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[29741] [習作]新世紀末エヴァンゲリオン(エヴァ×北斗の拳)
Name: 七つの傷の男◆80d20351 ID:e853a10f
Date: 2011/09/20 12:01
 
 この作品は新世紀エヴァンゲリオンと北斗の拳のクロスオーバー作品です。

 筆者は全くと言っていいほど文章力が無いため、二つの作品の魅力を出しきれ無い可能性が十分にありますが頑張っていきたいです。

 それと筆者は小説の素人なのでアドバイスや注意点などがあったらぜひ感想版にお願いします。


 <注意>

 話の都合上TV版エヴァと映画版エヴァの設定が混ざる時がありますがご容赦ください。



[29741] プロローグ
Name: 七つの傷の男◆80d20351 ID:e853a10f
Date: 2011/09/13 12:17
一九九✕年
世界はセカンドインパクトにつつまれた!!
海は汚れ、地は裂け・・・
あらゆる生命体が絶滅したかにみえた・・・

だが・・・

人類は死滅していなかった!!









 「シンジ君、遅いわねぇ。」

 そう駅で呟くのは葛城ミサト、29歳!!彼女は特務機関NERV(ネルフ)に勤める若手(?)の作戦部長である。
なぜそんな彼女が駅で佇んでいる理由は司令である碇ゲンドウからの命令で、とある事情により現在別居中の司令の息子である碇シンジ14歳を迎えに来たからである。
 しかし指定した時間はとっくに過ぎているのにいくら待っても中学生らしき人物は改札から出てこない。
居るのはなぜか巨大な黒馬に跨った熊の様な肉体をした大男のみだ。出口は一つしかないのだからここに来るはずなのだが。

 (一旦連絡を取った方が良いかしら・・・?)

 何か事件に巻き込まれたのならば急いでそれ相応の対処を取らねばならないのでポケットから携帯電話を取り出しネルフに連絡を取ろうとすると

 「そこの女、貴様に聞きたい事がある。」

 行き成り背後から溢れんばかりの筋肉を持ち、全長ニメートルを超えるような巨大な大男が話しかけてきた。
圧倒的なプレッシャー!!ただ話しかけられただけなのに膝を付いてしまいそうな位怖い。
そもそもミサトは若くしてネルフの作戦部長を務めているだけあって、実戦経験はかなり豊富だ。
そんな彼女の背後を目立つという文字をそのまま人間にしたような大男があっさりと取った事から信じられない。
腰に付けてある拳銃を抜いてしまいそうになるが、彼女の経験と本能がそれを止める。そもそも拳銃如きで勝てる気がしない。

 「・・・何かしら?私今忙しいのだけれども。」

 恐怖で足が竦みそうになるが、何とか声を絞り出す。よくよく考えれば相手はただ私に聞きたい事があるだけみたいだからさっさと質問に答えて何処かに行ってもらおう。そうしないといろいろ持たない。主に私の精神と心臓が。

 「人違いだったらスマンが、貴様・・・葛城ミサトか?」

 「・・・えっ、今・・・なんて?」

 そう言いながら大男は懐から一枚の写真と手紙を取り出し私に渡してきた。震える手でそれを受け取った。
そこにはネルフの司令であり、シンジ君の父親でもある碇ゲンドウからの手紙と私の送った私の写真があった。この二つの手がかりが意味する事とは・・・

 「もしかして・・・あなたの名前は・・・」

 頭に思い浮かんだ回答を真っ先に否定する。
某少年探偵の「真実はいつも一つ」、というセリフが頭の中でいつまでもリピートする。そんな筈は無い。確かに真実はいつも一つだ。だけどこれは無い、断じてない。そもそも彼はとても14歳には見えない。どう若く見ても私より年上だ。だから彼はシンジ君が急に来られなくなったから来られなくなったと伝えるために来た代理人に違いない、絶対に!!
 
