世川行介放浪日記

日々の雑感。昔話。時事問題への言及。

ネットニュースを見て

2011年07月29日 16時00分19秒 | 01 小沢一郎篇

　ネットのニュースを見たら、
　小沢一郎が、表に出てきて、菅内閣批判を再開した、とあった。

　それが大事なのだ、と僕は思う。

　はっきり言わせてもらうと、
　「小沢信者」ではない僕たち一般人には、
　「小沢側近」、「小沢エピゴーネン」、「小沢チルドレン」、に対する印象は、
　あまりよろしくない。
　彼らの発言は、「虎の威を借りる狐」といったイメージから、どうしても抜け切れない。
　しかも、新聞報道などでは、彼らの発言として、
　「小沢氏はこう言っていた」、「小沢氏はこう思っている」、「小沢氏はこんな意向だ」、
　といった発言が頻繁に取上げられ、
　僕たちのそんな印象を、さらに強くしてきた。

　その印象の源にあるのは、
　それは、ただただ、小沢一郎という存在の巨大さだ。

　だから、本当に平成大衆の理解を得ようと思うのならば、
　かれらは、「小沢氏が…、」という発言を、もっと控えて、
　「私は…、」と訴えるべきなのだが、
　１年生議員や２年生議員や知名度の低い国会議員ばかりだから、
　自分の発言の迫力のなさに怯え、
　どうしても、ああいうスタイルになってしまう。

　それだからこそ、
　今回、小沢一郎が、表の場所で、堂々と、菅政権批判をぶったことは、
　とってもいいことだ、と思う。

　戦いは、いつも、城の正門を開けて、そこから堂々と出陣するものだ。
　抜け穴をつたっての奇襲作戦ばかりを繰り返すと、
　「あいつは策士だ」、とは思われても、
　「天下人の玉だ」、とは思われなくなる。
　小沢一郎だけは、そうやってはいけない、と僕は思っている。

　無骨ではあるが、絶対に卑怯をしない小沢一郎、
　というイメージは、
　何百万の票でも買えない価値だ。
　四面楚歌になろうとも、それだけは失わずにもらいたい、と願ってやまなかったので、
　今日のニュースは、ちょっと嬉しかった。
　
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大久保利通、雑感。

2011年07月14日 00時12分37秒 | 01 小沢一郎篇

　十数年前、
　小沢一郎という政治家が、
　「尊敬する日本の歴史上の政治家」に、
　大久保利通、
　という嫌われ者ナンバー１（？）の政治家の名を挙げたのを眼にした時、
　思わず、
　その選択に微笑んだことがあった。

　今、「小沢信者」を自負している人たちの何割が、
　何故、小沢一郎がその後しつこいくらいに大久保利通の名を挙げ続けているのか、
　心底から理解しているのだろうか？


　僕は、大久保利通という明治維新の傑物に関する知識の多くを、
　最初は学校の社会科の教師から、
　それから先は、歴史小説家たちが他の明治維新時の人物を描く時の悪役的存在として与えられたが、
　３０年ほど前に司馬遼太郎という作家から与えられた知識が一番の決定打になったような、
　そんな気がする。

　当初、僕の一番の関心は、
「何故、大久保利通は、明治の大衆からあれほど嫌われたのか？」
　という点だった。

　しかし、
　その気になって書物を読み漁ってみたら、
　答えは、いたって簡単だった。
　それは（多分だが）、
　大久保利通は、日本国民から、
　自分の無二の親友であり、国民的英雄でもあった西郷隆盛を殺した冷酷男、
　と信じられてきたからだ。

　その＜嫌悪の角度＞は、
　同じように、弟であり、国民的英雄源義経を、冷遇して死に追いやった源頼朝に対する嫌悪、
　あるいは、姉の子である歌人将軍源実朝を謀殺（？）して政権を手中にした北条義時に対する嫌悪、
　さらには、幼い豊臣秀頼を大阪城で殺して徳川幕府の安泰をはかった徳川家康に対する嫌悪、
　それらの＜嫌悪の角度＞と酷似しているように、思う。

　今さら言うまでもなく、
　彼らに対する戦前の＜嫌悪の角度＞には、勤皇思想が多分に影響を与えていたが、
　戦前の勤皇思想から解き放たれた戦後の歴史小説家たちは、
　それまでの記述タブーに、解放感の後押しもあって、果敢に挑戦していった。
　お陰で、僕たちは、
　例えば、永井路子の『炎環』のように優れた鎌倉ものを眼にすることが出来、
　親の時代には国家的悪役だった源頼朝や北条義時を、正しく評価できるまでになった。

