(CNN) スイスにある欧州合同原子核研究機関(CERN)は23日、素粒子ニュートリノが光より速く飛んだとする「Opera実験」の結果を発表した。これが事実なら、光より速いものはないとするアインシュタインの相対性理論を覆す発見で、現代物理学の根底を揺るがす可能性がある。
実験に携わる研究者グループによると、実験は1万5000個以上のニュートリノを使い、730キロ離れたCERNとイタリアのグランサッソ研究所の間の地中で粒子加速器を用いて実施。ニュートリノが飛んだ距離と時間などを10億分の1秒単位まで厳密に計算した結果、光より速かったことが判明したという。
Opera実験の報道担当者は、発見に驚き、衝撃を受けたと指摘しながらも、あらゆる体系的な疑問点などを全面的かつ長期に調べた結果、光より速く飛んだと受け止める以外、説明出来ない結論に達したと述べた。
実験に従事する研究者は150人前後。今後も研究を続けるが、世界の科学界に今回の実験結果を公開し、その正しさを肯定もしくは否定するかもしれない新たなアイデアや実験方法を募りたいとしている。CERNの責任者は、信じられないような科学的な発見をした場合は独立した審査が必要とし、実験結果の全面公開に踏み切った今回の措置を評価している。
英オックスフォード大学のハーニュー素粒子物理学教授は、今回の実験結果について測定の正しさが証明されれば、極めて驚くべき発見と指摘。その上で、ニュートリノの実験は極めて難しく、第3者が今回の成果の正当性を証明するのは困難かもしれないとも説明した。
Operaのような実験が出来る世界の加速器施設にはこのほか、各国が参加してT2Kプロジェクトを進めている日本のJーParcや米イリノイ州にあるフェルミ研究所がある。
ニュートリノには3種類あり、別の種類に変化する現象も解明されている。