


2002年UCLAの形成外科医であったMarc Hedrickは、それまで間葉系幹細胞を採取していた骨髄の100倍の幹細胞が腹部皮下脂肪に含まれていることを明らかにしました。メタボリック症候群や美容の大敵である邪魔者の腹部皮下脂肪に宝物が埋もれていたわけですが、ここなら安全に大量に幹細胞を含んだ組織が採取することができます。現在、米国、ドイツ、中国などでは、これまでの細胞工学的な幹細胞医療には常識を超えた治療が行われています。
私たち医療法人社団みき会は、この腹部皮下脂肪に含まれる脂肪由来間葉系幹細胞の投与による「幹細胞療法」に着目しました。患者さまの腹部皮下脂肪から採取した間葉系幹細胞に操作を加えず培養し、そのままの未分化のマルチクローンな幹細胞を、採取した患者さまの身体に静脈注射、皮下注射、髄腔注射で大量に戻すという治療です。自分の細胞を取り出し自分に戻すわけですから、自己輸血や透析療法と理論的には同じです。加えてこの脂肪由来間葉系幹細胞を用いることのメリットは、患者さまへの負担が少なくて済むということです。骨髄などから細胞を採取するのとは異なり、全身麻酔が必要なく、神経を傷つける恐れもありません。

また、培養過程で血清など生物由来の物質が加わらなければ、安全ですし倫理的な問題もありません。私たちは、無血清培地を用いているため、従来細胞培養に用いていた動物の血清を用いる必要がなく、より安全、安心、高品質の幹細胞培養を提供することを実現しています。培養センターものはもちろん、投与時の死細胞率をゼロに近づけるために投与条件の検討や出荷から投与までの時間を24時間以内にするなど、培養から投与までの工程を徹底管理しています。治療開始前には、患者さまへのリスクや期待される効果、その可能性に関する説明と同意、感染症スクリーニングも徹底して行います。
厚生労働省は国内でのヒト幹細胞の臨床研究に対して、諸外国と比べても厳格な内容の「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」および関連する複数の指針を示しております。私たちはこの指針を遵守しながら幹細胞医療を行い、現在の医師法下での幹細胞投与から、複数の施設での高度先進医療、さらには薬事法申請のための臨床治験を行い、保険医療制度に組み込まれる医療にしていきたいと思っております。幹細胞医療の分野でも、我が国が最も進んだ医療を提供できるよう、私たちも全力を尽くします。 |