 「我が名はラオウ。世紀末覇者ラオウだ!!!」

 ほら、違った。某少年探偵ばりの私の名推理は外れていない事がこれで証明された。世紀末覇者という単語がものすごく気になったが今はそんな事どうでも良い。
 今は一刻も早くシンジ君が第三東京市に来れなくなったという事をネルフに伝えな

 「またの名を、碇シンジと言う。」

 聞こえてはいけない物を聞いてしまった気がした。



[29741] 第一話 北斗襲来
Name: 七つの傷の男◆80d20351 ID:e853a10f
Date: 2011/09/16 21:20
 シンジ君(仮)から衝撃の事実を聞かされ、気を失いかけたが任務への使命感でなんとか正気を取戻しシンジ君(仮)をネルフまで車で先導した。(シンジ君(仮)は車に乗らずに黒王号という漆黒の巨大な馬に乗って付いて来た。) 
 
 何とかネルフまで着き、地下のエヴァがある格納庫までエレベーターに乗って連れて行くことになったのだ。(シンジ君(仮)がただでさえデカい上に黒王号から降りないものだから酷く窮屈だった。)

心も体もへとへとの状態でやっと格納庫にたどり着きシンジ君(仮)は格納庫を見渡した。LCLに漬かっているエヴァを興味深そうにまじまじと見て

「ほう、何だこの巨大な木偶は?」

「ええ、これは汎用人型決戦兵器エヴァンゲリオンよ。」

 人類の希望であるエヴァンゲリオン木偶扱いされたことでシンジ君(仮)に事情を説明するためにこの場にいるエヴァンゲリオン開発責任者である赤木リツコは不満げに顔をしかめる。(それでも文句を言わないのは怖いからではない、断じてない。) 
 そしてミサトはここからどうやってシンジ君(仮)をエヴァに乗せればいいのか頭を抱えて悩んでいる。

「ぬぅん!!!北斗剛掌波!!!」

 シンジ君(仮)は上に向かって腕を突き出したかと思うといきなり腕を振った方向の壁が壮絶な爆発音と共に砕け散った。

 「・・・は?」

 何が起きたのか理解が出来ないネルフ局員たち。なぜいきなりシンジ君(仮)が腕を突き出したのか、そしてなぜそれだけで壁が砕けるのか、向こうに居た人は大丈夫なのか何一つ理解が出来ない。

「・・・手荒い挨拶だな。」

「まさか、いきなり剛掌波を放ってくるとは!!!読めなかった。この冬月の目をもってしても。」

煙の向こうから、二人の声が聞こえてきた。そしてだんだんと煙が晴れていき・・・二人の男が現れた。一人は長身の人のよさそうなそこそこ高齢そうな男、そしてもう一人はサングラスを掛けこいつがラスボスだと言ったら信じてしまいそうな悪い顔をした中年のおっさん。悪そうなおっさんはシンジ君(仮)のほうに向き、

「久しぶりだな、シンジ。」

「やはり貴様かゲンドウ、あのふざけた手紙を我に送ったのは!!!貴様の命ここでかき消してくれるわぁ!!!!」

父親と会わせれば何だかんだ言っても協力してくれると思っていたがここまで仲が悪いとは思わず泣きたくなってきた。それと今までシンジ君をシンジ君と認めないように(仮)をつけて呼んでいたがもう父親が彼をシンジ君と認めたのだから彼を正真正銘本物のシンジ君である事が分かってしまった。とにかく止めようと思っても二人の身体から溢れ出す闘気のせいで口を開くどころか動く事も出来ない。

「とにかくシンジ。エヴァに乗ってさっさと使徒を倒して来い。これは命令だ!!」

「黙れ!!我に命令できるのは我だけよ!!それに使徒何ぞ興味はない、あるのは貴様の命だけよ!!!」

ふぅ、とゲンドウはため息を尽き

「よかろう、貴様に父よりも優れた息子などいない事を証明してくれる!!!」

「自惚れるな、ゲンドウ。貴様如きで黒王号の上からわしを引きずり落とすことすら出来ぬ。」

まさに一触即発の状態である。使徒のネルフへの攻撃と目の前の出来事の板ばさみでミサとは、父さん私頑張ったよねもうゴールしていいよねと、いろいろ諦めていた。

「私が乗ります。」

救いの声がした気がした。ミサトでもなくリツコでもなくもちろんシンジでもゲンドウでも無かった。皆が声のした方へ目を向けるとそこには一目で重症だと分かる全身が包帯で巻かれた色白の少女が立っていた。壁に寄りかかり非常に辛そうである。

