先週のブログに「慰安婦」問題の賠償請求権問題について書きましたが、今日は関連した資料を紹介します。元「慰安婦」のハルモニたちが玄葉光一郎外相に宛てた手紙です。たくさんの人に読んでいただきたいので、全文引用したいと思います。(写真は8月12〜14日ソウルで行われた「日本軍『慰安婦』問題解決を目指すアジア連帯会議」)
(以下、引用)
玄葉 光一郎 外務大臣 殿
私たちは、韓国に住んでいる日本軍「慰安婦」被害者です。
今回新たに誕生した野田佳彦内閣で外務大臣となられ、今後私たちの問題に直接かかわっていくことになられる玄葉光一郎新外相に、日本軍「慰安婦」問題の根本的な解決に積極的に対処されることをお願いするため、不躾ですが手紙を送らせていただきます。
私たちは、日本の植民地時代に日本軍「慰安婦」として連行され苦痛の生活を強いられました。戦後も被害者として保護されるどころか、傷と苦痛を隠して生きなければなりませんでした。日陰で暮らしながらも20年前、それでも死ぬ前に踏みにじられた名誉を取り戻したいと勇気を出しました。そして日本政府に問題解決を訴えてきました。しかし、この20年間私たちが叫んできた叫びを日本政府は聞きいれませんでした。むしろ日本政府の言葉を聞くよう強いられてきました。韓国政府も私たちの要求を解決するため、外交的努力に積極的ではありませんでした。その間に多くの被害者が亡くなり、「被害者」として名乗り出た234名の登録者中、69名だけが生存している状況です。
しかしご存じのとおり、8月30日に韓国の憲法裁判所は韓国政府が日本軍「慰安婦」問題解決のための具体的措置をとらないことで基本権が侵害されたとし、政府の不作為にたいし「違憲決定」という画期的な判決を下しました。これを受けて9月15日、韓国政府がすぐに日本政府に二国間協議を提案しました。これは、私たちにとって大きな喜びを与えるニュースでした。過去66年間の苦痛と20年間の努力が、結実を迎えたのだなという希望を再び持つことができました。
新しく出帆した日本の内閣が韓国政府の提案を受け入れ、日本軍「慰安婦」問題解決のための協議をはじめることを期待しています。そして解決までの時間を引き延ばさないよう願っています。私たち日本軍「慰安婦」被害者は、日本と韓国の間に明るい未来が来ることを心から望んでいます。胸の中にある「無念」も「怒り」も「傷」もすべて解き放ち平穏な心を持ちたいと思います。これ以上日本政府に向かって大声を張り上げたくありません。そのためには、まず過去の歴史を正しく清算することが第一だと考えています。私たちに与えた日本の罪を認め、歴史的で法的な責任を取るという態度を見せるのが大切だと考えます。
1992年1月8日から毎週水曜日にソウルの日本大使館前で行われている水曜デモは、今年12月14日に1000回を迎えます。私たちは、日本政府が1000回の水曜デモを待つことなく要求を聞き入れ速やかに問題を解決してくれることを要請します。
2011年9月15日
日本軍「慰安婦」被害者 53 名
(引用終わり)
韓国憲法裁判所の判決言い渡し後の9月18日、請求人のお一人である、キム・オクスンさんがお亡くなりになりました。2006年には109名いた請求人は、現在60名となってしまいました。時間がありません。キム・オクスンハルモニのご冥福を心よりお祈り申し上げるとととに、日本政府には、ハルモニたちを半世紀以上も苦しませた罪をしっかりと踏まえ、韓国政府の協議要請に誠実に応じることを強く求めます。今回の判決が、どうか「慰安婦」問題の解決につながりますように。
以下のリンクから韓国憲法裁判所の判決文原文、日本語訳などが読めます。ぜひご一読ください。
http://www.wam-peace.org/index.php/archives/1060
明日25日、午後1:30から早稲田大学国際会議場3F第3会議室にて、2011年VAWW-NET ジャパン総会シンポジウムが行われます。シンポジウムでは、戦時下の北海道における炭鉱・鉱山「慰安所」について報告があります。
また、27日には「慰安婦」問題の解決を求める集会があり、韓国憲法裁判所決定の内容と、日本に及ぼす効果などについて話し合われます。衆議院第一議員会館国際会議場で、正午から。ぜひご参加ください。(淑)