「三菱重工業」(東京都港区)の潜水艦などの生産拠点や本社など計11カ所のサーバーやパソコン計83台が、コンピューターウイルスに感染していたことが同社や捜査関係者への取材で分かった。外部から同社を狙った「標的型」と呼ばれるサイバー攻撃を受けたとみられるが、技術や製品情報の流出といった実害は確認されていないという。届け出を受けた警視庁は情報収集を始めた。
同社によると、感染していたのは、神戸造船所(神戸市)や長崎造船所(長崎市)、名古屋誘導推進システム製作所(愛知県小牧市)、名古屋冷熱製作所(同県清須市)などにあるサーバー45台とパソコン38台。こうした拠点では、潜水艦や誘導弾といった防衛部門や原子力プラント関連、エアコンを製造している。同社の国内拠点は本社を含め20カ所で、半数が被害を受けた形だ。
ウイルス感染は8月22日に判明。外部からの操作でパソコンから情報を盗み出す「トロイの木馬」など少なくとも8種類のウイルスを確認した。サーバー内の情報が流出する恐れもあるが、実害は確認されていないという。同社は「現時点ではウイルス感染による被害拡大は止まったと考えている」としている。【竹地広憲】
毎日新聞 2011年9月20日 東京朝刊