「レイ!!何してるの!?あなたは今立てる状態じゃないんだから早く病室に戻って!!!」

ミサトが闘気に押し潰されながらも色白の少女のレイに必死に呼びかける。だがレイはそれを拒否し息も絶え絶えに話し続ける。

「ぐ・・・大丈夫です。それに・・・北斗神拳では使徒には勝て無い・・・」

その言葉を聞いた瞬間シンジからレイに強烈な殺気を当てられる。だがレイは気にする事無く

「北斗神拳は秘孔を・・・突くことによって内部から破壊する陰の拳。しかし未知の生命体である使徒の秘孔などどこにあるのか、そもそも・・・有るのかすら解らない。そんな状態で闘ったところで無駄死にするのが関の山。」

「貴様・・・」

だが、とレイは続ける。

「私の・・・使う南斗聖拳は別。相手がどんな特殊な生物だろうと外部から・・・全てを破壊するのみ。だから安心して。あなたは死なないわ。私が闘うもの。」

その言葉を聞いた瞬間シンジは黒王号から降り隠そうともしない怒気を持ってレイに言葉をぶつける。

「よかろう!!!貴様の挑発乗ってくれるわ!!!!北斗神拳の真髄を貴様らに見せてくれる!!!」







 


 「彼良く乗る気になってくれたわね。」

 「ええ、全くね。本当レイには感謝しなくちゃいけないわね。」

 シンジ君がエヴァに乗ってくれ現在は出撃準備中である。シンジ君が乗ってくれた事により、少しだけ気が楽になったミサトはリツコと今後の事を話す。

 「でもシンジ君はエヴァに初めて乗るのよ。今更だけど無茶じゃないかしら?」

 「そうね、無茶かもしれない。だけど私たちにはこれしかないのよ。」

 「LCL注入完了。シンクロ開始。えっとシンクロ率・・・うそ!!!有り得ない!!!」

急にオペレーターであるマヤが驚きに満ちた声で声を上げる。何事かとミサトとリツコはモニターを覗き込む。

「シ、シンクロ率100%ですって!?有り得ないわ!彼は今回が初めてなのよ!!」

「一体彼は何者なの・・・。」

 あまりに有り得ない数値に二人が驚愕していると

 「北斗神拳の真髄は己の潜在能力を全て引き出すことにある。アレも未熟とはいえ北斗神拳を修めているのだ。そう可笑しな事でも無い。」

全く納得できない説明をゲンドウから受けながらも意地を張っても仕方が無いと見なかった事にした。(人はこれを現実逃避という)

 「発進準備完了!!!」

 「エヴァンゲリオン発進!!」

 リフトに乗せられたエヴァが上昇していき終には地上に出る。
 そこに居たのは鳥の頭に人の様な体を持った巨大な異形の怪物だった。
 突然目の前に現れたシンジの乗っているエヴァを無機質な目でじっと見つめてくる。

 「いいわね、シンジ君まずはあ「■■■■■■■■■!!!」何!?」

 じっとエヴァを見つめていた使徒が行き成り、想像を絶する声と言っても良いのか分からぬ不快な音を発生さえてきた。使徒は悟ったのだ。目の前に居るのは自分がここに来るまでに蹴散らした有象無象では無い事を。目の前に居るのは・・・怪物であると。

 「■■■■■■■■■■■!!!!!」

 叫びながらエヴァに突撃する未知の生物、使徒。助走がついた状態で彼は・・・跳んだ。そのまま全力で押し潰す気であろう。

 「まずい!!!シンジ君避けて!!!」

 だがシンジはそこから一歩も動かない。否!!!まるで動く必要などない、と言わんばかりに立っている。

 「愚かな・・・」

 そう言って彼は上から襲い掛かってくる敵、使徒にシンジは空に手を突き出す。
 
 「どりゃ!!!神は貴様に既に死を与えていたのだ!!!!」

 「■■■■■■■■!?」

  それだけで勝負は決まった。シンジが空に掲げた手の先に刺さっている使徒。軍の攻撃を山ほど受けてもビクともしなかった使徒が一撃でもう動かない。
 基地に居るミサト達は何が起きたのか理解が出来ずに固まっていた。

 「これで終いか。」

 シンジは興味を失ったかのように乱暴に手を振って使徒を適当に投げ捨て、帰ろうと背を向ける。
 その瞬間使徒が行き成り立ち上がり、背後から襲い掛かろうとする。

 「まさか、自爆する気!!!シンジ君!!!!」

 ミサトが叫び、後ろから自爆する気満々な使徒が襲ってくるがシンジはなんら気にする事無く

 「終いと言っただろう。」

 急に後ろから迫って来た使徒の動きが止まった。何だか若干苦しそうにも見える。

 「貴様は既に死んでいる。」

 「■■■■■■■■!?」

 自爆するまでも無く使徒は内側から爆散した。



~あとがき~
 こんにちわ、七つの傷の男です。稚拙な文ですが二話目をお送りいたします。しかし本当に小説って難しいですね。これからも応援よろしくお願いします。何かご意見や誤字があったら報告お願いします。



