篤姫特集
はじめに
NHK版“大奥”とも言うべき、日曜8時の大河ドラマ『篤姫』が視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)で24%を記録するなど、以外と好評だそうだ。かなり創作されたドラマのストーリーについて、史実上の真実味があるかどうかという議論はともかくとして、薩摩領主・島津家の分家の娘が、本家の養女となり、さらには幕府将軍家の御台所として大勢の女組織のトップと出世してゆき、幕府崩壊後の徳川家を守り抜いたということは歴史上の事実であり、事実そのものがドラマチックで面白いことは間違いない。全体で50回の大きなドラマということである。毎回波瀾にみちた篤姫の生涯について、見る人はおおいに楽しめそうである。
しかも、主役の篤姫を演じる、宮崎あおいという“おでこ”がとてもかわいい、結婚ほやほやのこの22歳のこの女優さんは、なかなか優秀だ。溌溂とすてきなお姫様を演じている。子役の時から活躍していて、演劇やコマーシャルなどもこなし、何本かの主役映画も含めてすでに30作以上の映画作品があるという。それなのに、すこしも子役ずれしていない、いつでも新人らしいフレッシュで好感が持てる演技をする、あるいはできる人で、そこがまた人気の秘密かもしれない。
またこのドラマは、実にさまざまな見方ができる。そんな点がまた楽しい訳で、多くの人にも人気を得ているもうひとつの理由のようにも思うのである。たとえば、幕府サイドから篤姫を見る人々は、大奥の主人として徳川家を守りぬいた女ボスとしての篤姫の姿を思い描く。一方、薩摩の地元の人々は、薩摩という田舎から花の江戸へと嫁いて行った、薩摩自慢の姫様という見方をするであろう。血なまぐさいこれまでの幕末ものにあまり興味がなかったり、維新のいばりくさった薩長藩閥政府が嫌いという人々も、維新政府とはまったく関わり合いを絶ったこの数奇な運命の薩摩の人物に、ちょっとばかり興味を抱いてドラマを観ているのかもしれない。
ただ、この大河ドラマで楽しんでばかりいては、結局、明治維新に非常に重大な役割を果たした、この篤姫という女性の本当の姿には迫れないということがだんだんと明らかになってきている。
というのも、篤姫をはじめとする、幕末の島津家の人々とは、古くは鎌倉幕府を開いた源頼朝公と深い係わり合いのある人々であること、この一点をはずしては彼等島津一族の立ちふるまいは理解できない。これは、このページを観て下さっている人なら、ある程度分かって下さるものと思う(メインのページに載せている、靖国神社での『毛利氏、島津氏と法華経との因縁』、および鶴岡八幡宮での『法華経と源頼朝』を御参考ください)。
しかし、何と言っても驚くべきことは、本門下種・三大秘宝の日蓮大聖人の仏法とも、実に深い結縁のある人々であるという大変な事実である。歴史という土砂の中に埋まっていた、真実の金脈とも言うべき人々だったのである(本ページをリンクさせていただいている法華講本行寺支部、妙音の渋谷賢悟氏の記事を必ず御覧ください)。
ここで、私があえて篤姫の記事を書かせていただくのは、私ども薩摩の姫様と殿様たちについて、われわれの視点からでなければ分かりにくい側面については、どうしても皆様にお伝えすべきであると信ずるからである。あまりに書くべきことが膨大で曖昧模糊としていて、私の力量ではとてもカバーできないのであるが、あえてその一端でもお伝えすべきと、蛮勇をふるおうと思う次第である。