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東北芸工大、京都の私大との法人統合計画 地元山形困惑

 公設民営の東北芸術工科大(山形市)が、来年4月をめどに姉妹校の京都造形芸術大(京都市)と運営法人を統合する計画が進行し、山形県内で反対論が出ている。大学側は経営基盤の強化を統合の理由に挙げるが、反対派は京都の法人が存続法人になる点などを疑問視し、「県と市が200億円を投じた山形の財産が、京都の法人の手に渡ってしまう」と統合の白紙撤回を求めている。(山形総局・関川洋平)

<来年4月予定>

 芸工大を運営する「学校法人東北芸工大」は6月、京都造形大を運営する「学校法人瓜生山(うりうやま)学園」(本部京都市)との統合方針を発表し、文部科学省に8月申請した。来年4月の統合を予定する。
 存続法人は瓜生山学園で、統合後に名称を「芸術学舎」に変更し、芸工大の土地や建物の所有権を引き継ぐ。法人の東北芸工大は解散する。
 「財務を一本化すれば、社会人教育や海外留学に多くの資金を投入できる」と、学校法人東北芸工大の坂元徹常務理事は教育内容の充実を統合の狙いに挙げる。
 少子化も大きな理由の一つ。現在は定員を満たすが、「じり貧になってから手を打っても遅い」(坂元理事)と、先手の経営対策を強調する。

<「芸術系」で縁>

 「芸術系」で共通する両法人は前から関係が深く、瓜生山学園は芸工大に大学運営のノウハウを提供。2000年からは徳山詳直理事長が芸工大の理事長を兼ねるなど徐々に芸工大の経営に参画し、今回の統合計画に発展した。
 これに対し、芸工大の元教員ら約15人が「東北芸工大を愛する会」を結成し、統合反対運動を始めた。
 会長の早坂功東北芸工大名誉教授は「税金でつくった大学を一私法人が処分できるようにしていいのか。人事や教育内容への影響もあり得る。入学定員と教職員数を減らす一方、カリキュラムを見直し、優れた卒業生を輩出することが最大の経営努力だ」と反発する。
 芸工大設置のため山形県と山形市は各100億円を支出した。行政が施設を用意する公設民営方式を取ったのは、山形大に続く四年制大学の設置という地元の悲願を早期に実現するためだった。約20年が過ぎ、芸工大の資産は約152億円(2009年度)に上る。
 大学設置の担当者だった元県職員は、統合に強く異を唱える。「京都の法人の出先機関のようになれば、巨額の資産が奪われ、必要な教育機能は失われていく。当初の理念から外れ、県民にとって大きな損失だ」

<知事「担保を」>

 統合問題に県や市が関与する権限はなく、文科省が認めれば統合は成立する。吉村美栄子知事は県議会9月定例会で「補助金で整備された資産は東北芸工大の運営にのみ使われなければならない。この点をどう担保するのか明確にしてほしい」と述べた。大学側は「芸工大自体は存続する」と不安の解消に努めるが、説明不足を指摘する声は多い。

◎完全私大化は自殺行為

 「公設民営大学設立事情」の著書がある横浜市立大の高橋寛人教授(教育行政)の話 税金で私大をつくる発想自体に矛盾があった。大学の運営に行政が関われるように内規を定めておけばよかった。公設だから安心して受験できるのであって、完全な私大になるのは自殺行為。経営上の問題は大学を公立化して授業料を下げ、入学者を増やせば解消できる。

◎競争力向上理解できる

 東大大学院教育学研究科大学経営・政策コースの山本清教授(大学経営)の話 首都圏の著名私大は学生確保のため、新しい学部を設けて定員を増やす拡張路線を進んでいる。地方の中堅の大学は合併などで競争力を高めざるを得ないので、早めの対応は理解できる。県民も地元の大学という意識があるなら、卒業生の就職枠を設けるなどの支援をすべきだ。

[東北芸術工科大]1992年開学。東北初の公設民営型の四年制大学。芸術学部とデザイン工学部の2学部9学科あり入学定員は481人。大学院を合わせた学生数は2218人(5月1日現在)。学校法人の資産は山形市上桜田の山形キャンパス(約20ヘクタール)のほか、京都造形芸術大と共同運営する東京都港区の外苑キャンパスなど。昨年、山形県から旧知事公館・公舎(山形市松見町)を2億6250万円で購入した。


2011年09月25日日曜日


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