一九九✕年
世界はセカンドインパクトにつつまれた!!
海は汚れ、地は裂け・・・
あらゆる生命体が絶滅したかにみえた・・・
だが・・・
人類は死滅していなかった!!
「シンジ君、遅いわねぇ。」
そう駅で呟くのは葛城ミサト、29歳!!彼女は特務機関NERV(ネルフ)に勤める若手(?)の作戦部長である。
なぜそんな彼女が駅で佇んでいる理由は司令である碇ゲンドウからの命令で、とある事情により現在別居中の司令の息子である碇シンジ14歳を迎えに来たからである。
しかし指定した時間はとっくに過ぎているのにいくら待っても中学生らしき人物は改札から出てこない。
居るのはなぜか巨大な黒馬に跨った熊の様な肉体をした大男のみだ。出口は一つしかないのだからここに来るはずなのだが。
(一旦連絡を取った方が良いかしら・・・?)
何か事件に巻き込まれたのならば急いでそれ相応の対処を取らねばならないのでポケットから携帯電話を取り出しネルフに連絡を取ろうとすると
「そこの女、貴様に聞きたい事がある。」
行き成り背後から溢れんばかりの筋肉を持ち、全長ニメートルを超えるような巨大な大男が話しかけてきた。
圧倒的なプレッシャー!!ただ話しかけられただけなのに膝を付いてしまいそうな位怖い。
そもそもミサトは若くしてネルフの作戦部長を務めているだけあって、実戦経験はかなり豊富だ。
そんな彼女の背後を目立つという文字をそのまま人間にしたような大男があっさりと取った事から信じられない。
腰に付けてある拳銃を抜いてしまいそうになるが、彼女の経験と本能がそれを止める。そもそも拳銃如きで勝てる気がしない。
「・・・何かしら?私今忙しいのだけれども。」
恐怖で足が竦みそうになるが、何とか声を絞り出す。よくよく考えれば相手はただ私に聞きたい事があるだけみたいだからさっさと質問に答えて何処かに行ってもらおう。そうしないといろいろ持たない。主に私の精神と心臓が。
「人違いだったらスマンが、貴様・・・葛城ミサトか?」
「・・・えっ、今・・・なんて?」
そう言いながら大男は懐から一枚の写真と手紙を取り出し私に渡してきた。震える手でそれを受け取った。
そこにはネルフの司令であり、シンジ君の父親でもある碇ゲンドウからの手紙と私の送った私の写真があった。この二つの手がかりが意味する事とは・・・
「もしかして・・・あなたの名前は・・・」
頭に思い浮かんだ回答を真っ先に否定する。
某少年探偵の「真実はいつも一つ」、というセリフが頭の中でいつまでもリピートする。そんな筈は無い。確かに真実はいつも一つだ。だけどこれは無い、断じてない。そもそも彼はとても14歳には見えない。どう若く見ても私より年上だ。だから彼はシンジ君が急に来られなくなったから来られなくなったと伝えるために来た代理人に違いない、絶対に!!
「我が名はラオウ。世紀末覇者ラオウだ!!!」
ほら、違った。某少年探偵ばりの私の名推理は外れていない事がこれで証明された。世紀末覇者という単語がものすごく気になったが今はそんな事どうでも良い。
今は一刻も早くシンジ君が第三東京市に来れなくなったという事をネルフに伝えな
「またの名を、碇シンジと言う。」
聞こえてはいけない物を聞いてしまった気がした。