2011年7月28日 21時47分 更新:7月28日 23時1分
厚生労働省は28日、浄水場の浄化過程で生じた汚泥について、放射性物質による汚染の恐れがある14都県(365事業体)の調査結果を公表した。7月12日までに生じた汚泥のうち4万9250トンについて測定した結果、放射性セシウムが1キロ当たり8000ベクレルを超え、管理型最終処分場での仮置きが求められる汚泥は、福島や宮城など5県で計1557トンに上った。また3万6333トンは、浄水場の敷地内に保管され、処分先が決まっていないことも判明した。
遮蔽(しゃへい)施設での保管を求められる放射性セシウムが1キロ当たり10万ベクレルを超えた汚泥は確認されなかった。だが、管理型最終処分場での埋め立て処分に、跡地を住居に使わないという条件が付く同100ベクレル超~8000ベクレル以下の汚泥は埼玉、東京など11都県で計3万3950トンが確認された。最も高かったのは福島県郡山市の豊田浄水場で、同8万9697ベクレルだった。
このほか、測定未実施の汚泥も全14都県で計5万4631トンあった。汚泥の処理を巡っては、政府の原子力災害対策本部が6月に汚染濃度に応じた基準を示したが、下水汚泥と同じく処分先や方法が問題化している。
厚労省によると、放射性物質に汚染された汚泥は、最終処分場での受け入れに難色を示されるケースが多く、多くの水道事業者が浄水場の敷地内に保管している。東京都は6912トン全てを埋め立て処分したが、保管場所の確保に悩む自治体も多い。厚労省は、環境省や国土交通省とも連携し、園芸用土などへの再利用も含め検討する。【石川隆宣】