[29741] 第二話 見知らぬ天井
Name: 七つの傷の男◆80d20351 ID:e853a10f
Date: 2011/09/20 11:59
 「おっお帰りなさい、シンジ君。」

 サキエルを文字通り指一本で下し帰って来たシンジをミサトは(ビビりながら)出迎えた。今ミサトは使徒を無事に倒せた安心感よりもこれから起きるであろう出来事に不安を感じていた。

 「ふん!!!あんな有象無象わしの敵では無いわ。そんな事よりもゲンドウ、貴様の仕置きがまだ済んであらぬなぁ!!!」

 「愚かな・・・。せっかく見逃してやろうと思ったのに、命を捨てると言うか。よかろう、貴様に真の拳法という物を見せてくれる!!!」

 ミサトの不安は的中し、まさに父と子の仁義無き親子対決が今始まろうとしていた。

 「冬月副司令、何とかして下さい!!!」

 「おおお!もしやこんなに親子仲が悪いとは!!この冬月、一生の不覚!!!」

 マヤが冬月副司令に仲裁を頼んでいるがいつも通り役に立たないし、このままでは本部が壊滅してしまいかねないと本気で転職を考え始めると、

 本日二度目の救いの女神が現れた。

 「な・・・にをやってるん・・・ですか?」

 そこには、病院のベッドに寝ている重態なレイがいた。

 「重体だったので連れて来るのは気が引けたんですけど、止められそうな人がこの人位しかいなさそうだったので心を鬼にして連れてきました。」

 「褒められた行為じゃないけど今だけは敢えて言うわ。青葉君、GOOD JOB!」

 ミサトが青葉が罪悪感を感じている顔で話していると、レイに対しシンジとゲンドウは

 「貴様には関係ないわ!!!引っ込んでおれ!!」

 「レイ、さっさと病室に戻るんだ。」

 二人ともまるで相手にする気が無い。ミサトが希望は打ち砕かれたと言った絶望的な表情を仕掛けたが

 「いい加減に・・・して下さい。そんなに闘い・・・たいのなら、私が相手を、グッ!?」

 「レーイ!!!」

 レイが無茶をし過ぎたのか決して少なくない量の血を吐きだした。局員達がレイの名前を叫びながら駆け寄る。

 「ふん、興が冷めたわ。」

 「命拾いしたな、シンジ。」

 どうやら、レイの文字通りの必死の説得でネルフ壊滅は避けられた様である。





 「ここが今日からあなたの家よ・・・」

 シンジは現在ミサトの家にいた。(黒王号に乗りながら)シンジは

 「ほう、ここがわしの新しい住処か。小汚いがなかなかの広さだ。気に入った。」

 家の中でも黒王号から降りないシンジに自分のマイホームを気に入られてミサトは思う。

 どうしてこうなった・・・





 史上最大の親子喧嘩がレイによって回避された後、シンジが暮らす所について話し合われた。本来であれば、適当なマンションに一人暮らしをさせる予定であったがあのシンジを一人で監視も付けずに住ましたらどんな最悪な事態になるのか予想もつかないため却下された。

 「と言う訳で誰かの家に居候させるしかないけど、誰にしましょうか?」

 第一回対シンジ君住居対策会議の司会を務める赤木リツコは皆に意見を求める。

 「司令の家は当然却下ですね。火薬庫に火炎放射器を持ったモヒカンを投げ入れる様な物です。」

 「その例えはどうなのよ・・・。間違ってはないけど。」

 当然の如くゲンドウの家は却下され、ホワイトボードにバツマークを付ける。

 「じゃあリツコの」

 「残念ね、私本部の研究室での泊まり込みが多いからあまり家には帰らないの。だから監視には向いてないわね。」

 そう言ってリツコは自分の所にバツマークを付ける。何だかズルい気がするが真っ当な理由を言っているので文句を言う訳にもいかない。

 「じゃあ、マヤの家はどうかs」

 「ミサト、若い女性の家は流石にどうかと思うのだけど?」

 「ぐ・・・」

 そう言ってリツコはマヤの所にもバツマークを付ける。(リツコがバツマークを付けるときマヤが尊敬のまなざしを送っているような気がした。)

