自転車世界一周に7年計画で挑戦中の小口(おぐち)良平さん(31)が今月上旬、21カ国目となるイランの首都テヘランを通過した。最短距離をつなぐ地球一周ではなく、ネパール人男性が築いた“世界記録”の「五大陸150カ国走破」を超え、各地をくまなく走るのが目標だ。
既に2年半で中国やインドなど7万キロ以上を走破。交通事故3回、入院2回、窃盗4回の被害に遭ったが、「つらい出来事の後は、その何倍もの喜びや幸せな出会いがある」と旅の魅力を語る。
長野県出身。上京して学生生活を送ったが、何も自信が持てない自分が嫌だった。「夢の実現を通じて自分を変えたい」。4年間の会社員生活で資金を準備。テントを載せ、ペダルをこぎ続けた。
カンボジアでは貧困家庭に招かれ、現地の月給以上の餞別(せんべつ)をもらい背中を押された。イランに入り、水も食料も尽きかけたが、トラック運転手や工事現場の男性が食事を分けてくれた。「多くの励ましを胸に前に進むだけ。夢を持つ素晴らしさを次世代に伝えたい」【鵜塚健】
毎日新聞 2011年9月26日 東京夕刊