太陽の黒点数が少ない時期ほど巨大地震の発生頻度が高いことが、湯元清文・九州大宙空環境研究センター長(宇宙地球電磁気学)のチームの分析で分かった。東日本大震災も黒点数が少ない時期に起きた。太陽の活動が地球内部に影響を及ぼす可能性を示す成果として注目される。11月3日から神戸市で開かれる地球電磁気・地球惑星圏学会で発表する。
太陽の黒点数は約11年周期で増減を繰り返し、地球大気の状態を変化させている。チームは地球内部にも何か影響を与えていると考え、1963~2000年の太陽の黒点数と、同時期に発生したマグニチュード(M)4以上の計32万7625回の地震との関係を調べた。
その結果、M4.0~4.9の地震の65%が、太陽黒点数が最小期(約2年間)の時期に起きていた。M5.0~5.9、M6.0~6.9、M7.0~7.9でもほぼ同じ割合だったが、M8.0~9.9では、28回発生した地震の79%が最小期に集中していた。また、黒点数が少ない時期には、太陽から吹き出す電気を帯びた粒子の流れ「太陽風」が強まる現象が毎月平均3~4回あるが、その現象時に、M6以上の地震の70%が発生していた。
太陽風が吹き荒れると、地上の送電線に巨大な電流が誘導され、大規模停電を起こすことが知られている。湯元センター長は「太陽と地震の活動をつなげる要素は不明だが、地震の謎を解明する手がかりにしたい」と話す。【田中泰義】
毎日新聞 2011年9月26日 2時31分