いまどきのHDDをWindows XPで使用する
AFT採用のHDDにWindows XPをインストールする
AFTを採用したHDDは、論理セクタサイズが512バイトで、物理セクタサイズが4,096バイトになっています。このようなHDDでは物理セクタ境界ではない領域に記録したときに性能が極端に低下してしまいます(詳しくは、検証:アドバンスト・フォーマット・テクノロジー を参照)。
パーティションの開始位置が物理セクタ境界ではない場合は、ファイルの開始位置が物理セクタ境界ではなくなるために、ファイルの書き込み時に始端部分で、必ず、物理セクタ境界ではない書き込みが発生してしまいます。そこで、開始位置が物理セクタ境界のパーティションを作成して、そのパーティションにWindows XPをインストールすることで物理セクタ境界ではない書き込みを軽減させます。
なお、パーティションの開始位置を物理セクタ境界にしても、Windows XPではファイルの終端部分で物理セクタ境界ではない書き込みが発生します(Windows Vistaも同様)。
また、物理セクタ境界ではない書き込みの性能を劇的に改善するSmartAlign技術を採用したHDDも存在しますが、物理セクタ境界ではない書き込みの頻度が少ない場合には性能の低下はほとんどないものの、ファイルの大量コピー時などのように頻度が上がるとやはり性能が低下してしまいます。従って、SmartAlign技術を採用したHDDであっても物理セクタ境界ではない書き込みを回避できる部分については予防しておくためにパーティションの開始位置は物理セクタ境界に合わせておいた方がよいでしょう。
Windows XPをインストールするパーティションを作成するために、インストールするHDDを稼働中のWindowsに接続し、ExamDiskを使用してパーティションの作成とフォーマットを行います。
インストールするHDDを選択して、パーティション情報の [新規] ボタンをクリックします。
※もし、既にパーティションの作成をしてMBRへの書き込みをしている場合は、[クリア] ボタンをクリックしてMBRを消去してからパーティションを作成する方がよいでしょう。
パーティションを分割する場合はパーティションのサイズを変更します。さらに、ボリュームラベルを設定します。それ以外のパラメータは変更せずに、[OK] をクリックします。
しばらくしてフォーマットが完了すれば事前準備は終了です。Windows XPをインストールするPCにHDDを接続して、Windows XPのインストールを開始します。
インストール先のパーティションとして、先ほど作成したパーティションを選択します。
続いて、現在のファイルシステムをそのまま使用 してインストールを継続し、完了させます。
パーティションを分割した場合は、残りの未使用領域にパーティションを作成します。ExamDiskを起動して、パーティション情報の [新規] ボタンをクリックします。
パーティションのサイズとボリュームラベルを設定して、[OK] をクリックします。
ドライブ文字を変更したい場合は、ディスクの管理で変更してください。
以上でインストール作業は完了です。
AFT採用のHDDをデータディスクとして使用する
AFT採用のHDDをシステムディスクとして使用する場合は、物理セクタ境界ではない書き込みを完全になくすことはできませんが、データディスクであればMimicXLSを使用することで物理セクタ境界ではない書き込みを完全になくすことが可能です。
MimicXLSのインストーラを起動して、[次へ] をクリックします。
MimicXLSの説明を読んでから、[次へ] をクリックします。
使用許諾契約書を最後まで読んでから、[はい] を選択して、[次へ] をクリックします。
[スタート] メニューから [プログラム]-[Yoshware]-[MimicXLS] を選択して、MimicXLSの設定ツールを起動します。
データディスク用のHDDのチェックボックスをチェックして、ウィンドウ右上の [X] をクリックします。
再度、[スタート] メニューから [プログラム]-[Yoshware]-[MimicXLS] を選択して、MimicXLSの設定ツールを起動します。
データディスク用のHDDの現在値が4096になっていれば正しく動作しています。
次に、ExamDiskを使用してパーティションの作成とフォーマットを行います。
ExamDiskを起動してデータディスク用のHDDを選択します。ExamDiskでも論理セクタサイズが4096バイトで認識されていることが確認できます。
