2011年9月25日 20時37分 更新:9月25日 23時15分
東京電力福島第1原発事故で発生したセシウム137などの放射性物質を含む汚染水は、3月26日に海への流出が始まり、4月中旬ごろまで原発近くの沿岸に高濃度でとどまった後、海の渦に流されて拡散したとの解析結果を、電力中央研究所の津旨大輔上席研究員らが25日までにまとめた。
東電は「流出は4月1日から」としているが、もっと早い段階から汚染水が漏れていた可能性が出てきた。また津旨研究員らは海への流出量を3500兆ベクレルと推計、東電発表の3倍以上となった。
津旨研究員らは、海水に含まれるセシウム137(半減期約30年)とヨウ素131(同約8日)について半減期などを基に割合を分析すると、汚染水が流出したか、大気中に放出された放射性物質が海に落ちたかを区別できることに着目。
東電による海水の測定データも含めて調べると、汚染水漏れは3月26日に始まったとみられる。4月6日までの流出量が多く、少なくとも5月末まで漏れ続けたと判断した。
シミュレーションによると、4月8日には、海面に近い浅い場所でセシウム137が原発沿岸に高濃度に分布する一方、低濃度のセシウムは渦の影響で外洋に運ばれた。
高濃度のセシウムは13日には沿岸を福島県いわき市沖に南下、沖合30キロにも高濃度の部分が及んだ。一方、それより濃度が低いセシウムは5月1日に千葉県沿岸、24日に仙台湾に到達した。
いずれも外洋に出ると黒潮で東へ運ばれた。こうした結果は文部科学省などの観測データとほぼ一致した。
3月下旬から海水の放射性物質濃度は高かったが、東電は汚染水が海に漏れたのは4月1日からで、それ以前は大気中に放出されたものが落ちたと説明し、1~6日の流出量は520立方メートルで、セシウム137の総量は940兆ベクレルと推計。一方、津旨研究員らは事故以降、海に直接流出したのは3500兆ベクレルと推計した。
解析結果は26日から福岡県春日市で開かれる日本海洋学会で発表する。