英雄伝説Y 空の軌跡 キャラ萌えスレ (1001)
このスレにコメントしてね
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/15(水) 12:54:24 ID:fCmRMWkt
ID:
誰かヨシュエスについて語ろうよ |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/15(水) 14:54:31 ID:nSzFWFL0
ID:
まだクリアしてないから何とも言えない |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/15(水) 17:09:03 ID:0Vc2yWV5
ID:
フラッセとレイナ、セットで頂いてよろしいですかね |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/15(水) 17:22:24 ID:k0Cfo/cG
ID:
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名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/15(水) 17:32:27 ID:+UHb8fYO
ID:
セリオスやアトラスなら、クローディアとも釣り合うんだが、次作はああいう 王子キャラ出てこないかな。 |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/15(水) 18:44:36 ID:Znkkevmb
ID:
殲滅天使練炭(*´Д`*) |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/15(水) 20:00:07 ID:AjXzXE7i
ID:
便女はイラネ( ゚Д゚)、ペッ |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/15(水) 21:34:22 ID:2+119o1c
ID:
>>90 買った奴は漏れなく漆黒の牙に狩られる |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/15(水) 22:47:02 ID:lP10Rqdn
ID:
お前ら当然フラッセ萌えですよね? |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 00:45:07 ID:6QVf66pV
ID:
ほとんどのキャラがどこか萎えるなか・・・ クローゼたんだけは天使だぜ ティータ→アガットとファっク エステル→ヨシュワ ジョゼット→声がキモイ シェラ→くさい クローディア姫ことクローゼ→イイニオイ |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 00:49:56 ID:rRgckGul
ID:
フラレ女がどうかしたの? あ、相手にされなかっただけか。失敬。 |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 01:08:26 ID:dRfi2CC1
ID:
つーかヨシュアってアフォだよな 俺がヨシュアだったらクローゼと結婚して王様になってから、 ジョゼットとエステルとフェラとティータとリラとメイベルをハーレムに入れるね |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 01:22:55 ID:6QVf66pV
ID:
アフォはお前だ!>>112!! 俺なら、クローゼと結婚したあと、クローゼにハグしれもらう。 |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 01:25:38 ID:h9kJwQ9V
ID:
真面目に考えると立場上カップリングが一番難しいもんな〜>殿下 |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 01:28:48 ID:e01ZY0wM
ID:
ヨシュアの一途さとエステルの魅力のすごさ(もしくはヨシュアへの影響力) を表現しようとしてその要素が持ち出されたんだね。 →お姫様でも振り向かない&お姫様にも負けない |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 01:33:40 ID:GC34p8dv
ID:
クローゼが姉に似てる?をもうちょっと前に打ち出せば |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 01:40:07 ID:rRgckGul
ID:
クローゼとヨシュアで一度も二人っきりになることなかったからなぁ。 その前にエステルが気持ちを固めてしまったし、というか ジルがエステルに余計な事言ったのがよくなかった。 時間さえあればジョゼットよりはかなり見込みあったと思うよ。 |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 01:53:47 ID:e01ZY0wM
ID:
一日にして色んなスレでエステルの価値向上に成功した気がしてる。 気のせい? |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 02:06:29 ID:rRgckGul
ID:
結局ヨシュアの欠点は自らを過少評価してる事。 たぶん過去を知っても好きでいてくれる可能性があるのはエステルだけと思ってる。 エステルはヨシュアの過少評価を知ってても、さすがにあたしよりも クローゼに愛される資格も十分あるとか余計な事は言わないし。 |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 02:21:06 ID:e01ZY0wM
ID:
ヨシュアは能力も抜群で顔もよくて優しいんだけどやはり自傷的な考えや 過去の重さからよほど思い入れがないと深く入り込んだときに戸惑ってしまうことも 考えられる。そういうのにヨシュアは敏感だしそしたら迷惑がかからないようにと立ち去るので エステルじゃないと駄目なんだろう。クローゼも慈悲深いがそれでもこれに耐えられるかは 二人で過ごした時間が少ない分不安だ。 |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 04:27:03 ID:R52USgG4
ID:
立場的に考えると、やはりクローゼとオリビエのカップリングじゃね? |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 04:58:36 ID:PK68dlST
ID:
クローゼENDが欲しかったよ、本当に・・・ ヨシュアとクローゼが結婚して欲しかった |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 05:04:13 ID:6QVf66pV
ID:
エステルはあまりに馬鹿すぎた。 それなのに、ヨシュワときたら・・ |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 06:04:10 ID:/lm78s9y
ID:
SSとか需要ありますかね? |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 10:06:51 ID:GrzvOG6f
ID:
観測士エコーが結構イイと思ったのは俺だけ? |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 10:07:01 ID:3HtkRASF
ID:
>>124 もちろんっす。 といっても、エロ系はこちらへお願いします。 【Falcom】 ファルコム総合スレッド 【PartXV】 ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/ascii2d/1133196362/l50 |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 10:09:06 ID:3HtkRASF
ID:
>>126 訂正です。上記のスレは間違いです。 皆様大変申し訳ございませんでした。 【イース】ファルコムでエロ小説PartV【英伝】 http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1106482479/l50 |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 10:49:57 ID:/lm78s9y
ID:
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名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 11:46:55 ID:kFfejrk2
ID:
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名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 12:15:54 ID:gpVHH+jr
ID:
なんだ、このスレはクローゼ専用スレなの? |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 12:25:54 ID:uPfCtUVj
ID:
? ヒロインはクローゼなんだから当たり前かと |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 12:29:24 ID:mQxlpa8m
ID:
は?ティータが最強だろ |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 12:29:35 ID:R52USgG4
ID:
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名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 13:26:23 ID:/lm78s9y
ID:
SS、30kありますが、これより投下します。数分程掛かりますのでお願いします。 |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 13:28:16 ID:/lm78s9y
ID:
王立ジェニス学園 第一話「血のバレンタイン デイ」 チチチチチチ 朝日を全身に浴びてベットで寝返りをうつ栗毛の少女の耳元を優しく撫でる鳥の音。 「ん〜〜」 ぼさぼさに乱れる長い髪をポリポリと掻いて、その少女は毛布を足で宙に浮かせると、腹筋を思いっきり使って一気に、ベットのぬくもりに未練が残らないように飛び起きる。 「今……何時だっけ?」 自室の目覚まし時計を探して視線をクリクリと動かすが、黄金色の朝日が寝起きの少女の視界を奪う。一瞬何も考えられず、再び毛布の中に飛び込むという誘惑を少女が襲うが――。 「って、今日はあの日じゃないっ!いっけなーい、チョコレートまだ用意してない!」 そう叫んで少女は、スリッパを履いてそそくさと、制服に手を伸ばす、が。 ドテッ 先ほど、蹴り上げた毛布が床に沈んでおり、そこに思いっきり足をとられ、顔面から床にキスする羽目になる。 「ったぁ」 これが、少女にとって熾烈な戦いを告げる一日の始まりだった。 王立ジェニス学園――。リーベル王国西部、ルーアン地方にある名家の子弟が集う由緒ある学園。 国で一番有名な英雄の娘が兄弟と共にこの学園に入学したのは2週間前、2月の頭になる。学園生活も2週間目でそろそろ日常のルーチンとしてこなせるようになっていたが、今日だけはいつもと違う日である。 2月14日。バレンタイン。 長い栗毛をツインテールに結った少女は額に大きなバンソーコを張って、通学路を疾走していた。授業の時間に遅れるからではない。彼女の目指す先は学園の正門に毎朝出ている学外の業者がやっている売店である。 「うわ、やっぱり混んでる・・・」 少女は肩で呼吸をして、彼方にある売店へと続く乙女たちの行列を見て深いため息をつく。 「あ、エステルさん、おはようございます☆」 「クローゼじゃない、おはよう!」 |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 13:32:14 ID:/lm78s9y
ID:
紫色のショートヘアーに、紫の澄みきった瞳――。周囲の生徒と同じ学生服を着てい るが、明らかに別格と言えるほどの品をもった可憐な少女が、栗毛の少女に声を掛けて くる。彼女の発した声に、周囲がつられて振り返るほどの凛としてよく通るその言葉。 すべてを包み込むような柔らかな微笑みと共に、クローゼと呼ばれた少女はエステルの頬に手を伸ばす。 「……クス、鏡を見る暇もないくらい、慌てていらっしゃったんですか?」 「え?」 「ご飯粒、ついてますよ?」 そう言ってクローゼはエステルの頬についていたご飯粒をとって微笑む。その愛らしい 微笑に周囲の2,3人の少女がつられてほわ〜と笑みを見せた。 「あはははは。ありがと、ちょっと寝坊しちゃって……」 エステルは恥ずかしそうに頬を右手で掻くと、クローゼに微笑みを返す。 「って、あれ、クローゼもひょっとしてチョコを?」 エステルは、クローゼがすでに買い物を済ませており、手にリボンのついた小包をもっているのに確認し言う。 「……ええ」 クローゼは、視線をさっと右斜めしたに逸らし、頬をほのかに赤らめ応えた。 「ちょっと意外かも。クローゼって皆のアイドル的な存在じゃない? 特定の男子にチョコをあげるなんて」 エステルは、意地悪く笑って紫の君をからかう。 「ちょ、ちょっとした事情があるんです、これには……」 「どんな事情か知らないけども、もらえる子は幸せよね」 「そ、そうでしょうか?」 「そうよ、あたしだってクローゼからチョコもらえたら嬉しいもん」 「え……」 そんなエステルの言葉にクローゼは、耳元まで真っ赤にして縮こまる。 「あたしの場合なんかは部活の連中にあげる義理チョコと義務であげる義務チョコじゃない?あんまり、ドキドキする展開は期待できないと思う。誰にあげるから知らないけど、頑張ってねクローゼ!」 「ありがとうございます、エステルさん」 クローゼはまだ長い売店までの列を一瞥すると会釈してエステルと別れた。 ――迫りくる最悪に、まだ少女たちは気づいていなかった。 |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 13:34:25 ID:/lm78s9y
ID:
「……つまりねレーヴェ。姉さんが、冷凍マグロをバレンタインデーに送ってきたのは、 多分、素で冷凍チョコと間違ったんだ、前にも勉強道具一式を送ってって頼んだら闘魂ハ チマキを3ダースほど送ってきたことがあった。だから悪意はないよ。多分……」 「フ……言われるまでもなく、あいつの性格は俺が一番知っているつもりだ。だが……」 王立学園、昼休み。クラブハウスの2階にある剣道部の一室では、短い漆黒の髪に鋭い 瞳を輝かせている少年と、白髪に燃えるような赤い瞳をもつ少年――後者の方が年上だろう。が、巨大な木箱の中身を冷ややかな目で見据えながら、ドス低い声で、言葉を交わし ていた。部屋の中が生臭く、スモークが充満して悪の秘密結社のようになっているのは、 冷凍マグロとドライアイスの夢の競演によってなせる業である。 「――見ろ。ヨシュア、このマグロを。胴体にはハートマークのイチゴシロップが掛かっている。そして愛しのレーヴェ&ヨシュアと書いてある」 涙目で冷凍マグロを指差す、レーヴェと呼ばれた少年。高等部の3年生にして剣道部の エースであり、3年連続で大陸選手権に優勝している実力者である。 「……う」 ヨシュアと呼ばれた黒髪の少年は、高等部の一年で兄弟と一緒に2週間前に入 学したばかりである。しかし、剣道部に入部しすぐに一年生の中ではズバ抜けた強さを持 っていることを周囲に認めさせた。このレーヴェとヨシュア、実は幼馴染で、久々に学園 で再会したのである。 「これはかなりグr……いや、面白い趣向だよね、さすがカリン姉さん」 ヨシュアは、シロップを見た瞬間思考を停止させてドライアイスより冷たい視線でマジマジと言い放つ。 「鬼炎斬か!?俺に鬼炎斬を使わせたいのかカリンは!?ああいいさ、ならば食らうがいい!!」 今度こそ、滝のような涙を頬に流しレーヴェは取り乱して竹刀を取り、振り回す。 「待ってよレーヴェ、そんな技使ったら」 ジュワアアアアアアアアアアアア 刹那、ステーキが焼けるような音、次いで流れる香ばしい香り――。 「やってしまった……バレたらまた部活停止処分になってしまう」 ヨシュアはボソと言って頭を抱える。一方のレーヴェは、竹刀で器用にマグロの解体を続けていた。 |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 13:37:06 ID:/lm78s9y
