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<新興国EYE>「中国はサイバー攻撃大国?」の見方も

2011/09/21 14:24

 三菱重工業 <7011> のコンピューターがウイルスに感染するという事件が起こった。8月中旬にウイルス感染の可能性が判明し、情報漏えいの危険性があることから同社は警察に報告、相談するとともに、外部の専門家と共同で調査、対応を進めている。調査の結果、一部のコンピューターのシステム情報が流出した可能性はあるものの、同社の製品、技術に関する情報流出は確認されなかったもよう。

 また、三菱重工だけでなく、川崎重工業 <7012> 、IHI <7013> のコンピューターもウイルス感染したことが明らかになっている。これら3社に共通するのが防衛産業にかかわっていることだ。一部報道によると、「ウイルスに関連したプログラムには、中国で使用される簡体字の表記があった。中国からのサイバー攻撃だった可能性がある」としている。

 一方、今月19日、警察庁は人事院および内閣府などが運営する政府インターネットテレビ、政府広報オンラインのホームページ(HP)がサイバー攻撃を受け、17−18日に最大約2時間、閲覧しにくくなったと発表した。警察庁によると、12−18日に中国大手サイト「YYチャット」などで日本の政府機関を名指しして、18日に攻撃をするように呼び掛ける書き込みがあったという。

 今年9月18日は満州事変のきっかけとなった柳条湖事件が起こってから、ちょうど80年に当たる日だった。攻撃されたHPのあるサーバーには、「DDoS(ディードス)攻撃」とみられるアクセスが確認されたようだ。これは、大量のコンピューターが一斉に特定のサーバーへデータを送りつけ、機能を停止させるサイバー攻撃のこと。

 中国のインターネット利用者数は約4億5000万人に及ぶ。全人口の約3分の1が使用しているのに過ぎないが、数でいえば世界最大のインターネット大国だ。これまで、日本以外に米国も軍事、IT(情報技術)、石油、金融など、あらゆる分野で中国のハッカー攻撃を受けている。中国には国や企業にハッカー部隊が存在するだけでなく、個人的な愛国者的ハッカーも多数いて、「サイバー攻撃大国」といわれることもあるようだ。

 日本や米国で大規模なサイバー攻撃があった場合、まず中国の名前が挙がるケースが多いのは確か。7月には中国国営テレビでサイバー戦争の可能性に関するドキュメンタリー番組が放送され、そのなかで米国内のターゲットを中国政府のシステムからサイバー攻撃する場面もあったもよう。過去には、中国を発信元としたWeb改ざん攻撃がビジネス化しているとの調査結果も報告されている。

提供:モーニングスター社