昨年4月の国の事業仕分け第2弾を受けて廃止の方針が決定した独立行政法人「日本万国博覧会記念機構」の資産承継を巡り、機構の出資者である財務省が公園事業を担う予定の大阪府に、出資相当分の土地の賃料を払うよう提案していることが分かった。機構は万博公園(大阪府吹田市)の広大な土地を運営しており、府の試算では賃料は年10億円を下らない見通し。府民の負担を避けるため、府は同省に無償貸し付けを求めているが、協議は平行線をたどっている。
機構の出資割合は国53%、府47%で資産は約1500億円。万博公園258ヘクタールなど土地だけで約980億円に上る。事業仕分けで公園事業の府への移管が決まったことに伴い、政府は昨年12月、機構の廃止方針を閣議決定。財務省と府で資産の引き継ぎや公園の運営などについて協議を重ねている。
運営を担うことになる府は、閉園した遊園地「エキスポランド」跡地など公園南側エリアについてはテーマパークの新設などを想定し、事業者を選定中。太陽の塔や芝生の広場がある北側エリアは、現在の緑に包まれた公園をそのまま受け継ぐ方針だ。
ところが、国が地方公共団体に公園の土地を貸し付ける際には「3分の1を無償、3分の2を有償」とする財務省理財局長通達があるため、同省は今年2月、機構廃止後は出資割合に応じて公園の土地を国と府で分割することを提案。国出資相当分(約137ヘクタール)の3分の2を有償で貸し付けるプランを府に示した。
これに対し、府都市魅力課は「府民にとっては運営主体が機構から府に変わるだけなのに、地代として府民負担が生じるのはおかしい」などと反発。橋下徹知事が9月15日、財務省に乗り込んで無償貸し付けを迫ったが、決着はつかず、引き続き協議することを確認するにとどまったという。
同省は「なぜ万博公園だけ無償かと言われた時に公平性の観点から説明できない」としている。【佐藤慶】
毎日新聞 2011年9月24日 15時00分(最終更新 9月24日 17時43分)