ID:
「またお前たちか」 とてつもない音を聞いた教職員の一人が剣道部の部室のドアを乱暴に開け、腕を組んで 部屋の中を視線で探っている。エステルと同じ栗色の髪をもった中年紳士。ではあるが、 目には完全に怒りの火が灯っていた。 「こ、校長…」 「……父さん」 ヨシュアとレーヴェは、その男の眼差しを見て固まる。学園最強の男。校長にしてリー ベルの英雄であるカシウス・ブライトは、目でビショビショになった床を拭くように息子 とその幼馴染に命令する。 「この2週間で4度目だ。二人ともいい加減、罰を与えんとな」 ――剣道部室に強い風が吹いた。 「はい。アガット先生、あーんしてください」 「いくらなんでもやめろ、チビスケ。俺たちは教師とせいtうわなにをするやめ」 一方の校舎の屋上では、赤い髪にバンダナを巻きガクランを着たいかにも古風なガキ大 将という感じの男が、初等部から上がってきたばかりの小さな女の子に、チョコレートケ ーキを口に運ばれ、戸惑いの声を漏らしていた。 「一生懸命作ったんですけど、もしかしたらアガット先生には甘すぎちゃったかも……」 「いやまて、俺が言ってるのはそんなことじゃねぇ、んぐんぐぅ」 なんだかんだ言いながらも、少女が差し出したケーキを口に含みながら、アガットと呼 ばれた男は応える。ガクランにバンダナという不良全快ないで立ちだが、この男、体育の 教師である。この少女、ティータが初等部から上がってきてからは、変態ロリ教師アガッ トの異名を取るようになっていた。 「はい、次はミルクティーです、水筒でもってきちゃいましたー。お、お口に合うといいんですけど……」 ティータは、水筒からコップに入れたミルクティーをペロリと舐めて、温度を確認する が、ミルクティーがチョコとよほど合ったのか、頬を真っ赤にして満天の笑みを浮かべる。 「お、美味しいですー。さ、アガット先生もどうぞ」 ティータが幸福宣言を高らかにし、次はそのコップをアガットの口に運ぶ。 「ひ、人の話を聞け、んぐんぐ」 またアガットは何も言えずに、ティータの差し出したミルクティーを飲み干す。 「……これで全部だな、チビスケ、とりあえず俺の話を聞け」 |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 13:40:00 ID:/lm78s9y
ID:
無理して一気で飲んだのか、アガットは肩で荒い息をして、ティータの両手を次のケー キに向けさせまいと握り、改まって言う。 「……はい?」 ティータはにっこり笑って嬉しそうに、応える。 「いいか、俺はこれでも一応教師でお前は生徒でまだ13歳だ。こんな風に 、イチャイチャしているのが周囲にバレたらマズイ事になる」 アガットは言うが、学園内で知らないものはすでにいない。未だこのこと が明るみになってないと思っているのは、活字とは無縁のアガットくらいなものだった。 何故なら、毎週学園新聞に膝枕シーンやあーんしてくださいシーンの写真が嫌というほど掲載されているからだ。 二人は気づいていないが今も、屋上の隅でカメラが二人を狙っているのである。 「あのあの、どんな風にまずいことになるんですか?」 ティータは不思議そうに首を傾げる。 「まず、俺はいろんな意味でいろんな方面からの圧力で社会的に抹殺される、PTAとかJAS@AQとか恐ろしい圧力をもっている集団だ。そしてお前も嫁の貰い手がなくなるぞ」 その言葉を聞いてティータは少し考え込むと、急に耳まで真っ赤にして目を見開くとア ガットの瞳を覗き込んでくる。 「……それがアガット先生……いえ、アガットさんのお返事ですか?」 「はぁ?」 「ふ、ふ……」 ティータは下を向いて、もじもじとして小さく唇を動かす。 「おい、どうした具合でも悪いのか?」 アガットは心底不安になって尋ねる。全くこの場の空気が読めなかった。自分の言った セリフでどうしてこの少女がこんな反応をしてくるのか理解できないのだ。 「ふ、ふつつかものですが、よろしくお願いしますっ!!」 ティータは、小さな手でぎゅーとアガットの手を握り返して、そう叫ぶ。 |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 13:42:37 ID:/lm78s9y
ID:
「おい、どうしてそんな話になった」 「お嫁さんにいけないって事は、アガットさんが貰ってくれるんですよね?」 「なにを聞いてやがった!話の趣旨が全く違うじゃねえか!」 アガットもさすがに、顔を真っ赤にして叫ぶ。 「ええっ!?」 ティータは、幸福に満ちた笑みをたちまちに凍らせて応える。 「俺が言いたいのはな……」 アガットはそんなティータの反応を無視して言葉を続けようとするがそこで、固まる。 ――今にも泣き出しそうなのだ。ティータが。 「えぐっえぐっ」 「ちょ、ちょっと待てチビスケ、なんでそこで泣く?」 「アガットさん、私とは、あ、遊びだったんですか?チョコレート貰ってくれたから、私てっきり」 ティータは涙を両目にためて、顔を真っ青にして不安げにアガットを見上げている。 「いや、ちょ、チョコレートもらったくらいでなんでそこまで話がエスカレートすんだ?」 「……知らないんですか?」 「なにがだ?」 「ジェニス学園では、一年生のバレンタインデーにチョコレートを貰ってくれた男子と添い遂げるって校則があるんです、だから一年生の女の子は学園生活を左右するバレンタインデーに一生懸命チョコレートを作ったり、買ってきたりするんですよー」 ティータはポロポロと涙を流しながら、上ずった声でそう説明する。 「いやまてまてまて、俺はそんな校則きいたことねーぞ」 「……アガットさん、校則一つでも知ってますか?」 ティータは、かなり長い時間考え込んでそう尋ねる。 「……そういや1つも……しらねえ」 重剣のいや、変態ロリ教師アガットの胡散臭さはここに極まっていた。 「それなら……」 ティータは涙をぬぐって決意が篭った瞳で言う。 「それなら、なんだ?」 「わ、私がっ!教えますから、あのあの……で、ですからっ……」 ティータはそこで言葉を遮って、アガットに鼻先が触れるくらいまで接近し、ぎゅーと硬く目を閉じる。 |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 13:44:32 ID:/lm78s9y
ID:
