科学【ムラの掟 原子力“先進国”の構造】(上)元福島知事「起こるべくして…」 安全神話過信 税収を優先+(4/4ページ)(2011.9.24 22:26

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【ムラの掟 原子力“先進国”の構造】
(上)元福島知事「起こるべくして…」 安全神話過信 税収を優先

2011.9.24 22:26 (4/4ページ)
会談する佐藤栄佐久・福島県知事(左)と勝俣恒久・東京電力社長(右)=2003年7月10日、福島県庁(撮影・財満朝則)

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会談する佐藤栄佐久・福島県知事(左)と勝俣恒久・東京電力社長(右)=2003年7月10日、福島県庁(撮影・財満朝則)

 福島県には、明治以降、会津の只見川流域や猪苗代湖で開発された水力発電によって、「首都圏の電気を賄ってきた」という強烈な自負がある。東電は福島県に対してことあるごとに、「明治以来、長きにわたってお世話になっている」(平成6年7月、佐藤にあいさつに来た際の東電社長の言葉)と低姿勢だった。

 × × ×

 だが安全に関しては、「お世話になっている」はずの地元が、いつも後回しにされた。

 14年、東電が福島第1などのトラブル記録を意図的に改竄、隠蔽していた「トラブル隠し」が露見した。関連会社の元社員が実名で内部告発したにもかかわらず、監督官庁の原子力安全・保安院は告発者を容易に特定できる資料を、当事者の東電側に渡していた。

 電力会社と、それを監視すべき立場にある保安院が「グル」だと思われても仕方ない構図。当然、地元は反発した。

 低姿勢を装いながら、電力会社も国も、「原発は安全で、原発なしでは地域は成り立たない」と思わせ、地元自治体をも取り込んでいく巧妙なレトリック。そして安全面では地元は軽視される。それが原子力ムラの掟だった。

 渡辺は指摘する。

 「原発に依存する地元は、安全に関しては常に蚊帳の外に置かれてきた。国と電力会社が癒着(ゆちゃく)していると疑っても仕方のないことだった…」

 佐藤も自責の念を込めるように、こう語る。「ムラの掟を崩壊しなければ日本の原子力行政は再生できない。それが社会を大切にするということだ」(敬称略)

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会談する佐藤栄佐久・福島県知事(左)と勝俣恒久・東京電力社長(右)=2003年7月10日、福島県庁(撮影・財満朝則)

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