　しかし、
　そうした思想的な記述タブーが消滅したにもかかわらず、
　大久保利通は、司馬遼太郎が登場するまで、ずっと、日本国民から嫌悪され続けてきた。
　もっとも、
　よく検証すれば、すぐにわかるが、
　大久保利通は、現実主義者だったから、「生粋の勤皇主義者」ではなかったのかもしれないが、
　天皇を頂点とした日本独自の国家体制の確立を目指して邁（まい）進した男であった。
　だから、大久保が、勤皇思想から嫌悪される理由がない。

　とするならば、
　これは、もう、
　国民的英雄・西郷隆盛を明治政府から追い出して、最後は無念の死を与えた、
　それらの「表面的事実」だけが理由だったのかもしれない。

　しかし、
　後講釈はいくらでもつけられるのだろうが、
　明治初期の日本国家を、外交面、経済面から、冷静に検証するならば、
　海外からは「アジアの果ての未開の国」としか見られていない発足直後の明治政府を、
　つまり、この日本国家を、日本国民を、
　西欧列国の侵略から守るためには、
　おそらく、彼と彼の仲間たちが選択した進路しか、他に方法がなかったはずだ。

　明治維新は、中途半端であったであろうが、なかろうが、
　ある種の＜革命＞だった。この国においては、未曾有の画期的な＜革命＞だった。
　＜革命＞は冷酷だ。
　切って捨てるべき存在は、切って捨てなければ、＜革命＞政府は確立し得ない。
　後期の西郷隆盛が提唱した、没落武家層をも救済する政治というのは、
　当時の国力では、あの段階では、おそらく、無理だったろう、と思う。
　やっと成就した＜革命＞政治の徹底と、中途の温情、
　それは、大勢の大衆からは、冷酷な政治よりは温情政治がいいに決まっている。
　明治大衆が西郷隆盛に声援を送ったのは、当然だった。
　
　しかし、
　僕は、あの段階で、
　大久保利通が無二の親友西郷隆盛を切って捨てるのは、
　相当な覚悟を必要としたのであろう、と想像する。
　島津の前藩主斉彬から絶大な信用を得、何をしても絵になる男西郷隆盛、
　ある時期まで、そんなヒーロー西郷の影に徹し、
　西郷なければ革命無し、と読んで、
　代替わりした現藩主から憎まれて窮地に陥った西郷を、弁舌一つで窮地から救済し、
　共に革命の道を歩んだ男、
　その大久保利通が、西郷隆盛を切って捨てるのは、
　よほどの理由がないと、そんなことが出来るわけがない。

　しかし、彼は、それをやった。
　盟友西郷隆盛を、ある段階で、無慈悲に、切って捨てた。

　政治に真摯に向かい合っている政治家だったからこそ、
　政治に明確なビジョンを持った男だったから、
　大久保利通は、あえて、それをやったのだ、
　と、僕は思っている。
　それは多分に、司馬遼太郎の『翔ぶが如く』以下の維新作品に触発された結果ではあるけれど、
　しかし、事実は嘘をつかないから、歴史事実を検証すれば浮かび上がってくるものが確かにあり、
　大久保利通っていいなあ、
　と、思ってきた。


　僕の大久保理解と小沢一郎の大久保理解が同じである、などとは、口が裂けても言わないが、
　僕がこの２０年間高く評価してきた小沢一郎という優れた政治家は、
　そんなことくらいは、よく理解しているのだろう、
　くらいには、小沢一郎の読解力を信じている。　

　「判官（ほうがん）びいき」、という言葉がある。
　辞典を紐解くと、

　　　　　　　悲劇的英雄、判官源義経に同情する気持ち。
　　　　　　　転じて、弱者・敗者に同情し声援する感情をいう。　　（大辞泉）

　そう書いてある。

　しかし、
　この国において、
　不遇（＝悲運）の死を迎えた後では、
　大衆は、その人物に同情の声をあげるけど、
　生前には、ただの一度も、救済の活動など、したことはない。

　それが、この国の「判官びいき」の実態だ。


　僕は、
　小沢一郎に、
　終わった後の「判官びいき」を」させてはならない。
　それでは、あまりにも小沢一郎が哀れすぎる。
　と思い込んで、
　今は悪役でもいいから、後の世に、彼は優れた政治家だった、と言わせたくて、
　小沢寸評を書き続けてきた。

　しかし、
　最近の政治情況を見ていると、
　事態はそう推移していない。
　ひょっとしたら、小沢一郎は、
　未来永劫、誰からも評価されることのない「梶原景時」になるかもしれないな、
　という気がしてならない。