「お、お、おい」 アガットがとっさに顔を引こうとした刹那。 グサッ 何かが彼の後頭部に突き刺さった。――吸盤つきの矢、ボウガンから放たれたであろ うそれ。 そのお陰で、アガットの唇は彼の意思とは関係なくティータの額に触れる。 「あっ……。……アガットさん……大好きです」 ティータが漏らした声。それと重なって屋上の給水塔の影から舌打ちする声が聞こえた。 「チッ、ミスった。額になってしもーた。もうちょいでめっさおもろいシーンが激写で きたのに、残念やったわ……」 緑の逆立った髪に、白い特殊な制服を着た男。写真部特務部隊、盗撮騎士団で第5位 に位置するケビンは、この二人のとろけるような甘いシーンを意図的に作り出し、学園 新聞に晒してきた張本人である。 「ま、この超高精度MP3レコーダーが最後の譲ちゃんの決定的なセリフをとったから よしとするか」 大変ご都合主義な話だがジェニス学園には、中・高等部一年のバレンタインデーにチ ョコレートを貰ってくれた男子と添い遂げるという校則がある。その為に、毎年のバレ ンタインは熾烈な男子争奪戦が繰り広げられる。何しろここで敗北すると学園生活が灰 色になってしまう可能性もあるのだ。 ――放課後。 「何故俺も、ヨシュアに付き合って、女装をしなければならないのだ?」 「こうなった原因はレーヴェだと思うけど。それにまるで僕が女装好きみたいに聞こえ るじゃないか」 「……違いあるまい。女装をしたお前はまるでカリンに瓜二つだ。よく似合うぞヨシュア」 「それは聞き捨てならないよ、レーヴェ」 ――クラブハウス屋上。 カシウス校長から、女装して一日おとなしく過ごせ、と命じられたヨシュアとレーヴ ェは、午後の授業をサボって、日没の瞬間を待っていた。 「とにかく、この格好で男子寮までは帰れない。闇に紛れていくしかないね」 「フ、お前らしいな。だが、俺は用事があるのでな、先に帰らせてもらうぞ……」 「まさかその格好で?」 |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 13:46:36 ID:/lm78s9y
ID:
「屋根を伝って帰れば問題はない」 レーヴェは微笑んですぐさま屋上の床を蹴って校舎の屋上へ跳ぶ――。 「……さすがレーヴェだね」 その後姿を見送るヨシュア。そしてドレス姿のヨシュアもそれに続く。 しかしレーヴェの後を追って、講堂の屋根に差し掛かった瞬間。 「まあ……」 刹那、背後から女子生徒の声が聞こえてきて、ヨシュアは凍りつく。 「クス……よくお似合いです、ヨシュアさん」 微笑みに携えられた柔らかい言葉――。これだけ聞こえの良い声を出せる人物は学園 に一人しかない。 「……ク、ク、クローゼ!?」 クローゼは、渡り廊下から講堂の屋根に登っているヨシュアの姿を見つけ、割と簡単 に登れるようになっているそこへやって来る。 「今日、午後から授業にいらっしゃらなかったので、どこにいるのかと探していました ……あの……前にお芝居でつかった服ですよね?その礼装がお気に入りになのでしょ うか?」 クローゼは、嬉しそうにヨシュアに近づくと彼が着ているドレスを見て言う。 「そ、そんなんじゃないんだ……これには深いわけが」 上ずった声でヨシュアはこたえる。決してクローゼの方に視線は向けない。いや向け られない。 「ヨシュアさん」 「な、な、なに?」 「私、女装したヨシュアさんも素敵だと思いますよ。素直に可愛いって思いますから」 クローゼは、さらりと言葉を続けるが、ヨシュアの脳みそはそれで溶解を始めていた。 「う……ううっ」 ヨシュアは、言い訳すら思い浮かばずその場で涙を流す。 「実は今日ヨシュアさんを探していたのは、大切な用事があるからなんです」 クローゼは、微笑みを保ったまま少年に近づきハンカチをポケットから取り出してその涙を拭う。 |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 13:48:37 ID:/lm78s9y
ID:
「大切な用事?」 「ええ……実は……」 そこでクローゼは可愛らしい瞳を右斜め下に落として、息を呑む。 この異様な雰囲気にヨシュアも何かを感じたのか、ゴクリと喉を鳴らし、クローゼの次の言葉に備えた。 「そ、そのなんと申しますか……。う、受け取っていただきたいものがあるんですっ……」 意を決して顔をあげたクローゼはすでに耳まで真っ赤に染まっていた。 「ま、まさか……」 ヨシュアはそう言って一歩退く。それを追うようにポケットから小さなリボン付きの小包をもったクローゼが足を踏み出す。 ギシッギシッ まるで戦闘の際に間合いを取り合うような二人の動きに、人間の体重を支えるようにはできていない屋根が悲鳴をあげる。 「こ、これ……チョコレートです」 「う、うん……」 ヨシュアは知っていた。クローゼが手にしているものの意味を。午前中はクラス中その話で持ちきりだったからだ。 「で、でも落ち着いてクローゼ、本当にそんな大切なものを僕なんかに渡していいの?」 ヨシュアは、頭の中がパニックになっているが必死にクローゼを嗜める。その動機は、この後同じように迫り来るであろう、姉弟の存在が脳裏に釘を刺したからだ。 「も、もちろんですっ」 クローゼの声も思いっきり上ずる。 その刹那。 バキッ ド派手な音と共に、クローゼが踏み出した先の屋根が抜ける。 「キャアッ」 |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 13:51:17 ID:/lm78s9y
ID:
「危ないっ」 講堂内に向かって転落するクローゼを追ってヨシュアは、屋根に空いた穴に飛び込む。 そして空中でクローゼを抱きかかえて、自らが下になって受身の態勢をとる。 タイミングが良いのか悪いのか、講堂内では部活動が行われており、たまたま敷いて あったマットの上に二人は落ちることができた。無論、これはタイミングが良かったと 言える。だが――。 「あんた達、なにやってんの……」 殺意の篭った声。落下地点にエステルがいたのは史上最悪のタイミングであると言えた。 「私……私、ヨシュアさんの事が好きです……」 その殺気、そして二人に注目する講堂にいた数十人の生徒達の存在をの完全に無視し 、ヨシュアの腕の中にいるクローゼは、うっとりした目でヨシュアの顔を覗き込んでそ う宣言する。恐怖の後の安堵感が彼女を完全に二人だけの世界に隔離していた。――周 囲にその言葉を聞かれることの意味も今のクローゼには考えることができない。 「えっ、ええっ!?」 ヨシュアを含むその時講堂内にいた生徒数十人が一斉にあげた驚愕の声。 「あ、あ、あんで(ry」 エステルは脊髄反射でそう声を出すが、そこで言葉を失った。――最強の敵の出現。 成績優秀で運動神経もよく美人かつ可憐な学園のスーパーアイドルが、突如として他に 障害などなかったエステルとヨシュアの中に割って入ってきたのだ。 「ぐあっ」 「ば、ばかな……クローゼちゃんが、女の子に告白だと!?」 ヨシュアの正体を知っている男子たちは、口々に吐血のセリフを吐きその場に崩れ落 ちる。一方でヨシュアの女装を見抜けない男子たちは、目を剥き出しにしてその場で固 まる。また無言で一部始終を見ていた女の子たちも、エステルの反応を見て胸の鼓動を 強める。乙女の感が告げているのだ。――ここが修羅場になると。 「ちょ、ちょっとクローゼ、じょ、冗談……よね?」 エステルは笑みになっていない引き攣った微笑みを携えて尋ねる。 「……あ、あの。い、いつから皆さん、そこにいらっしゃいました?」 |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 13:53:50 ID:/lm78s9y
ID:
エステルに声を掛けられて初めてクローゼは我に返る。周囲を不安げに見渡すその視線。 ――今の告白をこれだけの数の人に聞かれていたという事実。 「も、もしかしてずっと聞いていらっしゃったんですか?」 ただでさえ真っ赤になっているクローゼの頬がさらに茹で上がったようになる。 目も潤んでいるように見えるのは気のせいじゃないだろう。 「あんた達が降ってくるところから、聞いてらっしゃったわよ!」 「エステル、聞いて欲しい、これは違う、違うんだ!」 何が違うのかと問い詰められれば一貫の終わりであるその言葉をヨシュアは必死に紡ぎだす。 「……ヨシュア、あんたは黙ってて」 が、エステルは女装してる弟以上の存在を一瞥すると、再びクローゼに目を向ける。 「ねえ、いい加減離れたら?皆見てるんだけど」 未だに密着している二人にエステルはジト目で続ける。 「あっ、ご、ごめんなさいヨシュアさん」 クローゼは、はっとなって自分の格好を見る。 マットに倒れているヨシュアの上に圧し掛かっているように抱きついている体制になっているのだ。 これを写真に撮られたら、クローゼが押し倒したと言われても反論はできまい。 「い、いや、クローゼに怪我がなくて良かったよ」 「……何か勘違いがあるようなので言っておくわ」 再び二人の世界を形成しようとしているクローゼに向けてエステルはドスの聞いた声で言う。 「ヨシュアは、毎年ずーっと、あたしのチョコを食べてバレンタインを過ごしてきたのよ! 今更、他の女の子からチョコを受けとるはずがないわ、ねーヨシュア?」 静かに、そして勝ち誇るよう腰に両手をあててふんぞり返ってエステルは続ける。 |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 13:55:14 ID:/lm78s9y
