小笠原のカタツムリ:食べられても生きてます…殻の口に膜

2011年7月27日 15時0分 更新:7月27日 17時36分

ノミガイの仲間で小笠原固有のオガサワラノミガイ=千葉准教授提供
ノミガイの仲間で小笠原固有のオガサワラノミガイ=千葉准教授提供

 世界自然遺産の小笠原諸島(東京都)で、小型のカタツムリは、小鳥に食べられても排せつされて生き延びていることを、東北大の千葉聡准教授(生態学)らの研究チームが突き止めた。植物の種子が散布されるように、カタツムリは食べられて生息場所を広げているらしい。捕食者の消化器官を通っても死なない卵や幼虫は確認されているが、成長した動物では極めて珍しいという。

 チームは小笠原の母島で野生の小鳥のふんから、体長2ミリ程度のノミガイの殻が消化されないまま見付かったことに着目。捕獲したメジロとヒヨドリに、国内で広く分布するノミガイ計174匹を与えた結果、どちらの鳥でも30~40分後に約15%が生きたまま排せつされた。千葉准教授によると、ノミガイは殻の口に膜を張り、軟体部を消化液から守っていたという。

 大陸と地続きになったことのない小笠原では100種の固有のカタツムリが確認され、祖先は海流や風、鳥の体に付着して運ばれたと考えられている。千葉准教授は「長くは体内にとどまらないので、遠方の島や本土との間の移動が可能かは不明」とするが、小笠原以外の地域でも、多くの鳥が小型のカタツムリなどを運んでいる可能性があるという。【八田浩輔】

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