえで、受け入れた。

 一日の実働は4〜5時間。事故現場の放射線量は高く、4日間で浴びた被ばく線量は16mSv(ミリシーベルト)に上る。これまでに見たこともない線量だった。国が定める通常作業時の年間上限線量(50mSv)の約3分の1をわずか4日間で浴びた計算だ。

 その後、内部被ばくを調べるためホールボディカウンターによる検査を新潟・柏崎で受けたが、結果はまだ知らされていない。

 現場で提示された日当は1万9000円。事故前の日当が1万5000円だったことからすると、「危険な作業の割にはあまりに金額が少ないのではないか」。そう感じた男性は会社に異議を唱えたが、「上(発注元)から出ている金額はこれだけ」と言われるばかり。反証するだけの材料もなく、あきらめざるを得なかったと、悔しそうに語った。

無権利が「口封じ」に



 男性は「契約社員」として働きながら、契約書上は「個人事業主」とされていた。そのため、雇用保険も未加入で、退職後、失業給付を受けられないでいた。しばらくして、弁護士に相談し、埼玉労働局に雇用保険加入を請求。同局はそ及加入を認めた。

 「個人請負」を偽装し、雇用保険や社会保険加入、解雇規制など、使用者としての責任をまぬがれようとする違法行為。同様の契約で働く人が周りにいたかを問われ、男性は「6〜7割は『一人親方的な働かせ方』だったと思う」と述べた。

 こうした契約で働かせる理由は、雇用調整が容易なこと。そして、作業員の多くが自分はいつでも首を切られる存在だと認識しているため、何か問題があっても、今後の仕事のことを考えて「口をつぐんでしまう」現状を招いているとも指摘した。

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