　それが、僕には、
　無念至極、
　である。

　
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転載（『立ち止まって考えよう国民会議�供戮茲蝓�

2011年07月06日 20時59分19秒 | 01 小沢一郎篇

　『立ち止まって考えよう国民会議�供戮法�下記のとおりの文章を掲載したので、
　転載しておく。
　４ヶ月も休んだので、
　少し動こう。



　　　　　　　小沢一郎の不在

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　世川行介


　３・１１の大震災以来、僕たちは＜世界＞を凝視しているのだが、
　不思議なことに、
　あれだけの大惨事を受けた直後なのにもかかわらず、
　何か、この国では時間が止まったかのような、そんな錯覚に陥ることが、しばしばだ。
　東北復興作業は、きっと着々と遂行されているのだろうが、
　なにか、その歩みが非常にのろいような錯覚に陥ることが、しばしばだ。　

　この奇妙な感覚は何処から来るのだろう？
　と考えた。
　テレビの報道番組、一般新聞、ネットの政治記事、などを凝視して、
　懸命に考えた。

　そして、
　僕は、
「自分のこの奇妙な感覚は、
　この国の政治家としてはずば抜けた政治構想力と実行力を持つ小沢一郎が、
　いま、実質的に、大震災後の政治現場に不在であることから生じる「ものたりなさ」なのではないのか？」
　と思うに至った。

　国民の誰もがすでに承知しているとおり、
　民主党の元党首である小沢一郎は、現在、刑事被告人の身だ。
　しかし、それは、
　これまで僕たちがなじんできた通常の訴追ルートに則って訴追されたのではなく、
　司法を担当する高級官僚群が、
　「検察審査会」とかいう、これまで僕たちがその存在を知りもしなかった「名ばかり機関」を、
　突然に浮上させて、
　構成員名簿も公表しないその「名ばかり機関」の決定によって、
　小沢一郎を刑事被告人の立場に追いやった結果だ。

　これは小沢一郎を政治から追放しようと考える「思惑ある者たち」の、「禁じ手」の乱用だ、
　と、僕の眼には写ったし、
　「司法の中立」を信じて戦後昭和を生きてきた僕たちであるから、
　この時、下平成日本の法の運用実態を見せつけられ、少なからぬ衝撃を受けたのだった。


　しかし、
　この国独特の国民性なのか、いまだ司法への信頼感を失っていないせいなのか、
　それは僕にはわからないけれど、
「これって、なんか、おかしいぜ」
　と首をかしげながらも、多くの国民は、そのアブノーマルな訴追行為を、容認した。

　それに対して、僕は、
　小沢一郎がどうとかこうとかはさておき、
「こんな禁じ手の使用を許したら、戦後昭和を支えてきた法理念の自殺につながる」
　という立場から、
　一貫して、
「こんな愚劣な排除劇を許してはいけない。
　この有能な政治家を、こんな策謀で政治現場から長期間遠ざけてはならない。
　政治現場の人間や、小沢一郎を嫌悪する官僚たちが、復帰を拒絶するのならば、
　僕たち戦後昭和を生きてきた僕たち平成大衆が、
　小沢一郎をすみやかに政治現場に復帰させるよう、声を上げ、行動すべきだ」
　と主張してきた。

　この『〜国民会議�供戮癲�
　そうした社会情況を、少しでも多くの人に立ち止まって沈思黙考してもらいたいがために立ち上げた。
　３・１９に予定していた「１万人集会」も、そうした姿勢の延長上で企画されたものだった。


　この『立ち止まって考えよう国民会議�供戮寮嫻ぜ圓琉貎佑任△詼佑癲�
　３月１１日から今日７月６日まで、
　嫌というほどに、立ち止まって考えた。

　そして、いま、思うのは、
　この停滞感でいっぱいの状況を打開するためには、
　やはり、僕たち一人一人の小さな声と小さな行動が、どうしても必要なのではないのだろうか、
　という一点だ。

　この『立ち止まって考えよう国民会議�供戮蓮△△┐導�店休業状態にして、
　自分自身の土俵である『世川行介放浪日記』だけで情況への発言をしてきたが、
　そうした結論を得て、
　今後は、少しアクティブに行動することにした。

　とりあえずは、
　一緒に、
　「情況を考えるという行動」に参加していただけると、ありがたい。

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闘おう

2011年07月01日 14時01分22秒 | 01 小沢一郎篇

　今日から７月だ。

　もうすぐ夏が来る。


　この日記をご覧の、僕と年齢を近くする皆さん。


　闘おう。

　
　僕たち戦後昭和世代は、
　＜何か＞を信じて、昭和後期から平成２０年まで生きてきた。
　＜何か＞のために、＜日本的なるもの＞と、懸命に格闘しながら今日まで来て、
　＜何か＞の成就を夢見ることが次世代への「架け橋」だ、と信じて、時には後ろを見ながら、闘ってきた。