 「じゃあ、青葉君か日向君は?お互い若い男同士ですし、なんの問題も無いと思うけど。」

「勘弁して下さい。僕の家は狭いんですよ。普通の中学生位ならまだしもあんなにでかいのは無理です。」

 「上に同じく。」

 無理じゃないけど確かにキツイわね、と二人の所に三角のマークを付ける。

 「じゃあ、レイは!?あの二人の喧嘩を止められ」

 「入院中。」

 一言だけ言ってバツ書く。

 「つまりある程度は家に帰れて若い女性じゃなくて家が広くて入院中でなければ大丈夫、と言う訳ね。おめでとうミサト、あなたにぴったりじゃない。」

 「まぁ確かに若くはないな。」

 「ええっ!!!嘘、まじで!?流石の私でも二人で暮らすのはちょっと・・・。それと司令、後で話があります。」

 当然ながら断ろうとするミサトだが皆話を聞かないで拍手と賛辞を浴びせてくる。(皆引き取りたくないので当然の行為。)

 「おめでとう」

 「おめでとう」

 「おめでとう」

 「おめでとう」

 「ちくしょー!!!」






 



 そして現在に至る。最初は暗かったミサトだが決まってしまったものは仕方が無いとばかりに明るく振る舞う。

 「よーし。シンジ君ここは住みよい共同生活を実現するために生活当番を決めましょうか!ジャンケンで今月の家事当番決めるわよ!!」

 自分で言っておいてなんだがてっきり、断ると一言で切られると思っていたのだが予想外にも

 「よかろう、かかってくるが良い。」

 意外とあっさり承諾してくれた。(家の中でも黒王号から降りないけど)本当はいい子なんじゃないかと思い始めたミサトであった。




「ポン!!!ぎゃあああああ!!!また負けたぁ!!!」
 
 結果はまさかのあいこすら無くストレート全負け。確率的に有り得ない筈なのに。このような出来事を人は呼ぶ、奇跡と。

「何やったの!?シンジ君、もしかして後出しでもしたの!?」

 当然の質問にシンジは

「愚かな・・・。北斗神拳にかかれば筋肉の動きを読み次に貴様の出す手を予測する事等容易い事よ。」

「なに、その無駄な技術・・・」

「北斗神拳に不可能は、む?何だこの珍妙な物体は?」

シンジが自慢げに話してると目の前になぜか缶ビールを手に持つペンギンが横切った。
 
 「ああ、その子は温泉ペンギンのペンペンかわいいでしょ。でもあんまり黒王号を近づけないでね、怯えちゃうから。」

その後も色々な事を話し(主にミサトが話をしてシンジは黙って聞いている。)シンジを部屋に案内しながらミサトは思う。

意外と一緒に暮らしても問題ないかもしれない。



[29741] 第三話 電話は投げ捨てるもの。
Name: 七つの傷の男◆80d20351 ID:e853a10f
Date: 2011/09/24 16:11
 「ぬぅん!!!北斗剛掌波!!!」

 シンジが叫び、それに連動するエヴァが腕を大きく振るう事で腕からどの様な原理なのかさっぱり分からない謎の衝撃波が飛び出す。

 「ちょ、ちょっとシンジ君!!ここ室内なんだから壁を壊すのやめてくれない!?」

 赤木リツコが呼びかけるが、シンジは笑いながら腕から謎のビームを出すのを止めない。現在ミサト達はシンジにエヴァの操縦に慣れてもらう事と武器の取り扱いを慣れてもらうために訓練をしている筈なのだが・・・

「こんなガラクタを使う気など毛頭ないわ!!!」

と、エヴァ専用のマシンガンをその場でへし折りモニターに映し出される目標に北斗剛掌波を打ち続けるだけの簡単なお仕事を続けている。

 「目標をセンターに入れて剛掌波!!!目標をセンターに入れて剛掌波!!!目標をセンターに入れて剛掌波!!!目標をセンターに入れて剛掌波!!!目標を」

 「もうやめて!!!ネルフの予算はもうゼロよ!!!」

結局、シンジが満足するまで訓練(と言う名の破壊行為)は続いた。









 「では、行ってくる。」

 「いってらっしゃーい・・・」

 シンジが第三東京市の中学校に転校してから二週間目。最初はてっきり学校に行くことに難を示すかと思われたが意外とすんなり登校することを承諾してくれて非常に助かった。
 そういえば彼携帯電話を渡してから誰からも一度も掛けないし掛かってこないけど友達居ないのかしら、とミサトは布団の中で夢心地に包まれながら思った。

