New York City TATTOO CONVENTION
2002

>> REPORT <<

2001年にTokyoTattooコンベンションが開催されないと聞いて以来、海外のコンベンションに行ってみたいみたいとずっと思ってたのでしたが、いかんせん語学力が厨房(中学生)並みのため、ためらっていたのです。しかし、仕事もせっかく早く上がれるようになったので、仕事帰りに英会話学校に行くことにしたのでした。まー超低レベルからの出発とはいえ、20年近く英会話から遠ざかっていたので、最初は超緊張しました。いや、まじで、初めて彫師さんのドアを叩いたときよりも(笑)。でも、なんだかんだで3ヶ月もすると、日本語をしゃべらない人々にも慣れてきて、ようやく海外コンベンションへ行く決意を固めたのでした。ちょうどYellow BlazeのShigeさん、千聖さんや大阪の宮蔵さんNYC Tattoo Conventionに参加・出展するというので、これはいい機会だと、NYC行きを決めました。せっかくの海外進出ですから、私のようなつぎはぎTattooeeではなくて、どかんの日本の彫り物を背負っている人を連れて行って、テロに打ちひしがれているニューヨーカーを元気付けようと、チュウ大兄をお誘いしたのでした。気安く承諾していただいたのですが、その結果、えらいゴメーワクを兄貴にかけることになろうとは…いやTattoo Brothersの情け深さを痛感したツアーになりました。

【初日:Tattoomaniax in NYC】
 実のところ、チュウ大兄、KarmaChang、蒼月の3人とも、ニューヨークは初めての街だったのでした。JFK空港ではなく、ニューアーク空港に降り立ったので、ここはまだNYではなく、ニュージャージー。なんかのどかな印象(成田みたいに)かと思っていたら、街は結構大きそうでした。もちろん周辺は、森だらけ。蒼月個人としてはJFK空港に降りたって、“Wow, New York City* !”とかなんとか、言ってみたかったんすけどね。兎に角、タクシーで一路、NYCのホテルへ直行。ハドソン川の下のトンネルを抜けると、ニューヨークって感じがやっとしました。ホテルはタイムズスクエアの近くで、ブロードウェイに面した絶好のロケーション。一休みして、晩飯を食いにいくことにしたのですが、KarmaChangは飛行機の中で眠れなかったらしく、もう寝るとのこと。チュウ大兄と二人で夜のニューヨークへ。驚いたのは、ホテルの斜め向いが、偶然にもコンベンション会場のRoseland Ballroomだったこと。えーこんなに近くだったとは!!ホテルにも、モンモン入った人が何人か泊まっていたようです。晩御飯は、ぶらりと入ったイタメシ屋、味はまあまあ。値段はそれなり。NYCは何かにつけ金がかかる由。

【二日目 昼:Tattoomaniax in the park
 朝はホテルでアメリカン・ブレクファストとやらを食いまくって(おかげで、胃にもたれた)、Roseland Ballroomへ。実は何時にコンベンションが開場するか、どこにもインフォメーションがなかったので、直接会場で聞いてみたら、なんと初日は午後4時から。というわけで、NYC散策へ。NYCで公園といえば、セントラル・パーク。そこでのべーとした後、KarmaChangは、soaper(手作り石鹸をやる人を業界ではそう呼ぶらしい)の本性を発揮して、有名雑貨店めぐりへ。チュウ大兄と蒼月は、近くにあった博物館へ。やっぱりネイティブ・アメリカンの芸術がカッケーかったっす。トーテムポールもビぱつきん、ぱつきんってさわぐんじゃねーつの!ンテージものは、激渋&怒迫力!最近、日本でもネイティブ・アメリカンの伝統的モチーフをTattooにして彫ってる人をときどき見るようになりましたが、なんか気持ちわかる気がしたよー。
 そんな話しは、さてさて、おきおき、一旦、ホテルに戻った我々は、再びコンベンション会場のRoseland Ballroomへもろ肌脱いで乱入しました。って、行ったときには行列できてたんですけどね。並んでるとTattoo好きオジーさんが、突然話しかけてくるし…この辺は日本のコンベンションと同じだなー(ね、大阪のおっちゃん)。
 で、超ごっついおっさんが、チケットをもぎってくれて、会場の中へ。この辺あたりから、蒼月の頭はTattooのことでぶちきれて、チュウ兄貴をほったからし状態。(詳しくは、チュウ大兄のレポート参照のこと)

 ポール・ブースを始め、NYCのTattooistも多数出展していて、NYCの復興に感激!さらにうれしかったのは、'Dere Devil Tattoo'のMichelle Mylesに会えたこと!彼女は、NYC Tattooer界の元ちとせ的存在だと思うっす。つまり、ちっさくてかわいいし才能があるってこと。