　それは、
　僕たちも実にありふれた一般的人間であるから、
　そればかりを考えて生きてきた、とは決して言わない。
　だらしなさもいい加減も、十分に生きた。

　しかし、
　この国の社会事件の折々に、
　そうした真摯な姿勢を失わずに社会を見てきた。行動してきた。
　それくらいは、
　後世代に向かって、堂々と語っていい、
　くらいの生き方をしてきたはずだ。

　いま、僕たちは、平成というだらしない「時代のブラックホール」に投げ込まれている。
　実に、僕たちが予想だにしなかったような「だらしない風化」の時代だ。
　「風化の時代」は、闘いを意志する人間を無力感と脱力感で包み込もうとする。

　でも、
　と言うべきか、
　だから、
　と言うべきなのか、
　僕たちは、
　これまでそうだった「闘いの基本姿勢」を失ってはいけない。
　と思う。

　僕たちからそのファイティングポーズを失くしたら、
　僕たちは、これまで手放さずに来た＜時代＞とのアイデンティティを手放してしまうことになる。


　そうした見地から、
　僕は、
　小沢一郎という政治家の、この時代における存在意義を認めるか認めないか、
　それが、
　戦後昭和世代の「闘いの基本姿勢」の持続を問うリトマス試験紙だ。
　と思ってきた。

　つまり、
　＜小沢一郎＞とは、
　戦後昭和を生きてきた僕自身であり、あなた自身なのだ。


　僕は、小沢一郎の時代的存在意義を認めてきた男だから、
　それを明確にしたくて、
　これまでの３年半、小沢一郎に関する様々な文章をここに書いてきた。

　そこで僕が書き表したかったのは、
　「小沢一郎を見る＜角度＞」だった。
　マスコミや＜日本的なるもの＞が見る角度とは違った、小沢一郎を見る＜角度＞だった。
　多くの人が黙殺してきた小沢一郎に対して、独自の評価＜角度＞を提出することが、
　僕たち戦後昭和世代の「闘いの基本姿勢」の提示と同義である、
　と思ってきた。

　これまで、少しはそれらしきことを書き綴ってきたような気がするが、
　僕の真意が＜未知の読者＞諸氏に伝わったのかどうかは、
　はっきり言って、自信がない。


　昨年から、小沢一郎を取り巻く環境は、悪化の一途をたどり始め、
　３月１１日の大震災はそれに拍車をかけ、
　小沢一郎に期待をかける人間の多くは、
　意気消沈の海におぼれつつあった。

　しかし、
　本日のニュースによると、
　元秘書で国会議員の石川ともひろ氏の裁判で、
　検察側の証拠がかなり不採用になったらしい。
　良い兆候だ。

　僕は、僕個人の判断で、
　この裁判は石川氏から小沢氏まで、勝利に終わるであろう、と思っているが、
　ただ、完全終了までは、いかにも時間がかかりすぎる。

　だから、
　いま、小沢一郎を支持する人たちは、
　この報道に単純に浮かれるのではなく、
　この機にこそ、
　支持論理の再構築を、支持の戦略を、支持行動の具体策を、
　そういったことを、
　緻密に、具体的に、検討しなくてはいけないのではないのか？

　自分たちが生き抜いてきた「戦後昭和」を、後に続く世代に誇るためにも、
　これまで、寡黙に温厚に過ごして来たあなたや僕の「闘う姿勢」こそが、いま求められているのだ、
　と、僕は思う。

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「小沢一郎のために」ではなく　　〜「小沢信者」に向けて〜

2011年06月28日 06時28分57秒 | 01 小沢一郎篇

　先日購読料を送ってくださった７人の方への感謝の意を表すために、
　文章を推敲して夜半に掲載する、
　と宣言していたが、
　ここ数日間の私生活上の理由による極度の睡眠不足で、
　午後１０時半くらいからただ昏々と眠りこけてしまい、午前３時に目覚めた。
　遅くなって申し訳ない。
　

　さっき（午後１０時過ぎ）、NHKのテレビをつけたら、　
　菅首相の記者会見を放送していて、しばらく眺めた。
　参院の自民党議員を一人、民主党に寝返らせて、政府要員として遇し、
　これまで距離を置いていた細野豪志総理補佐官を原発担当相に任命していた。
　また退陣時期に、条件を３つほど挙げていたみたいだ。
　この政権、案外、もう少し続くかもしれないな、と思った。

　菅首相の真意はまだわからないが、
　政権延命に躍起になって、打てる手は何でも打とうとしているのだけは、察しがつく。
　なかなか粘り腰のしぶとい男だねえ、と奇妙に感心した。