 




 

 「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ、うわらば!!!」

 「トウジィィィィィ!!!」

 シンジに殴りかかるも指一本で弾かれ、悲鳴を上げながら地面を転がる少年がいた。彼の名前は鈴原トウジ、シンジの通う学校のクラスメートである。

「諦めろよ、トウジ。お前じゃ勝てねぇよ、殺されちまう!!!」

 なんとか無謀にもシンジに殴りかかるのを止めようとするトウジの親友である相田ケンスケ。
さっきから何度も突撃してはあっけなく地面を転がるトウジを見てられない、と言った顔をしている。

 「へへっ、忠告ありがとな。だがな引くことは出来ん・・・その理由がワイにはあるんや!!!分かるやろ・・・ケイスケ。」

 何度も吹き飛ばされ最早立っているのがやっとであろう男、トウジはケイスケの忠告を礼を言いつつも聞かない。
 その目には命に代えても為さねばならない事があると言った固い決意が読み取れた。

 「貴様、なぜわしに挑む?勝てぬことは貴様がよく分かっておるだろう?」

 シンジの当然ともいえる疑問にトウジは息を荒げながら答える

 「転校生、お前あのロボットのパイロットなんやろ・・・。」

 シンジは何も言わずに話を促す。

 「ワイの妹はな、今入院してるんや。お前があのロボットで変なのと闘っている時に大怪我してな。」

 「・・・」

 「ああ、逆恨みなのは分かっとる。罵ってくれてもかまわへん。だけどな、怪我したんやぞ・・・。十にも満たないワイの妹は未だに病院のベッドで眠ってるんや・・・」

 だから、と続け

 「兄として、ワイはお前にせめて一発入れるまでは引けないんやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!」

トウジは足をふら付かせながらも叫び、シンジに向かって拳を振るう。満身創痍の状態のトウジの拳はお世辞にも早いとは言えなかった。

 ケンスケは思った。おそらくトウジはさっきと同じ様に転校生に弾かれてしまうだろうと。
 そして満身創痍の今、ムキムキな転校生の反撃を受けたらどうなってしまうか想像するのは難しくない。