【二日目 夜:Bughouse Tattoo met Bugs】
 このコンベンションでぜひ会って見たいTattooistの一人がMonsiour Bugsでした。Shigeさんは右手の甲にBugsの蓮&波が入っているのですが、これがスゲクカコイイ(・∀・)!昨年のNYCコンベンションでBugsに彫ってもらったものです。BugsとBughouseの真剣勝負で、自分も真似したくなって(蒼月は右腕は牡丹で攻めているので、)右手甲に牡丹を入れてもらおうと考えたのでした。で、コンベンション初日、会場入りして、早々にアポを入れようと、Bugsのブースに行きました。「牡丹を手の甲に入れてくれ」っつたら、なんかあんまりいい顔してない…「キュビズムじゃないとやらんよ。それに今日は先に一人先約があって2時間しか彫るひまがないから、小さいやつならね。」という返事。うーん、とにかく彫ってもらえるなら、それでいいやと前金入れました。で、その後、Shigeさんのブースに行って、手の甲に入れるという話しをしたら、千聖さんにやめるように説得されてしまいました。(日本に戻ってからは、火傷したってことにして、ケアが終わるまで日中は包帯でもしておこうと考えてたんですけどね。いや、でもやめてよかったっす。毎日ファンデーションでカバーするのは結構大変だったかも。(それにつけてもトシちゃん様はエライ…毎日ドーラン塗ってんだらか…))というわけで、Bugsのブースにもどって、右首筋に場所を変更してくれるようにお願いしてみたら…、「2時間じゃできないから、ダメだ。」との連れない返事。マネージャーの奥さん(これがまた、素敵な女性。英国美人の典型って感じ!)は、ちょっと蒼月に同情した表情で、前金を返してくれました。蒼月は、「とても残念だけど、来年、必ずロンドンのスタジオに行くよ。」と言ったら、Bugsも少しはこっちの熱意をわかってくれたのか、「ちょっとこっちへ来て、右腕を見せろ」と言う*ブースの中に入って、Tシャツを脱いで右腕を見せると、「これはフィリップ・ルーが入れたのか?」っつーので、「いや、横浜のShigeさん作だ。」と言ったら、ほほーという顔をし始めたので、これはチャンスだと思って、日本で作ってきたBugsの落款をバッグから取り出して、「あなたのオリジナル・シグニチャー・スタンプを作ったので、ぜひプレゼントしたい」といって渡したら、機嫌ががぜんよくなって、「今晩、君に時間があるなら、彫ってやるよ」と気のいい返事!欧米人にはプレゼント攻撃が聞くという亡き母の教えがこんなところで役に立つとは!
すっかり機嫌のよくなった  前ふりが長くなりましたが、初日の晩、二人目の客として彫ってもらうことになりました。Bugsの第一印象はカナーリ神経質な芸術家って感じでしたが、いざ彫るとなると結構ノリノリになるタイプみたいです。彫る体勢を確保するために、椅子を2つ重ねて高くしたり、彫るときの動きを二三度やってみて、インク・ポットと椅子の位置を調整したりしてました。牡丹はフラッシュがあるので、ステンシルかなーと思っていたら、フラッシュみながら私の首にフリーハンドで下書きを始めました。真剣な表情で何度も消して描きなおしてました。首の左側の黒薔薇もTokyo Pantherの加藤さんにフリーハンドで下書きしてもらったものなので、ちょっと嬉しかったっす。で、いよいよマシーンで彫りはじめたんですが、あまりマシーンのセッティングやニードルについては、気にしてないような感じがしました。色を入れるころには、鼻歌交じりで…。で、見事3時間程で無事完成!その頃にはShigeさんと千聖さんがBugsに会いに来てくれて、なごやかなムード。Bugsも落款を気に入ってくれたようで、とても喜んでいるようで、よかったよかった。ヨーロッパにいくときには、必ずロンドンの彼のスタジオを尋ねようと心に決めたのでした。

【二日目 夜その2:蒼月met Henning again】
 話しは前後しますが、会場に入って早速Bugsにアポを入れ後、チュウ大兄とShigeさん達のブースへ行こうとすたすた歩いていたら、後ろから私を呼びとめる声「おーい、俺のこと覚えてる?」、一瞬「??」だったんだけど、よくみると声をかけてきたのはなんとHenning Jorgensen(Fromデンマーク)ではあーりませんか!彼のRoyal Tattooは今回ブースだしてないので、まさか来ているとは思ってませんでした。どうやら、以前から彼と仲のいいMike Rubendall(Da Vinci Tattoo, NYC)にゲストワークで来ているらしい。彼はMikeといっしょにDa Vinci Tattooのブースに居たのでした。Shigeさんに右肘の紫牡丹(Henning作)に続けて右下腕を彫ってもらった後、Shigeさんが腕の写真を彼に送ってくれていたので、私の(腕の)ことをよく覚えていたようです(笑)。
 実は、もしBugsに断られたときのことを考えて、Mikeに面を彫ってもらおうとコピーを持って来ていたのでした。しかも、それは元々はHenningが今年の春来日するらしいというので、彫ってもらおうと集めていた資料だったのです。ここで会ったが百年目!こりゃー彫ってもらうしかないねーと、さっそくアポを入れました。二日目の夜ならなんとか時間がとれそうっつーので、面の写真コピーを渡しておきました。(この当りのイキサツも、チュウ大兄のレポートをお読みください!)

