2011年7月28日 11時58分 更新:7月28日 13時37分
【温州(中国浙江省)隅俊之、北京・成沢健一】中国中央テレビ(CCTV)によると、浙江省温州市で23日に起きた高速鉄道事故について現場を管轄する上海鉄路局の安路生局長は28日、信号設備の重大な欠陥のために赤信号を点灯すべき区間で青信号が点灯されたうえ、担当職員も後続列車に警告を出さなかったことが原因とする現時点での調査結果を明らかにした。200人以上の死傷者を出した事故の原因を巡り、鉄道当局者が人為ミスを認めるのは初めてで、国民の批判が強まることは確実だ。
温州市で28日午前に開かれた中国政府の合同調査チームの会合で安局長が報告した。報告によると、現場に近い温州南駅の信号設備に設計上の重大な欠陥があったため、落雷による故障で信号が「赤」になるべき区間で「青」が点灯された。
信号設備は北京の企業が設計したもので、09年9月の高速鉄道開通時に設置された。信号設備の故障後、温州南駅の当直担当者が信号の誤作動に気づかず、故障の修理や衝突防止に向けた警告など適切な対応を取らなかったという。追突事故は信号設備の欠陥と人為ミスによる複合要因で起きたことが明確に示された形だ。
安局長は「当直担当者は安全意識に欠け、新しい設備への理解も不足していた。事故は設備の品質や職員の質、現場の対応能力を反映しており、鉄道部門の安全管理が不十分であることを示した」と述べた。
列車同士が近づき過ぎた場合に減速・停止させる自動列車制御装置が機能していなかった可能性に言及したかは伝えられていない。
一方、新華社通信によると、温家宝首相が28日午前、温州入りした。事故現場を視察するほか、遺族とも面会すると伝えている。
合同調査チームの責任者は、事故調査結果を9月中旬をめどに公表する考えを示した。
信号設備を設計した北京の企業は28日、ウェブサイト上で謝罪文を掲載した。