ID:
「甘いチョコが出てきたことはなかったけどね……」 ヨシュアはそれにボソッ反論するが、エステルに睨まれて押し黙らされた。 「あの……つまりエステルさんもヨシュアさんのことが好きなんですか?」 クローゼは真顔でエステルと対峙し、そう問いかける。 「……べ、べ、べ、別に、あたしはヨシュアの家族ってだけで、そんな……好きってわ け……」 「好きではないんですね?」 突然の直球質問にエステルが顔を赤らめるが、それに容赦なくクローゼは重ねる。 「す、す、好きよ……」 消え入りそうな声でもじもじとエステルは続ける。 「えっ」 それに驚きの声を出したのはクローゼではなくヨシュアだった。クローゼは表情を変 えずエステルの次の言葉を待つ。 「好 き だ っ て 言 っ て ん の よ 文 句 あ る !?」 エステルは、目をぎゅっと閉じて講堂内で何度も木霊するするような大声で叫ぶ。 「……そうですか」 クローゼは、軽くため息をつくと、その言葉を静かに受け止めて目を閉じる。 「ならば、学園のバレンタイン伝統に従って決闘で決着を付けましょう……」 クローゼはそう言って、床に転がっていた竹刀を手に取り構え、そして目を見開いて言う。 「なによ? 決闘? クローゼ剣なんて扱えるの??」 エステルはフフンと鼻で笑って、同じように床に落ちていた長い棒を手にする。クロ ーゼは可憐ではあるが、それは同時に華奢という意味でもある。エステルはクローゼの 手よりも二回りは太い自らを腕を捲くり構える。 「私は愛する者の為に命を掛けて戦う覚悟です!」 「あ、愛する者ですってぇぇぇ!?」 「はい、ヨシュアさんは転落する私を命を掛けて守ってくれました。ですから、私もヨ シュアさんの為に命を掛けます!」 「あ、あの……僕の気持ちは……?」 恐る恐るヨシュアは二人の少女に尋ねる。 「うっさいっ!」 「お静かに!」 と凄い剣幕で叱れ再び黙らされるヨシュア。そしてその掛け声が戦闘開始の合図となった。 |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 13:56:43 ID:/lm78s9y
ID:
エステルとクローゼはお互いに間合いを維持しながら、武器を構えて円を描くように地 面を蹴る。しかしリーチの上では明らかにエステルが有利であり、先制のそして決め手の 一撃としてクローゼの足を狙い、長い棒を振るう。エステルにしては、思いっきり手加減 したそれ。だが――。 「せいっ」 意外にもクローゼはなんなくその一撃を払い、とてつもない勢いでエステル目掛けて突き を放つ。 「えっ!?」 面食らったのはエステルだった。とてもあの華奢で奥ゆかしい性格の女の子が繰り出す ような一撃ではない。それは剣道部でエースクラスの実力といっても過言ではないほどの 強烈な一撃であった。エステルは、たまらず左手でそれを払って後ろに飛ぶが、竹刀でな かったら、それでこの戦いは終わっていたという程の衝撃を腕に負う。 「ふ、ふーん。な、なかなかやるじゃない……」 ニヤリと笑みを溢しエステルは、全力で戦える相手に出会ったことを素直に喜ぶ。 「ヨシュアさん、私に力を貸してください」 クローゼは祈るように言って、再び剣を構えなおす。 「冗談じゃないわよっ、ヨシュア、クローゼに力なんて貸したら許さないんだからっ!」 「……この状況で、僕に何ができると言うんだ」 二人の争いをオロオロと眺めていたヨシュアは、今度こそ泣きながら言う。 「とっ、とにかく、ヨシュアはあたしのものよっ!」 「っ!? い、いいえ、ヨシュアさんは私のものですっ!」 そう叫んで再び二人の少女は刃を交える。本気なったエステルでも実力は全くの互角で、 競り合いになったり、打ち合いになったりしても一向に決着がつく気配がない。 「あたしのヨシュアあたしのヨシュアあたしのヨシュアあたしのヨシュアあたしのヨシュ アあたしのヨシュアあたしのヨシュアあたしのヨシュアあたしのヨシュア!!」 「私のヨシュアさん私のヨシュアさん私のヨシュアさん私のヨシュアさん私のヨシュアさ ん私のヨシュアさん私のヨシュアさん私のヨシュアさん!!」 二人は肩を大きく動かして荒い息をしながらも叫び獲物を振るう。もはや意地と意地と のぶつかり合いといってよかった。 |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 13:58:21 ID:/lm78s9y
ID:
刹那。その均衡を破る強烈なプレッシャーが講堂の扉を消し飛ばす。 「レ、レーヴェ! 助けに来てくれたんだね!」 ヨシュアは兄貴分の登場に歓喜に打ち震える。 金属製の重い扉を粉々にして、講堂に飛び込んできたのはレーヴェ。検定の異名を持つ 資格試験の天才にして、大陸最強の剣道家である。 「カ、カリン……」 「え”」 その検定の真っ赤な目は、いつもよりも怪しく輝いて舐めるように女装しているヨシュアを見る。 「カリン好きだァァァァァァァァァァァッ!!」 「え”え”え”え”」 先に家に帰った検定に何があったのか。目は完全に逝っている 「ちょ、レーヴェ、何があったんだ!? はっ!!!」 ヨシュアはカリンカリンと叫びながら、じりじりと物凄い形相で迫りくるレーヴェを見 て、何かを思い出す。 ――あの冷凍マグロに姉さん何か仕込んでおいたな。 レーヴェは何故急いで帰路についたのか。そう、解凍したマグロが傷む前に調理して食 べたのだろう。だが、ヨシュアにしてみればそれは軽率極まりない行動だと言えた。まず、 あの姉が送ってきたものは科学特捜本部で鑑定してもらわなければ絶対に食べてはならな い。それは、ハーメル村、鉄の掟7か条に本当に書いてある条文である。 「ま、待ってレーヴェ、僕はヨシュアだ。カリン姉さんじゃない……」 ヨシュアは真っ青になって続ける。だが、講堂の鏡に写る自分の姿を見て絶句した。 どう見ても姉に瓜二つなのだ。 「エ、エステルさんっ!」 クローゼが乙女の直感で愛する者の危機を察する。今ヨシュアに襲い掛かっているのは エステルなど比較にならないほどの力をもった狂気であると。 「いいわ、ここはヨシュアの操を守るために共闘しようじゃない!」 腰を抜かして恐怖に戦くヨシュアを守るように、エステルとクローゼがレーヴェの前に 立ちはだかる。 「どけ。俺はカリンの為なら修羅にもなる」 殺気を灯した目で邪魔者を排除しようとレーヴェは、帯刀していた刺身包丁をを抜く。 ――やっぱりマグロを調理していたようである。 「あれはどーみてもカリンさんじゃないでしょっ。どうしてもやるというのならっ。くらいなさい!大極輪!!」 |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 13:59:19 ID:/lm78s9y
ID:
エステルが全身を回転させ、レーヴェに突進する。 ――周囲の生徒もその旋風に巻き込まれ、数人が中に舞うが当然エステルは気にしない。 外野の男子生徒からからはどう見ても超電磁タツマキだろうアレ。とのツッコミが入るが エステルはそれも無視して、手にある獲物をレーヴェに叩きつける。――だが。 「フッ、この程度でこの俺を止めるつもりか?」 レーヴェは心底、あきれた声で言う。 レーヴェはエステルの最終奥義と言ってもいいそれを人差し指一本で止めてみせた。 「あ、明らかにいつもより強い……」 ヨシュアが真っ青な顔でつっこむ。このレーヴェという男。カリンが絡むと見境がなく なる。普段は非常にクールでスマートな男だが、姉の前では茹蛸のようになっている姿を 子供の頃から何度もヨシュアは見ていた。 一方で、数年前に謎の軍隊が村を襲撃してきた際には、干してあったカリンの下着を戦 利品として持ち帰ろうとした蛮兵に激怒し、その軍をたった一人で皆殺しにした事もあっ た。 「い、今です、コキュートス!」 その刹那。クローゼのよく通る声。講堂全体を取り囲む極寒の瘴気が、その場にい生徒 達をカチンカチンに凍らせた。さっき共闘すると約束したエステルも、どさくさに紛れて 凍らされていた。だが、ただ一人、レーヴェだけはそのアーツの威力を受けて微笑んでい る。 「フッ、この程度の冷気、カリンの作る特製アイスクリームの異様な冷たさに比べれば、 まだ心地よいわ」 「そ、そんな……」 「確かにあのアイスは冷たいよね……」 水系最強のアーツを受けても全くダメージを受けないレーヴェに、ヨシュアは呆れた声 で言う。 「でもレーヴェ、これはやりすぎだ」 ヨシュアは、周囲の惨状を見て言う。エステルに吹き飛ばされた生徒は天井に突き刺さっ ていたり、壁にめり込んだりしている。クローゼに凍らされた残りの生徒も、かなり悲惨 な姿を晒していた。……やりすぎたのは、ほとんどエステルとクローゼである |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 14:00:29 ID:/lm78s9y
ID:
「さあ、カリン、行こう」 氷のような目をした男が見せる満天の笑み。 「やめてよね、僕が本気で逃げたらレーヴェが適うわけないだろ?」 クローゼの肩に手を回し、唯一無事であった少女を守るようにヨシュアは言う。そして、 その言葉が終わると同時にレーヴェとヨシュアは同時に床を蹴った。 ――ハァハァハァ ヨシュアの荒い息の声だけが木霊する森の中。――学園の裏にある旧校舎。クローゼを 抱きかかえたヨシュアはレーヴェから逃れる為に、ここまで全力で疾走してきた。 「も、もう大丈夫だよクローゼ」 と、抱きかかえていたはずのクローゼを見た瞬間。 「う、うわあああああああああああああああああああああ」 いつの間に入れ替わったのかは分からない。もはやページの都合上とか思えない展開だ が、そこには両目にハートマークを浮かべるレーヴェが抱きかかえられていた。 「カリン……こんなにも俺のことを……」 レーヴェは、涎をジュルリと垂らし、ヨシュアに迫る。 「で、でもまだ僕の方が速いはずだ!」 言ってヨシュアは再び床を蹴るが。 どってーん 着ていたドレスの裾をレーヴェに思いっきり踏まれ、床にキスをする羽目になる。 「ああ……カリン」 キラキラを目を輝かせてレーヴェが迫ってくる。 「うわなにをするんだわせdrtfyぐh」 ――聖なるバレンタイン。この日、旧校舎から一晩中、悲鳴が聞こえていたのは言うま でもない。 次回、「クローゼのお見合い」に続く |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 14:01:36 ID:/lm78s9y
ID:
以上です、多分を長々と失礼しました。 |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 14:23:42 ID:rRgckGul
ID:
検定と漆黒のセシリア姫はどっちかが女だったら ベストカップルになれるくらいの素質があった |
名無しさんの野望[]投稿日:
2006/03/16(木) 14:59:29 ID:7XlEzCY9
ID:
>>134-151 GJ! |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 16:04:39 ID:zPCZ/M8Z
ID:
やめてよねワロスw |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 16:25:43 ID:+lH+rlSi
ID:
ツンデレのエステルに萌えた |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 16:54:30 ID:6QVf66pV
ID:
|
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 18:21:41 ID:F1W5s3lk
ID:
>>135-150 激しくGJ!! |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 18:42:48 ID:yfYDmVHR
ID:
たった今レンたんを仲間(NPC)にしたんだが… ちょwwwwwwwwHP10202てwwwwwwwwwwww |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 19:15:57 ID:GrQ1bw/p
ID:
>そうしてFCが発売されてしばらく経った頃、 >SCの打ち合わせ時にキャラクターデザインを担当するスタッフから妙な話を聞きました。 >それが「ユーザーにアネラスのファンが増えていて、それを取り上げるファンサイトがある」 >という情報だったんです(笑)。 >これ以前にアネラスを正式なパーティーキャラにしようという話は >スタッフから冗談半分に出ていました。が、こういう展開は予測していませんでした。 >この後の経緯は皆さんも想像つくと思うので割愛します(笑) ワラタ |
134[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 19:57:23 ID:crFNRIWv
ID:
やはり、スレを読むとちょっと長いですね(汗 今書いてる二話は、もっと短くして小出しにしていきますorz |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 20:00:36 ID:TrSaKfgo
ID:
超電磁タツマキワロタ 言われてみて気づいたしw そーいやエステルってツンデレ一歩手前だよな・・・ |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 21:12:31 ID:e01ZY0wM
ID:
幼馴染でツンデレというのは純粋な幼馴染好きには正直あんまり評価高くないよ。 |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 21:20:23 ID:u1ycYLHr
ID:
つーかエステルうz(ry |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 22:29:06 ID:P38Ip1DY
ID:
>134 素晴らしい。非常に面白かった。第2話では変態ロリ教師にもっとスポットを当ててくれると嬉しい。 あとレンタンを出してください。おながいします。 |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 22:42:28 ID:XpbXgmMW
ID:
エステルはツンデレと呼ぶにはツンが足りなさすぎる |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 22:50:04 ID:e01ZY0wM
ID:
そもそも幼馴染に必要なのは ・どうしても超えられない壁 ・微妙な立場 ・代わりの効かない相手という想い とかの描写だよ。ツンデレな幼馴染なんて幼馴染としての価値はほとんどない。 普通にツンデレキャラでいい。→幼馴染としての優位性消滅 |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 22:59:20 ID:P38Ip1DY
ID:
エステルはツンの成分ほとんどないだろ。基本的に誰とでも仲良くなれるわけでね。 つーか、口を開けばツンデレとのたまう奴が多いが、そういう奴らは『素直じゃない』と『ツンツンしてるけど好きな人の前ではデレデレ』の 区別がついておらん。 |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 23:02:44 ID:GipTAXVl