【三日目 昼:生牡蠣三昧】
 今日は、コンベンションでTattooコンテストが開催される日。チュウ大兄がベスト・ブラスト&バック(胸・背中)にエントリー予定。コンテストが始まる夕方までは、時間があるので、今日はSOHOでランチして、Ground-Zeroに慰霊に行こうと、地下鉄へ。昼の地下鉄は、怖くないのねー。SOHOでは、ニューヨークで生牡蠣を出させたらNO.1というAQUAGRILLという店で、世界の生牡蠣大会。日本の宮城産の牡蠣なんかも、お薦めだって店の人が行ってましたよー。生牡蠣ぺろ〜ん
 飯の後、SOHOをうろうろしてたら、もうGround-Zeroに行く時間がない!もう会場にもどらねば!!というわけで、被災者の皆さんには申し訳なく思いつつ、都心にとって返したのでした。
 ところで、初日に所持金をBugsにつぎこんじゃった私は、今夜Henningに彫ってもらう分としてキャッシュディスペンサーで、ドルを下そうとしたんですが、なぜかカードを受けつけてくれない!!(えーそりゃないよー)別の銀行でやってみたけど、やっぱりダメ。こーなったら、Henningに後払いでお願いするしかないかー、しかし現金払いが当たり前のこの世界、へたすると断られるかも…と思っていたら、なーんと、横にいたチュウ大兄とKarmaChangが自分のカードでトライしてくれました。おぉ!ちゃんとキャッシングできるではないか!私は感激&恐縮しつつも、ありがたく二人の厚意を受けて、お金を借りたのでした(ありがとー、私の二の腕は、まだ二人のものです)。←まだ金返してねーっす。

【三日目 夜:Tattoomaniax on stage】
 さて、ホテルにもどってチュウ大兄は、ステージ衣装にお着替え。さて二人で乗り込むコンベンション会場。なんか初日よりにぎわってますよー。けっこうすごいやつがいいっぱいですよー。なんで、顔に彫ってるかな、みんなー。Shigeさんのブースへ行くと、もう千聖さんは、ベスト・カラーの部にエントリー済ましたとのこと。さっそくチュウ大兄と受付で申し込み。1部門50人ぐらい登場する盛況ぶり。まずはベスト・カラーにエントリーした方々が、順々にステージへ。千聖さんの艶姿を写真に収めました。次いで、ベスト・ブラスト&バックの部。女性も結構多かったす。みんなぬぎっぷりがいいんなーー。ちゃんとチュウ大兄の素敵な後姿も撮りました。なんてことしてる間にもこんどはこっちが、ドイツのTattoo雑誌の編集長、NewYorkTimesの記者、人体改造系WebサイトのBMEのカメラマンに写真を撮られたり、まさに撮りつ撮られつ…。
 艶姿を写真に収めた後、Da Vinci Tattooのブースに行ってみると、Hennigが下絵を描いてくれていました。彼は能面はモチーフとしてよく使うのだけど、私が渡した資料は狂言面「雷神(カミナリ)」だったので、ちょっと苦労したようです。で大きさを調整して、ステンシルでトレース。腕の内側に雷神面を、外側に牡丹を配してもらいました。二つのモチーフの間は、サインペンを使ってフリーハンドで、見切りのラインを描き込んでいきました。さて、いざ入針、彼は針を長めにしてゴリゴリ彫るタイプなので、もー腕に針がズブズブ深く入っていくのが、間時かに見えるのが、痛さを倍増。スピードも速いし…。見切りを描いてるのよん
 ところで途中で感じたんですが、恵比寿のコンベンションで初めて彼に彫ってもらったときと比べるとずいぶん、なごんだ顔をして仕事をしていたように思いました。やっぱり、言葉の通じない日本での仕事は緊張していたのでしょうか。NYCでの彼は、楽しそうに彫り進みながら、途中で彫り方や配色について、横で彫っているMikeにときどき、アドバイスを求めていました。Tattooistとして独立して20年近くなるHenningからすると、Mikeはまだ若手ですが、それでもMikeのセンスは評価しているようでした。ベテランなのに、謙虚なところが、またプロフェッショナルって感じがして素敵でした。そーいえば、SABADOさんも下絵を描いたときに、まだ新人だったWARAさんに「どうよ?」って聞いていたのを思い出しました。キャリアがあっても威張らないのが巨匠の証ってことでしょうか。
 夜8時から彫りはじめたのですが、さすがに二の腕全周なので会場が閉館するギリギリまで彫るはめになりました。蛍の光が聞こえてきても、まだ彫ってました。(←もちろんウソ)途中、チュウ大兄や、仕事を終えたShigeさん&千聖さんが来てくれて、励ましていただきました…多謝!Shigeさんが帰り際に、Henningに今年来日するのかどうか聞いておいてと言われたので、彫り終わった後、聞いてみたら、なーんと今年11月にMikeとともに来日するとか!なんだーそんなら、早く言ってくれよー、日本で彫ったらお金借りないですんだのにー。悔しいから、来日したらMikeに続きを彫ってもらおうかなと思ったのでした。
ごりごりほってます。痛て〜っ!  しかーし、この夜は、NY在住のmonotoneさんと会えるかもしれなかったのですが、結局都合がつかず残念でした。泊まったホテルのとなり、コンベンション会場の向いに、めちゃうまいと評判の(って、地球の歩き方の欄外に書いてあったんですけども)ステーキ・ハウスがあったので、そこで晩飯を食するつもりだったのに。。。チュウ大兄、KarmaChang重ねてスンマソンでした。店のショーウインドウの中が、いきなり肉の冷凍庫になっていて、巨大な肉隗が豪快につるしてあって、その冷凍庫の奥にテーブルが並んでるというスゲー造りの店だったんすけどね。その隣にあった海鮮レストランも素敵でした。やっぱりショーウインドウが冷蔵庫になっていて、鯛や平目やロブスターが生々しくディスプレーされてました。くそー、今度行ったら、絶対食うぞ…