　この男を見ていると、
　昔々「バルカン政治家」の異名を取った、自民党の三木武夫首相を思い出す。
　田中角栄を悪役に仕立て上げて政権延命をはかった三木武夫も、しぶとい政治家だった。
　僕の個人的な印象批評を言えば、
　田中角栄は実質的には三木武夫の権勢欲によって葬られたと言っても過言ではないような、
　そんな感想を持っている。
　今さら言うまでもなく、田中角栄は、小沢一郎の師匠だった。
　師匠の田中角栄の三木武夫、
　愛弟子の小沢一郎の菅直人、
　似たような、しかも、本来身内であるはずの権力志向男が相手だというのも、不思議なものだと思う。


　田中角栄は、三木武夫やマスコミの「クリーンな政治を！」というくだらないスローガンに敗れ、
　「名実共にの政権獲得」の断念を余儀なくされ、
　自らの復活を夢見たため自派閥から総理総裁を出すことをせず、
　「目白の闇将軍」という名で日本政界の闇の指導者として数年を生き、
　しかし、「刑事被告人」という汚名の重圧に耐え切れず、
　ストレスがたまり、深酒をし、
　焦れた金丸信や愛弟子の小沢一郎・羽田孜にまで背かれたショックで病に倒れ、言語障害をおこし、
　ついには、さびしく政界を去った。


　僕は、この国の「小沢一郎抹殺キャンペーン」が声高になった頃から、
　一貫して、
「小沢一郎を第二の田中角栄にしてはいけない。
　彼を裏の指導者にして、同じ歴史を二度繰り返させてはいけない。
　それは、
　もちろん、小沢一郎にもとってよくないことではあるが、
　何よりも、
　小沢一郎を表舞台から遠ざけることは、この国にとっても大きなマイナスであり、
　我々戦後昭和世代にとっては、＜知性＞の死につながる最悪の事態だ。
　だから、小沢支持者は、小沢一郎を政治の表舞台に復帰させる努力をすべきだ」
　と主張してきた。
　この主張は、いま現在も、ずっと同じだ。一つも変わっていない。


　僕は、この日記で、
　「小沢一郎のために」と叫ぶ小沢一郎の熱狂的支持者を、
　「小沢信者」
　と呼んで、
　僕たち「小沢支持者」と区別して論じ、
　その類の人たちから多大な反発を受けてきた。

　何故、そんな反発を承知で、峻別してきたかというのには、僕なりの理由がある。

　「小沢信者」の小沢支持の根底には、
　「小沢一郎のために」という思いが強烈にある。
　そして、その強烈な思いは、
　時として、その人たちの政治や社会を見る眼を曇らせ、
　僕などから見ると、「贔屓（ひいき）の引き倒し」みたいな歪んだ主張の横行を許し、
　政治に中立的な人たちの眉をひそめさせた。
　僕には、これは小沢一郎にとってとても危険な兆候だ、という風に映った。

　僕、あるいは、僕に似た「小沢支持者」と「小沢信者」たちとの違いは、どこにあるかと言うと、
　僕たちの小沢支持の根底には、
　「小沢一郎のために」ではなく、
　「この国のために小沢一郎を」という認識がある点だ。

　ここの違いは大きい、と思うし、大切だ、と思う。
　僕たちは、そのような認識に立っているから、
　時としては、小沢一郎の行動を批判することもある。
　しかし、「小沢信者」は、小沢一郎の無謬（むびゅう）性を疑わない。信じきっている。
　僕たちは、少しは歴史を知っているから、
　その信仰姿勢は戦後間無しの「日本共産党」信仰とどこが違うんだ？と思ってしまう。

　組織も個人も、
　支持と批判の二つともを浴びながらでなければ、所詮は閉じていくしかない。
　僕は、小沢一郎を「閉じていく存在」にしてはいけない、と考える立場だから、
　ややもすると小沢一郎へ苦言や批判を封殺しようとする「小沢信者」への批判は、
　反発承知で、臆することなくおこなってきた。

　しかし、
　だからと言って、「小沢信者」が嫌いかというと、案外そうでもないところが僕で、
　批判は批判として、心の底では、「頑張れよ」と思ってきた。　
　たとえば、ここの「コメント欄」に最近書いていた「六甲」さんという方の意見などは、
　結構微笑んで読んできた。


　３月１１日を体験して、
　僕は、一介の「小沢支持者」として、あれこれ考えてきた。
　何を考えたかというと、
　どうしたら、
　僕たち平成大衆の手によって、小沢一郎を早期に政治現場に復帰させることができれるのか、
　という一点だった。

　僕は、戦いには戦略が必要だ、と信じている男なので、
　自分ならどんな戦略を立てるかなあ、と考えた。

　そして、僕は、
　これは、小沢一郎が＜東北復興ビジョン＞をおおやけに提示しない限りは、戦略の立てようがないな、
　という結論に達した。
　日本を一変させた３月１１日を体験した以上、それ以外のどんな方法も無理だ、と思った。

