遠山郷と呼ばれる飯田市南信濃、上村両地区を40年ほど前まで走っていた「遠山森林鉄道」を一部でも復活させようと、南信濃の住民有志らがグループをつくって活動を始めている。各家庭などに散在していたレールを集めて駅跡地などに敷き、機関車を走らせるのが目標だ。林業で栄えた遠山郷の歴史を振り返りつつ、地域に活力をもたらそう−と、夢を膨らませている。
南信濃木沢地区の活性化推進協議会のメンバーが中心となって、1月に「夢をつなごう遠山森林鉄道の会」を発足させた。廃線後、住宅の屋根の重しなどとして使われていたレールを回収。さらに、レールをつなぐ部品や枕木を新調するなどしてそろえる計画だ。
旧木沢小学校近くの駅跡地にある観光施設「梨元ていしゃば」の前に、今秋までに長さ約50メートルの線路を復元する。同施設には、遠山森林鉄道を当時走っていたディーゼル機関車が1999年から展示されており、この機関車を利用する計画だ。
同会によると、遠山森林鉄道は40(昭和15)年に着工。線路は「梨元」を起点として、天竜川支流の遠山川沿いをさかのぼり、総延長は30・5キロに上った。国有林材の搬出に活躍したが、73年に廃線となった。
会長の前沢憲道さん(63)は「機関車を走らせるのはまだ先になるが、夢で終わらせないよう少しずつ進みたい」と話している。