【四日目 :Back to NRT/JNP】
 最終日は、午前11時の飛行機だったので、早々と荷造りしてホテルを後にしました。無事、空港につきましたが、なんかタクシー代ぼられたような気がしないでもなかったっす。搭乗まで時間があったので、空港のフードコートでブランチをとることに。チュウ大兄とKarmaChangは、昨夜食い逃したステーキ&フレンチ・フライを頼んでました(こりゃ、恨まれてるな…)。蒼月は、まだ右手を上手く動かせないので、ベーグルサンドを食べたのでした…。
 帰りの飛行機でも、もー寝まくり。先行公開の映画も見ずに寝てました。ここで先達の知恵。足に彫った直後に飛行機に乗ると、かなりはれあがっちゃうそうです。気圧が下がるのと、うっ血するのとで、もーぱんぱんとか。海外コンベンションでは足に彫らない方がいいよとアドバイスを受けました(byレイさん)。
 で、無事成田に同日午後に着陸。ここでチュウ大兄と別れを惜しみつつ、反省会をやりましょーと約束して、家路についたのでした。(反省会では、蒼月が二人から小一時間、問い詰められる予定です)ちなみに、途中、池袋でリフレクソロジー(足裏マッサージ)に行ったさー。もー歳だし、明日から仕事だし。
 とはいうものの、日本に帰りついたとたん、もう来年はヨーロッパか西海岸のコンベンションに行ってみたいなーなどと、頭はもうTattooバカ状態なのでした。 【終演】

<後日談>
 ところでTattoo雑誌がコンベンションの取材に来ているのは、別に珍しくないのですが、NewYorkTimesが取材に来ていたのには、さすが自由の国だと感じました。同紙のカメラマンに、88Tattooの方とTattooをお互い見せ合ってるところ写真にしたいと言われて、バチバチ撮られたのでした。これが同紙の紙面に載ったら、いい記念になるなーと思って、日本に帰ってから、記事検索をかけてみたら、18日の新聞記事がひっかかりました。タイトルは”Show me yours, and show you mine."(あんたの見せてんか〜、そしたら、わしの見せるし〜)というもの。おっ、こりゃーあのときのシチュエーションまんまやんか〜と、ニンマリ。で、ある日の午後、会社をちょっと(ほんとにちょっとだよー!)抜け出して、都立中央図書館にNewYorkTimesのバックナンバーを見にいきました(うちの会社は日なんかはとってんのにNewYorkTimesは置いてないのねー)。
 で、18日の新聞の地元欄を開いてみると、あった〜!んですがーーーなんと写真は、巨大なアメリカ人おやぢ二人が、うれしそうにTattooをみせあいっこしている図にさしかわってました!はぁ〜、なんか期待してガックシ。確かに映像的破壊力は巨大おやぢ達にはかなわないっすー。でも、しっかり記事はコピーとってきましたけどね。

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