ID:
エステルは鈍感なだけで、素直だからな。 |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 23:14:00 ID:e01ZY0wM
ID:
誰とでも仲良くなれるってのも幼馴染としては微妙なんだよね。 というかまあエステルは幼馴染としての萌え要素という意味では たぶん強くない。ヨシュアの心をあんまり正しく読めてないし、所詮FC後半で芽生えた恋心だし で幼馴染としての旨みが非常に薄く見える。SCでの描写もFCで初めて好きになったキャラでも 出来そう。逆にヨシュアは幼馴染としての性能はすごく高い。 あとは性別だが。 |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 23:19:49 ID:rRgckGul
ID:
やっぱエステルはヨシュアの顔がもう少し悪かったら恋愛感情を抱いてないね。 |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 23:21:30 ID:XpbXgmMW
ID:
逆にヨシュアはエステルの顔がどんなに悪くても恋愛感情を抱くんだろうな。 |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 23:25:10 ID:zu7sO4oJ
ID:
>169 なんでそこまで型にはめようとするのか分からん。エステルはエステルだし、ヨシュアはヨシュアだろ。レッテル貼り好きな人か? |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 23:43:04 ID:R52USgG4
ID:
ワイスマン『ああ言えばこう言う。』 |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 23:45:36 ID:e01ZY0wM
ID:
RPGと違うゲームだとエステルはヨシュアのことに気づかずに自分を好きだと言って 来た相手と付き合うことにして、ヨシュアは気持ちを押し殺して「おめでとう」って 感じで黙って立ち去るパターンなんだよね。 |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/16(木) 23:50:55 ID:zPCZ/M8Z
ID:
>『ツンツンしてるけど好きな人の前ではデレデレ』 最近はこれがツンデレの定義らしいが俺的には 『ツンツンしてるけどフラグが立ったらデレデレ』 だと思ってる。 それだったらただの嫌な女じゃん。 |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/17(金) 00:45:38 ID:/rssxXL2
ID:
ヨシュエスでの感動を期待してた人間にとっては期待はずれな作品だったことだろう。 |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/17(金) 01:13:01 ID:onFE7x9g
ID:
そのへんは6章で再会した時点で完結しちゃってるからなぁ |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/17(金) 01:22:44 ID:buJ9EMdK
ID:
アガットとレーヴェの絡みも5章で終わりだしな。 折角キャラが立ったんだから、もうちょっと関連させて欲しかった。 |
名無しさんの野望[]投稿日:
2006/03/17(金) 08:26:51 ID:DYpgkdpu
ID:
>>134 続き期待age |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/17(金) 09:13:10 ID:f5gK36mJ
ID:
しかしエステルほど萌えられない女キャラも珍しいな。 キャラデザも悪くないのに・・・なんでだろう?w まあ女主人公としてはそっちの方が良いけどね。 |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/17(金) 09:21:30 ID:/dln2HOg
ID:
主人公だからじゃない? |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/17(金) 09:59:32 ID:mwJ2Q/wq
ID:
ヨシュアのほうが何倍も萌えますね。 |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/17(金) 10:41:38 ID:X7VII7D0
ID:
照れてるときの顔が可愛くない |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/17(金) 15:51:27 ID:zqzLPshG
ID:
エステルが一番萌える俺はどうしたら… |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/17(金) 15:51:56 ID:RqhFcLXU
ID:
己の道を信じろ |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/17(金) 16:07:36 ID:zqzLPshG
ID:
わかったよ、俺は自分の信じた道を突き進む!! |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/17(金) 16:44:53 ID:JyW36Nc7
ID:
でもごめん、エステルタソはもう俺のものなんだ |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/17(金) 16:47:24 ID:zqzLPshG
ID:
エステルは渡さん! |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/17(金) 16:48:41 ID:8aWYWJUq
ID:
エステルは今俺の隣で寝てるよ |
134[sage]投稿日:
2006/03/17(金) 17:13:56 ID:UzwJBA+3
ID:
二話、投下します。10kくらいです。 |
134[sage]投稿日:
2006/03/17(金) 17:14:58 ID:UzwJBA+3
ID:
王立ジェニス学園 第二話「クローゼのお見合い」 「姫様。やはり陛下は明朝にもお忍びでいらっしゃるようです。目的は前々からお話に上 がっていました帝国の皇太子との縁談だと思われます」 「そうですか……」 ――王立ジェニス学園――。リーベル王国西部、ルーアン地方にある名家の子弟が集う由 緒ある学園。2月15日の朝、紫色の髪を靡かせて、校舎へと続く道を歩いていた少女は、 茂みの中からふいに聞こえた声に一瞬立ち止まると、ため息をついて応える。 「昨日の件は聞いております。私がお傍についていれば、あのような事にはならなかった 筈。なんとお詫び申し上げれば……」 「いいのです、ユリア……。素直にヨシュアさんにお願いしてみます」 「は……?」 姫と呼ばれた少女は軍服を着た従者が潜んでいる通学路の茂みを一瞥すると、朝日が昇 る蒼い空を見上げる。 「問題は……エステルさんですね」 |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/17(金) 17:15:03 ID:j8stb7Hx
ID:
俺の両隣で寝てるフラッセとレイナ |
134[sage]投稿日:
2006/03/17(金) 17:16:24 ID:UzwJBA+3
ID:
「頭が痛い……?俺は何をしていた……?」 白髪に赤い目を輝かせる男は、重たい頭を無理やり起こして、今、自分がいる場所、時 間を確認する為にズルリとベットから抜け出して、周囲を見渡す。 ――そこは代わり映えのない自室、男子寮の一角にあるそれ。 「……あの時、俺はカリンが送ってくれたマグロをステーキにして……」 ボサボサになっている自分の頭を掻くと、木の葉が絡まっているのが分かった。次い で視界に飛び込んでくる靴も泥だらけである。 ――背筋が冷たくなる。記憶にはないが、明らかに暴れた後の姿である。 「……ヨシュア!」 すぐにその男は、ルームメイトである弟分の名を叫び、リビングへと続くドアを乱暴 に開ける。――自分が暴れたとしたら、それを諌めベットへと運べる実力をもった男は この学園に二人しかいない。 ――カシウス校長とヨシュア。放課後に調理をしたのであれば、カシウス校長はすでに 学園にいなかった可能性が高い。であれば、自分を止めたのは弟分であるとすぐに彼は 判断した。 「やあ……レーヴェ、おはよう」 リビングでは、目の下に思いっきり隈を作ったヨシュアがエプロンと三角巾を着けて 目玉焼きを焼いていた。 「ぶ、無事か?」 ホラー映画顔負けのヨシュアの顔と、怨みの灯ったその視線に、レーヴェは後ずさり 言う。 「なんとかね……。一晩中追いかけっこしたのは、何年ぶりかな……」 ヨシュアは、プライパンをひっくり返しながら、遠い目で笑う。 「すぐに朝御飯出来るから、座っててよ」 「あ、ああ……」 |
134[sage]投稿日:
2006/03/17(金) 17:17:17 ID:UzwJBA+3
ID:
と、レーヴェが椅子を引いた瞬間。二人はリビングへ駆けてくる足音を捉える。 「おはよう。ヨシュア、ちょっといいか?」 「おはよう、ハンス。用件によるけど、今日は何もできないと思う」 「いや、用があるのは俺じゃなくてクローゼなんだ。朝食が終わったら、授業の前にクラ ブハウスへ来て欲しいそうだ」 ハンスは肩を竦め、ヨシュアとレーヴェの視線に応える。 「……」 ヨシュアは、そこで昨日の告白の事を思い出し、また頭を抱える。 「……どうしたんだ?」 ハンスは、まだ昨日の事を知らないのだろう。だが、あれだけの生徒前で告白を聞かれ れば、学園中に広まるのに一日と掛からない。 「い、いや、なんでもない。クラブハウスだね。了解」 ヨシュアは、儚く微笑んで手元の目玉焼きが焦げで真っ黒になっていることに気づいた。 「ヨシュアさん、昨日はご迷惑をお掛けしてしまってすみませんでした」 「いいんだ。クローゼが無事で良かったよ」 クラブハウス2階、生徒会室でクローゼはヨシュアを迎えていた。クローゼは待ってい る間に沸かしていたお湯でレモンティーを作ると、それをヨシュアの前に運び続ける。 「でも本当はとても嬉しかったんです」 ヨシュアが礼を言って、一口お茶を飲むタイミングでクローゼは切り出す。昨日のよう に頬を染めるということはない、何かを確信したような自信をもって言葉を紡ぐ少女。 「命を掛けて守ってもらえるなんて思っていませんでしたから」 「あの状況では、誰でもああしたと思うよ」 ヨシュアは、微笑んで淡々と応える。――予想通りの話の展開に、ヨシュアは用意して いた答えを言葉にするだけで良かった。 「あの……ヨシュアさんは、エステルさんと私、どっちが好きなんですか?」 これは想定外の質問だった。ヨシュアは忽ち余裕の笑みを崩壊させてお茶を吹く。 |
134[sage]投稿日:
2006/03/17(金) 17:18:15 ID:UzwJBA+3
ID:
「げほげほっ」 「だ、大丈夫ですか?」 クローゼは慌ててヨシュアの服を拭いて、咽ている背中を擦る。 「どちらとも、僕には大切な人だよ。――こんな答えじゃ不満かな?」 「……いいえ」 クローゼにとって最高の答えではなかった。だが、目を閉じて少し考え込むとクローゼ は言葉を続ける。 「ヨシュアさん、実はお願いがあります」 「僕にできることなら」 「……そ、その一日だけで良いんです」 段々、クローゼの声が上ずって頬が蒸気する。――昨日と同じ展開。 それにヨシュアは、嫌な予感を感じるが、黙って息を呑み次の言葉を待った。 「わ、私の婚約者になってもらえませんか?」 その言葉でヨシュアの脳みそは完全に融解した。わずかに残った理性で、ありとあらゆ る状況を考えるがどうしても、クローゼの言っている事の意味が理解できない。 「お、落ち着いて……と、とにかく落ち着いて話そう」 そう言ってヨシュアは、ティーカップを取るがその手はガタガタと震え、すでに空のそ れを何度も口に運ぶ。冷静を装っているが、はたから見れば完全に挙動不審である 「実は……。明日、お祖母様が学園に視察にいらっしゃいます」 クローゼは、それを見て震えるヨシュアの手を握り締めると、その瞳を直視して続ける。 「お祖母様は、帝国の貴族の方との縁談を私にするつもりのようです。この学園に来ると き、一つだけ縁談を破談にできる条件を私はいただきました」 「……それが学園で彼氏を見つけるって事?」 「いいえ、彼氏では駄目です……」 |
134[sage]投稿日:
2006/03/17(金) 17:19:26 ID:UzwJBA+3
ID:
「ど、どうして?」 「――私の家は厳しいので、彼氏、婚約者、旦那様は同義です。そ、その……男性は生涯 で一人と決められています」 クローゼは、ヨシュアを直視していた視線を逸らし恥ずかしげに言う。 「……」 ヨシュアは、心の中で物凄いリアクションをとって頭を抱える。 「で、ですから、ヨシュアさん」 「い、いや待ってよ。一日だけでも本当にそんな役に僕を選んでいいの?」 と言葉に出して、ヨシュアは息を呑む。昨日の告白を考えれば、この少女にとって頼れ るのは自分だけだと悟る。 「っ」 そのヨシュアの言葉に、クローゼは大粒の涙を溜めて絶句した。 「……ごめん……分かったよ、クローゼ。泣かないで。上手くできるかどうかはわからな いけど、僕、君の婚約者になる」 「あ、あんだってぇーっ!?」 刹那、生徒会室の壷の中からの叫び声。 「だ、だれだっ!?」 ヨシュアは庇う様にクローゼの前に立つ。 「こ、この浮気者ー!」 ドッカーン ――壷が大爆発する音。 |
134[sage]投稿日:
2006/03/17(金) 17:20:54 ID:UzwJBA+3
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入るは良いが、出ることは出来なかったのだろう、壷を破壊して中から現れたのは栗 毛のツインテール。ミスター超電磁たつまきこと、エステル・ブライトが両手を腰に当て て、ヨシュアとクローゼの前に立ちはだかる。 「エステル……どこから聞いていたんだい?」 ヨシュアはこの展開に目眩を覚えながらも問う。 「”エステル、女神より美しい君……。僕は……悪い学園のアイドルを倒す!”まで読 んだわ」 「いやいやいや、そんな事言ってないから……。そもそも質問に答えてないと思うよ」 「…………クローゼを尾行して、生徒会に進入し、壷の中でウトウト〜としていたら 、良くは覚えていないけど、なんか物凄く衝撃的なセリフを聞いた気がするんだけど、 もしかして、あたしの気のせい?」 エステルは長く間を置いてから、ポリポリと頬を掻きながら問う。 「えっと……エステルさん、実は」 クローゼは、大きく肩を落とし、ゆっくりと切り出し。先ほどヨシュアに話した事情を話した。 続く |
134[sage]投稿日:
2006/03/17(金) 17:21:26 ID:UzwJBA+3
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今回は以上です。長々と失礼しました。 |
名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/17(金) 17:29:01 ID:UzwJBA+3
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名無しさんの野望[sage]投稿日:
2006/03/17(金) 17:29:26 ID:yW6w3rsz
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エステルがただのギャグキャラに… クローゼ派だからいーけど |