2011年7月27日 21時10分 更新:7月28日 0時56分
【北京・米村耕一】中国国防省の耿雁生(こうがんせい)報道官は27日、定例記者会見で「空母開発を真剣に研究している。使い古しの空母の改造を進めており、研究と試験、訓練に使う」と述べ、自前の空母の研究・開発を進めていることを初めて公表した。中国が大連港で旧ソ連製空母「ワリャーグ」(6万トン級)の改造作業を進めていることは公然の秘密だったが、中国政府が公式に認めるのは初めて。
ワリャーグはスキー・ジャンプ方式の長さ約300メートルの甲板を持ち、軍事筋によると、自主開発中で短い滑走で離陸できる艦載機「殲(せん)15」を20~30機搭載するとみられる。耿報道官は艦載機パイロットについて「現在、空母のための人材育成を進めており、(パイロットは)自ら養成、訓練する」と強調した。
空母の試験航行の段階が近づいたため、計画を発表したとみられる。中国紙・法制晩報はワリャーグ改造空母の名称について「『天津』になるのではないか」と予測した。中国はこのほか、上海郊外でも国産空母の建造を進めているとされる。
耿報道官は空母研究の理由を「長い海岸線と広い管轄海域を持っているため」と説明、試験航行の時期は改造のペースに基づき判断すると述べた。中国の空母保有は南シナ海の権益をめぐって対立する東南アジア各国への脅威となるが、耿報道官は「発表時期は南シナ海情勢とは全く関係がない」と述べた。
空母については梁光烈国防相が09年3月、当時の浜田靖一防衛相に「大国で空母を持っていないのは中国だけだ。永遠に空母を持たないわけにはいかない」と断言。今年6月には香港紙・商報のインタビューに陳炳徳・総参謀長が「空母を建造中だが、完成していない」と述べていたが、改造も建造も公表してこなかった。
ワリャーグは旧ソ連時代に7割建造された段階で資金難のため工事が中断。扱いに困ったウクライナ政府が98年、中国系企業に約2000万ドルで売却した。02年から大連に係留され改造作業が進められていた。