検察の強引な取り調べは信用しきれないが、政治資金をめぐる小沢一郎・民主党元代表の秘書らの弁明は、さらに信用できない。一言で言えば、こういうことであろうか。
小沢元代表の資金管理団体「陸山会」の収支報告書虚偽記入事件で、政治資金規正法違反罪に問われた元秘書3人に対する判決が東京地裁であった。
元秘書の衆院議員、石川知裕被告(38)は禁錮2年、執行猶予3年(求刑禁錮2年)の判決。他の2人にも同じく禁錮刑が言い渡された。検察側の全面勝利と言っていい。
3人は、2004年の陸山会の収支報告書に、小沢元代表からの借入金4億円を記載しなかったなどとして起訴された。検察は原資が明らかにできないため記載できなかったと指摘し、「事実無根」とする元秘書側と全面対決となった。
公判で裁判所は東京地検特捜部の取り調べについて、威圧や誘導をうかがわせると厳しく批判した。検察が証拠採用するよう請求した石川議員らの供述調書の大半を却下するという、異例の展開を見せていた。
それでも裁判所はなお、調書以外の法廷証言や客観証拠などを基に、検察側の見立てに沿う形で全面有罪の判決を導いたのである。
犯罪に結びつく直接的な証拠とは言えなくとも、4億円を分散して入金したり、高額な利子を払ってまで銀行から同じ額の借り入れをしたりする不自然で不合理な行為を問題視したということであろう。
判決は虚偽記入にとどまらず、中堅ゼネコン水谷建設からの1億円の授受についても認定した。本来ならそれ自体が大問題である。検察の捜査に疑問が残っても、それを上回る政治の腐敗を司法として見逃すわけにはいかなかったのではないか。
この判決が問うたのは、記入ミスという形式的な犯罪だけではない。いまだに業者との癒着や裏献金がはびこる小沢元代表側のカネの集め方そのものを断罪したといえる。
同じ罪で検察審査会によって強制起訴された小沢元代表本人の裁判も10月6日に始まる。
元秘書の裁判では小沢元代表との共謀は審理されていないため直接の関係はないが、現職国会議員を含む元秘書3人に有罪判決が出たことで、小沢元代表はその政治責任が改めて厳しく問われることになる。
政治資金規正法の相次ぐ改正や、同法違反事件の摘発にもかかわらず、政治とカネをめぐる国民の不信感は拭いきれないままだ。透明で公正な仕組み作りを急ぐ必要がある。
小沢一郎、石川知裕、取り調べ、陸山会、元代表、水谷建設
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