パーティション情報の [新規] ボタンをクリックします。
パーティションのサイズとボリュームラベルを設定して、[OK] をクリックします。
MimicXLSで論理セクタサイズをエミュレートしてもHDD内には元の論理セクタサイズ(512バイト)と互換のある形で記録されます。そのため、MimicXLSを使用していない環境へ移してもそのままでデータを読み出すことが可能です。
2TB超のHDDを使用する
MimicXLSを使用することでWindows XPでも2TB超のHDDを使用することができます。
MimicXLSのインストール手順は、上記 AFT採用のHDDをデータディスクとして使用する を参照してください。
MimicXLSをインストールしたら、[スタート] メニューから [プログラム]-[Yoshware]-[MimicXLS] を選択して、MimicXLSの設定ツールを起動します。
2TB超のHDDを選択して、アダプタの2TB超が [対応] または [非対応(救済可能)] であれば、全容量を使用することが可能です。もし、[非対応] ならば、残念ながら全容量を使用することはできませんので、接続場所を変えるなどしてください。
2TB超のHDDのチェックボックスをチェックして、ウィンドウ右上の [X] をクリックします。
※2TB超に対応していない環境でパーティションを作成したのち2TB超に対応した環境に移してしまった場合で、MimicXLSのエミュレーション設定ができなければ、ExamDiskでパーティションテーブルを強制的にクリアしてからエミュレーション設定をしてください。
ExamDiskを使用してパーティションの作成とフォーマットを行います。
ExamDiskを起動して2TB超のHDDを選択します。論理セクタサイズが4096バイトで認識され、認識容量がHDD本来の容量になっていれば正しく動作しています。
パーティション情報の [新規] ボタンをクリックします。
パーティションのサイズとボリュームラベルを設定して、[OK] をクリックします。
MimicXLSで2TB超のHDDを使用できるようにした場合は、HDD内にはGPT形式で記録されます。そのため、GPT形式に対応した環境(Windows Vista、Windows 7、Linuxなど)でもそのままでデータを読み出すことが可能です。
ダイナミックディスクへの変換をサポートする
上記の手順で2TB超のHDDにパーティションを作成すると、Windows VistaやWindows 7へ移したときにダイナミックディスクへの変換ができません。ダイナミックディスクへ変換できるようにパーティションを作成するためには、以下の手順を実施します。
パーティションをすべて削除した状態で、ExamDiskのパーティション情報の [新規] ボタンをクリックします。
パーティションのサイズを128MiBにし、パーティションをフォーマットしない を選択して、[OK] をクリックします。
再度、パーティション情報の [新規] ボタンをクリックします。
希望のパーティションのサイズとボリュームラベルを設定して、[OK] をクリックします。
フォーマットが完了したら、最初に作成したパーティションを選択して [削除] ボタンをクリックします。
先頭のパーティションの開始位置が 8100000 になれば大丈夫です。
以上の手順で先頭のパーティションの前に未使用領域を確保するとMimicXLSが自動でダイナミックディスクへの変換に必要な予約領域を作成します。試しに、Windows 7に接続して確認すると、ダイナミックディスクへの変換に必要な予約領域が作成されています。
2TB超のHDDを2TiBのHDDとして使用する
2TB超のHDDをシステムディスクとして使用したり、MimicXLSを使用しても2TB超に対応できない環境でデータディスクとして使用する方法として、容量を2TiBに制限する方法もあります。
Windows XPで普通に使用できるのは2TiB未満のHDDです(2TiB丁度のHDDは使用できません)。そこで、以下の手順で、2TB超(2TiB以上)のHDDの容量を2TiB未満に設定します。
[設定] ボタンをクリックします。
容量(2進接頭)のタブを選択して、2TiB に設定し、さらに、スライダーを左にドラッグしてオフセットセクタ数を -8 に設定して、[OK] ボタンをクリックします。
容量の表示が 2.199TB に変わったのを確認して、[OK] をクリックします。
コンピュータを再起動すると容量が 2.199TB として認識されます。
これで、2TiB制限に引っかからずに使用できるようになります。