KDDIが東京都内で26日に開いた秋冬商戦向けのスマートフォンと携帯電話新製品発表会で、田中孝司社長の質疑と、会見後の囲み取材の一問一答は次の通り。【岡礼子】
Q:高速無線通信技術「WiMAX(ワイマックス)」(が3G回線から逃がしたデータ通信のトラフィックを受け止める)のオフロードの効果は。
田中:今春発売したEVO(HTC製)のワイマックス利用率はだいたい8割くらい。そのうち、オフロード分が全体のトラフィックでどれくらいになっているのか、申し訳ないが手持ちのデータがなくて即答できません。(ワイマックス対応機種は)今後たくさん出てきますので、結果をお知らせする時があると思う。
2013、14年には、全3G通信(トラフィック)の半分くらいは、3G以外にオフロードしていかなければいけないと思っています。オフロード先は、ワイマックス、Wi-Fiだけではなく、固定もあるかもしれません。いろんな施策を進めていくことになる。ネットワークはまだ余裕があるので、現時点ではそこまで心配はしていませんが、将来に向けて考えています。
Q:UQワイマックスで(9月)21日、大規模な通信障害が起きた。原因と再発防止策は。
田中:ちょうど台風の日にUQのネットワークが長時間ダウンしました。台風が近づいてきて、ユーザーのアクセスが通常時の9倍くらいにふくれあがりました。高トラフィック時の輻輳(ふくそう)コントロールの設定がちょっと甘くて、システムがダウンしました。今、バグの対処をしている。多数のお客様にご迷惑をおかけしました。おわび申し上げたい。
Q:秋冬向けの新製品に携帯電話が3機種しかないが、今後は。
田中:本当に多数のお客様がスマートフォンに完全にシフトしていると実感している。スマートフォンのラインアップの中に、もっといろんなバラエティーをつくってほしいということだと認識しています。おそらく数年たつと、携帯電話の(端末数の)割合は2、3割になるのではないか。スマートフォンでインターネットを使い始めると元に戻れない。スマートフォンの中できめ細かいニーズにどこまで対応できるかが課題だと思っています。
Q:新しい料金プラン「プランZシンプル」で減収の影響があるのではないか。また、設備の対応は。
田中:これまでに指定通話定額などでかなり無料部分が進んでいますので、(影響の)幅はそんなに大きなものではないということです。音声の設備についても十分ありますので、通話回数の増についても物理的なインパクトはない。
Q:なぜ、「プランZシンプル」をこのタイミングで提供するのか。
田中:ずっと検討していまして、今冬のタイミングで出すのが一番いいのかなと判断しました。指定通話定額などの浸透がある程度、進んでいますので、業績面でのインパクトという意味では、それほどないということで今回になりました。
Q:アイフォーン発売についてコメントを。
田中:申し訳ないがノーコメント。
Q:auは純増数で3位、4位とかなり劣勢だ。今回のワイマックス対応機に対して、NTTドコモもXi(クロッシィ)対応スマートフォンを出すとされている。ソフトバンクは端末に強みがある。アイフォーンのことも含め、逆転するための戦略を。
田中:純増数の話は、少し理解が違う。われわれはずっと、ナンバーポータビリティー(MNP)の差(が指標)だと思っている。これは大分、流出が少なくなって、なんとか(流出が)止まるくらいまで来れたのではないか。まだ純増数では、モバイルルーターやフォトフレームといったところをがんばらなければならないと思っていますが、スマートフォンの戦いという意味では、モメンタム(勢い)を取り戻せてきたと思います。今回、ワイマックスと3Gのモバイルルーターも出します。下半期は携帯以外の端末でもがんばっていこうと思います。
競争力について、われわれはワイマックスのエリアカバレッジの広さは圧倒的に広いと思っている。これで十分、やっていけると認識しています。
Q:アイフォーンについて、何か一言。
A:先週からいろいろな記事が出ていますし、本当に多数の方から質問を受けるんですが、申し訳ないですが、すべてノーコメントとさせていただきたい。
2011年9月26日