2011年7月28日 11時44分 更新:7月28日 12時18分
現金自動受払機(ATM)の無料化実施に伴い、ATM相互利用提携を一方的に解約されたとして、第二地銀の東京スター銀行が、三菱東京UFJ銀行に提携再開などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は28日、請求を棄却した。福井章代裁判長は相互利用の趣旨や三菱東京UFJ側が解約した経緯などを踏まえ、「解約には正当な理由がある」と述べた。
判決によると、両行を含め銀行業界では90年以降、ATM相互利用の基本契約などの締結が進んだ。他行のATMを使うと、利用者とその口座を管理する銀行はそれぞれATM設置行に手数料を支払う仕組みだったが、東京スターは04年5月、顧客の手数料のみ無料化した。これに対し三菱東京UFJは08年11月、「東京スターのATMを使う顧客が増え、東京スターに支払う手数料が増大している」として提携を打ち切った。
判決は「東京スターは銀行間手数料でATM委託費用をまかなうことを前提に、顧客の手数料を無料化した」として、導入段階で銀行間手数料で収益を上げることを想定していなかった相互利用の趣旨に反するとした。無料化に伴い、三菱東京UFJは東京スターに2年以上手数料の値下げ交渉を進めたが、その間に支払った手数料額は約4倍の年約6億円に達した。
判決はこうした経緯を重視し、「解約は市場からの排除を目的としており、独禁法違反だ」との東京スター側の主張に対し、「不当な目的はなかった」と退けた。【和田武士】