2011年9月20日 19時57分 更新:9月20日 23時8分
防衛・機械産業のIHI(東京都江東区)や川崎重工業などが、「標的型」とみられるサイバー攻撃を受けたことが20日、明らかになった。いずれもパソコンへのウイルス感染や機密情報の流出はないという。防衛産業全体が攻撃対象になっている可能性がある。
情報セキュリティー会社、米トレンドマイクロによると、三菱重工を含む世界の防衛企業8社がサイバー攻撃を受けた。11年7月から、32台のコンピューターで攻撃を続けているという。
IHIによると、09年7月以降、外部に情報を流出させるウイルスなどを埋め込んだファイルを添付したメールが、防衛事業に携わる社員の社内メールなどに大量に送りつけられていた。昨年4月に確認し警察庁に情報提供したが、社員がファイルを開いたケースはなかったため、感染しなかった。同社は今後、セキュリティーをさらに強化する方針。
川崎重工業は攻撃を受けた時期や規模については明らかにしていないが、「現時点で情報流出はない」としている。
また、防衛関連の製品を扱う、ある電機大手は、今春から7月ごろにかけて不審なメールを大量に送りつけられたことを明らかにした。社内の監視システムが検知し、受信した社員らがファイルを開かなかったため、感染や情報流出はなかった。メールは一度に最大100人程度に、複数回にわたって送られたという。
レーダー関連機器を製造する三菱電機も「不審なメールが時々送られてくる」と明らかにした。情報流出はないとしている。【寺田剛、竹地広憲】