 「トウジぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!」

 もう見てられないとばかりにケンスケは目を閉じてしまう。
 鈍い音がした。

 そして、トウジの悲鳴が辺りを覆い・・・つくさない。
 ケイスケは悲鳴が響き渡らない事に疑問を持ちそっと目を開けると、

 トウジの拳が転校生の腹に当たっていた。

 シンジに拳を当てたことで満足そうに崩れ落ちて行くトウジ。そして用は済んだという感じに後ろを向き去って行こうとするシンジ。

 ケイスケは地面に転がっているトウジを担ぎあげ、去っていくシンジを呼び止める。

 「おいっ、転校生!!!なんで、最後の一発防がなかったんだ!?」

 シンジはそこで立ち止まりしかし振り返らず

 「鈍すぎて、防ぐ気にもならなかったわ。」

 そういって、今度こそどこかで行ってしまう。

 「・・・本当はいい奴なのかもな。」

 背中にトウジを背負ったままケイスケは一人呟いた。その瞬間非常事態を知らせる警報が町を覆い尽くした。










 「未確認飛行物体接近中!!!パターン靑、使徒です!!!」

 警報が鳴り響く中ネルフは第一種戦闘配置に移る。作戦部長であるミサトはオペレーターのマヤに確認を取る

 「そう、分かったわ。シンジ君とエヴァは?」

 「シンジ君は現在プラグスーツに着替え終り、現在はエントリープラグの中に居ます。それとエヴァは後90秒で出撃できますよ。」

 順調に出撃準備が整っていくことにミサトは安堵の息を吐く。そんなミサトを見てリツコはシンジについて質問をする。

 「それにしても彼良くすんなり乗ってくれる気になったわね。前回はあんなに、もめたし今回は司令もレイも居ないのよ。」

 「そうね、正直彼あんまり乗り気じゃなかったみたい。だけど今回は条件付きで乗ってくれる事を承諾してくれたわ。」

 「条件?」

 リツコが条件について尋ねるとミサトは黙って後ろに指を指す。リツコが見てみると。

 「うっひょー!!!ここが噂のネルフ本部か!!!トウジが転校生にボコられたかいが有ったよ!!!」

 「お前殴られたいんか?」

 リツコが後ろを向くとシンジと同い年くらいであろう(シンジは中学生に見えないが)二人の男子中学生がいた。一人はジャージを着ていて活発そうな少年であり、もう一人はなんとなく軍事オタクぽっい感じがする少年だった。
 ネルフの中に民間人が居ると言うのに皆が皆見て見ぬ振りをしている。

 「・・・」

 「・・・」

 ミサトは頭を押さえておりリツコは呆然としている。シンジが出した条件とは同級生であるケイスケとトウジに己を闘いを見せろと言う物だった。
 秘密組織であるネルフは本来ならばその提案を呑めないのだが、エヴァのパイロットが現在シンジだけなので折れるしかなかったのだ。

 「・・・まぁ、邪魔にならなければいいわよね?」

 「そうね、邪魔にさえならなければ大丈夫よね?」

 後ろで騒ぐ二人の中学生を見なかったことにして作業に戻るリツコとミサトだった。
その時マヤが
 「エヴァンゲリオン、出撃準備完了しました!!!」

 エヴァの出撃準備が終わった事を報告してきた。ミサトは大声で皆に聞こえるように叫ぶ。

 「よし、エヴァンゲリオン出撃!!!」

 リフトに乗せられたエヴァが上昇していき地上に出た。
 そして、そこに居たのは筒状の体をした、巨大な昆虫の様な使徒だった。その目は前回の使徒と同じく無機質で生きているのかさえ分からないくらいだった。
 使徒はシンジを警戒しているのかなかなか近寄ってこない。

 「・・・」

 ネルフにいる職員たちと二人の少年はその闘いの行く末を唾を飲みながら見ている。
 一分か、十秒かは分からないが片方が動いた。

 動いたのは使徒だった。体の内側から出てきた無数の鞭状の腕を高速で振るいシンジを滅多打ちにしていく。

 「ぬう、あっあれは泰山流千条鞭!!!」

 「知ってるんですか冬月副司令!?」

 「たっ泰山流千条鞭とは無数の鞭を己の手足の如く操り目にも止まらぬ速度で振るう事で敵を切り裂く武技!!!まさか使徒が拳法を使うとは!!!見抜けなかったわ、この冬月の目をもってしても!!!」

 冬月が悔しそうに肩を震わせながらネルフの皆に伝える。その説明を聞き、画面でシンジが何も出来ぬまま滅多打ちにされていくのを見て皆背中に嫌な汗をかき始める。

 「シンジ君!?大丈夫?」

 ミサトが叫ぶがシンジからの応答は無い。未だに映像ではシンジがただ無数の鞭に打たれている。

皆が諦めかけた時

「負けるんやない!!!シンジ!!!ワイを何度も叩きのめしたやろ!!!お前なら勝てる!!!だから頑張ってくれぇ!!!」

 トウジがモニターに向かって全力でシンジに叫んだ瞬間

 「北斗剛掌波。」

 いきなり使徒が吹き飛んだ。そして空を舞いながら重力に従いそのまま地面に落下した。
 皆が呆気にとられていると

 「泰山流千条鞭、どんな物かとこの身に受けてみたが大した事は無かったな。もう貴様は要らん。我が拳にて砕け散るが良いわ!!!」

 シンジの一撃を受けたが、使徒はまだ戦闘続行なようで再度鞭を振るおうとする。

 「よく見ておけ、これが北斗神拳の真髄よ!!!」

 恐るべき速度で振り下ろされる無数の鞭、それをシンジは容易く全てを掴み引きちぎる。

 「喰らえぃ!!!」
 
泰山流千条鞭を超える速度で放たれる拳の数々を、鞭を失い防御手段の無くなった使徒はその身で全ての攻撃を受ける事となった。

 「北斗百裂拳。」

 そのまま地に伏せる使徒。所々へこんでいるが未だに原型は保っている。そして起き上がろうとするが

「ふん、他愛も無い。」

 興味は失せたと言わんばかりに後ろを向き帰還しようとするシンジ。そして使徒がようやく立ち上がる事に成功し、破裂した。


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