　しかし、３ヶ月待っても、小沢一郎はそんなビジョンを一向に開陳しない。
　こりゃ、当分無理だな、少し休もうか、
　と、「愛欲篇」に溺れて過ごした。
　お蔭で、１９歳も年下の女と、熱い思いで過ごさせてもらって、それなりに幸福であった。

　ところが、先日、
　小沢一郎ご本人から、丁寧な私信を頂き、
　その中に、
　自分は＜東北復興ビジョン＞を持っているし、いつか必ず国民に開示する、
　と書かれているのを読んで、
　なんだ、それならいくらでも戦略は立てれるじゃないか、
　と、思わず小躍（こおど）りした。


　僕は、ネット上の「小沢信者」から嫌悪されているのは、百も承知だが、
　しかし、
　戦いは、目的を達成できればそれでいいじゃないか、という思いが強く、
　好きだとか嫌いだとかいった論議には全然興味がない。
　僕たちの目的が、
　小沢一郎を政治舞台に復帰させて、彼の政治手腕を発揮させること、にあるのなら、
　「小沢信者」も「小沢支持者」も、その一点に向かって走ればいいではないか、
　と、単純に割り切っている。


　つまりは、戦略が問題だ。

　だから、
　これまで思いを通わせてきた「小沢支持者」の人たちだけではなく、
　これまで批判してきた「小沢信者」の人たちにも向かって言うのだが、

　僕には、
　今の社会状況、政治状況の中で、
　言いがかりみたいな「刑事被告人」にさせられて、手足を縛られた状態になっている小沢一郎を、
　つつがなく政治の表舞台に呼び戻せる大義名分は、
「東北復興は小沢一郎にやらせろ。
　小沢一郎以外には、中期的展望に立った真正の東北復興はできない！」
　それ以外にはないように思える。
　しかも、小沢一郎本人が、「そのビジョンは、自分の中にある」、と言い切っている。

　であるならば、
　僕たちは、その小沢一郎支援論理を、小沢一郎を誤解している国民が納得できる支援論理を、
　それを作ればいいだけのことだ。
　ネットというのは、全国どこからでも、意見が発信できる。
　信者も支持者も、しょうもない嘆き節や空元気の行進曲をばかりうたっていないで、
　小沢一郎がその＜東北復興ビジョン＞を開示するまで、
　新しい小沢一郎支援論理作りに励んではどうだろう。　


　ただ、
　その支援論理作りにおいては、
　その根底に、
　「小沢一郎のために」ではなく、
　「この国ために小沢一郎を」という姿勢の固定化が必要だ、と思う。
　その基本姿勢で書かれていない支援論理には、多くの平成大衆はそっぽを向くだろう。

　僕は、
　その作業を「小沢信者」が無難にやれるかどうかが、
　それがすべての鍵を握ってるような気がして、
　数日前から、「小沢信者」たちの動向を注意深く見つめ始めた。


　しゃれっ気のある小沢信者「六甲」さん。
　頑張ってくださいよ。

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報告　〜一通の封書〜

2011年06月24日 02時04分14秒 | 01 小沢一郎篇

　今日、夕方、
　郵便局に行って、いつもの「スルー」のむなしい感覚を味わい、
　トボトボとマンションに帰り、郵便受けを覗くと、
「？」
　一通の白い封書が入っていた。

　僕のこの住所に郵便物が届くなんて、それは、もう、滅多にないことで、
「誰からだろう？」
　僕は、裏をひっくり返し、差出人の名を見た。

　そこには、ある国会議員の名と事務所名が書かれていた。

「政経懇話会の誘いか、」
　僕は、軽い気持ちで封を切って、読みながら部屋に帰った。


　「さて、このたび世川様のブログ上での御手紙を拝読いたしました」

「　……、」

　それは、小沢一郎氏本人からの、僕の文章『謹啓　小沢一郎様』に対する回答だった。

　僕は、狭い部屋で、むさぼるように、その手紙を読んだ。


　その内容については、
　僕のネット上の文章に対する回答なので、ここに公表してもいいような感じだが、
　元特定郵便局長の僕としては、
　私信は私信、通信の秘密。という思いが強いので、
　やめさせてもらうが、

　たった一点、
　これは、僕の日記の核心だった部分についての回答なので、
　これは公表してもいいのではないか、
　と思う部分があったので、僕の独断で、その部分の要旨だけを書かせてもらうと、

