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<ドイツ>ヒトラーの「わが闘争」再出版 国内で論争に

毎日新聞 9月27日(火)13時7分配信

 戦後、ドイツで禁書となってきた独裁者、ヒトラーの著書「わが闘争」の再出版をめぐり、「極右のネオナチが喜ぶだけで出版は危険」「学術目的には必要」と同国で議論になっている。ユダヤ人虐殺につながった差別思想が色濃い本だけに、戦後70年近くたち、著作権切れを前にしてなお賛否が割れている。【ベルリン篠田航一】

 「わが闘争」は1925年に上巻、27年に下巻が刊行された。反ユダヤ主義などヒトラーの持論に加え、大衆を扇動するノウハウについても記述されている。33年にナチスが政権を取ってからは「聖典」化し、学校の授業で使われたほか、新婚家庭にも配布された。45年の終戦まで1000万部以上が出版されている。

 著作権は現在、ヒトラーが生前に住民登録をしていたバイエルン州が保有。ドイツでは作者の死後70年間、著作権が保障されるため、45年に自殺したヒトラーの著書は2015年いっぱいで「期限切れ」を迎える。

 同州はナチスによる犠牲者らへの配慮や、本が極右勢力の「聖典」となることを懸念し、これまで出版を許可してこなかった。だが公立現代史研究所(ミュンヘン)は昨年2月、「重要な歴史資料」との理由で、著作権が切れた後に注釈付きの新刊を出版したい意向を表明した。

 賛否はさまざまだ。ナチスの被害を受けたユダヤ人の組織「独ユダヤ人中央評議会」のシュテファン・クラマー事務局長は「今も危険な本だが、禁書扱いはかえって魅力的に映ってしまう。既にインターネット上では非合法に出回っている。ネオナチの勝手な解釈を許さないためにも、むしろきちんと学術的解説を加え、世に出した方がいい。正しい歴史理解や研究のためには必要な資料だ」と出版に理解を示す。

 一方で「ネオナチが(勢力拡大に)本を利用する可能性もある」(フォークス誌)など、懸念の声も根強い。反ユダヤ主義に詳しいベルリン工科大学のウォルフガング・ベンツ教授(歴史学)は「研究目的であれば今でも図書館で読める。最近のネオナチにはヒトラーを神聖視しない若者も多く、もはや出版自体を危険だとは思わないが、労力をかけて出版するのは無意味な作業だ」と話す。

 ドイツは基本法(憲法)で「出版の自由」を保障する一方、刑法ではナチス賛美につながる書物の配布を禁じており、司法当局が出版を認めない可能性もある。バイエルン州政府も「15年12月31日に著作権が切れた後も、法によって出版は禁じられる」との見解。だが、ドイツでは昨年、戦後初めてヒトラーを真正面から取り上げた大規模な特別展「ヒトラーとドイツ人」がベルリンで開催されるなど、タブー視する風潮も徐々に薄れている。

 「わが闘争」は本国ドイツ以外では翻訳が入手可能。日本では角川書店が73年から文庫版で翻訳本を刊行。08年にはイースト・プレス社(東京)から漫画版も出版された。

 05年にはトルコの若者の間でベストセラーになるなど、ユダヤ人が多いイスラエルに反感を持つ中東地域で、一定の人気を保っている。このため反ユダヤ感情をあおる危険を懸念する声もある。

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最終更新:9月27日(火)13時15分

毎日新聞

 

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