　僕の、
「小沢一郎は、まず何よりも、＜東北復興ビジョン＞を書くべきではないのか？」
　という問いかけに対して、

　小沢一郎氏は、

　「国民の皆様方からのご期待に沿える復興政策を実現して参るべく」
　「しかるべき段階で当然、私なりのしっかりとした考え方を国民の皆様方にお伝えしたい」

　と回答をくれていた。

　僕のようなチンピラに対して、礼を尽くした手紙で、
　僕は、少なからず感激させられた。


　この文章は、パソコン書きでであったから、
「それって、秘書の作文かもしれないぜ」　
　と揶揄する人もいるかもしれない。
　しかし、
　末尾に、「小沢一郎」と書かれている以上、
　これは小沢一郎本人の文章であると受け止めよう、と僕は思った。
　だから、そういう認識のもとで、僕は、以下の文章を書く。


　最近、
　「小沢支持者」たちが、いかにも元気がない。
　僕の小沢ファンの友人たちから、＜未知の読者＞諸氏まで、
　いかにも、いかにも、元気がない。

　僕は、この数ヶ月を、ただ黙って見つめていた男なので、
　意気消沈も意気高揚もまったく無縁だったが、
　たまに電話すると、
　どいつもこいつも、元気をなくし、
　何を言っても、空返事。
「何を、女の腐ったみたいにグジグジしてんだよ！
　これくらいの事、何でもないじゃないか」
　と怒鳴ってやりたくなるのだったが…、

　意気消沈している、全国の「小沢支持者」の皆さん。

　皆さん方は、
「何が何でも小沢一郎！」
　と言う「六甲」さんや「小原庄助」さんに代表される「いつも空元気・小沢信者」とは別ですから、
　いま、
　僕は、
　声を大にしてみなさんに言いたい。

　僕たちの期待する小沢一郎本人が、
　まだ提示していないが、自分には＜東北復興ビジョン＞がある、
　と宣言したのです。

　であるなら、
　僕たちは、
　これまで信じてきた小沢一郎を、これからも信じ、
　そのビジョンが天下に公表されるを、ただ黙って待ち、
　それが出て、
　その内容が、「さすが小沢一郎」とうなるほどのものであったなら、
　みんなで、
「東北復興は小沢一郎にやらせろ！
　他の政治家にはやらせるな。
　小沢一郎が、言いがかりみたいな刑事被告人であろうと、それが何なんだ！」
　と騒げばいいのです。

　何の問題がありましょう。
　簡単な話じゃないですか。


　ですから、
　皆さん。
　その日まで、
　元気をためましょう。
　鋭気を養って、体力をつけて、
　ユンケルと生卵を毎日飲んで、
　その日が来たら、一斉に元気よく動きましょう。

　長期的な戦いというのは、
　それくらいのずぼらさと陽気さがないと、持続できませんよ。
　
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謹啓　小沢一郎様

2011年06月21日 02時49分34秒 | 01 小沢一郎篇

　小沢一郎さん。

　僕は、あなたを一度も取材しないで、あなたの著作物とあなたの周辺の方々からの取材だけで、
　あなたに関する一冊の本を書き上げた、怠け者の売れない物書きです。
　一度も面識のないあなたへのこの便りが、あなたの眼に触れることがあるのかどうか、
　僕にはわかりませんが、
　この世には奇跡もあるかもしれないと考えて、不躾な便りをしたためさせてもらいます。


　僕は、
　あなたが、自民党幹事長職を、何の未練気もなく辞任してからの政治姿勢に注目し、
　野党の出した「宮沢内閣（当時）不信任案」への同調で腹をくくった、政治改革への苦難の道のりを、
　高く評価してきた一人でもあります。

　同時に、
　この２０年近く、あなたを主軸にしたドタバタ政治劇を遠くから見つめ、
　「小沢一郎抹殺キャンペーン」とでも言えばいいような、この国特有な愚劣な徒党的攻撃に、
　政治のこと、世界のこと、大衆意識のこと、生活思想のこと…、
　実に様々なことがらについて考えさせられた人間でもあります。

　そうしたドタバタ政治劇の折々に、
　陰湿極まりない「小沢抹殺キャンペーン」に対して、
　時には戸惑い、時には苛立ちながら、
　基本的には寡黙に耐え続けるあなたの姿に、
　失われつつある＜古典的日本型男性＞の典型を見る思いで、
　ですから、自分の心の中だけで、
　あなたの、憮然とした横顔や、肩を怒らせた背中に、
「その姿、いいよ。
　あいつらなんかに負けるなよ」
　と、拍手を送り続けてきました。


　昨年、あなたが心ならずも「刑事被告人」になった時、
　僕は、非常な危機感を抱きました。
　あなたの抹殺を看過することは、この国の＜知性＞の自殺につながる。
　なんとか策を講じても、あなたを政治の表舞台に復帰させなければならない。
　それは、一人あなただけの問題ではなく、
　戦後昭和から平成の２０年を生き抜いてきた僕たち戦後世代の問題ではないのか、
　と思いました。

　東西冷戦構造崩壊後という「対立軸を喪失した時代」は、
　ちょうどあなたが政権中枢から外れていた時期と重なり、
　その間、この国は、
　この国の国民体質そのものとでも言えばいいような、
　だらしない＜風化の時代＞に迷い込んでいました。
　この国のマスコミや識者・文化人の発言、世論の調査結果、などを聞くにつけ、
　僕は、
　この国は、太平洋戦争に流れ込んでいく直前の光景を再現しているのではないのか、
　そんな憂鬱に落ち込んだりもしました。


　昨年から、
　僕は、政権交代の立役者であるあなたが次第に追い込まれていくのを、
　痛い気持ちで見つめ続けました。
　つまり、「我がこと」のような思いで見続けました。
　そして、
　あなたの窮地を救えるのは、
　小沢自由党の党首であったあなただけに期待して票を投じた、
　６５８万人の知性だけではなかろうか、
　と思い当たり、
　本年１月、その未知の人たちに向かって、
　小沢一郎を救済する国民運動を展開しよう、と呼びかけました。
　そして、それは、それなりの機運をみせ始めました。

　しかし、
　３月１１日、
　思いもかけない東北地方の大震災と、福島県の原発問題により、
　政治状況は一転してしまいました。
　もちろん、僕たちが企図した国民運動も、頓挫を余儀なくされました。


　小沢一郎さん。

　僕は、３月１１日の数日後から、
　一貫して、
「小沢一郎は、何をさておき、
　一刻も早く＜東北復興ビジョン＞を国民に提示すべきだ」
　と主張してきました。
　作家高橋克彦が、「炎立つ」や「アテルｲ」で活写した東北の歴史を、
　歴史の真実として受け止めるとした場合、
「小沢一郎が、
　長く不遇の歴史を過ごしてきた東北を自らの政治基盤の地とする政治家であるのなら、
　何を投げ捨ててでも、まず、東北復興のために率先して、語り、動くべきだ」
　と思ったからです。

　何故そういうことを主張したかというと、
　僕たち平成大衆があなたを高く評価した一番の根拠は、
　あなたが著わした名著『日本改造計画』だったからです。
　あれは、見事な書でありました。
　あの時点であれだけの政治認識を示したあなたの優れた政治感覚に、僕たちは胸を躍らせ、　
　あなたの手によってそうした改革が実現する日を夢見、あなたに声援を送り続けました。
　
　哀しいことに、あの時あなたたが提起した政治課題は、この国でいまだに解決されていません。
　そこに平成政治の不幸があるのですが、
　それだからこそ、僕たちは、
　あなたがいつの日にか政権の中枢に座り、真正の改革をやってくれることに、
　期待をかけ続けてきたのです。　

　繰り返しますが、
　『日本改造計画』は、日本政治に強い関心を持つ人間にとっては、
　手放すことの出来ない＜経典＞でありました。

　しかし、
　３月１１日の東北大震災は、
　一瞬にして日本を変えてしまいました。
　つまり、
　この国は、
　経典『日本改造計画』に著わされた経文では対処し得ない事態になったのです。

　ですから、僕は、
　あなた小沢一郎に、
　あの『日本改造計画』の震災後版を出すべきだ、と主張したわけです。


　小沢一郎さん。

　僕たちは、この数ヶ月、
　あなたの描く＜東北復興ビジョン＞が、国民に向かって開示されるのを、
　一日千秋の思いで、待ち続けました。

　しかし、
　あなたはついにそのようなビジョンを提示することなく、
　何を思ったのか、
　菅内閣打倒への道を走り始めました。

　あなたの取り巻き議員や、僕が「小沢信者」とからかう熱狂的支持者たちは、
　あなたの行動を「善し！」としたみたいですが、
　僕は、
　その戦術は間違っている、
　と思い、
　それを口にし、
　「小沢ファミリー」からは、裏切り者扱いされて今日に至っています。


　しかし、小沢一郎さん。

　菅内閣の震災処理が間違っている、と難じる時には、
　難じる側に、確たる対案がないといけないのではないのでしょうか？
　自分が確たる復興ビションを持たず、
　小手に隙を見せれば小手を突き、胴に隙を見せれば隙を突く、といった批判のやり方は、
　壮大なるビジョン書『日本改造計画』の著者だけは、
　絶対にやってはいけないことではなかったのでしょうか。


　前置きが長くなりました。
　そろそろ本題に入らせて頂きたく思います。


　小沢一郎さん。

　３月１１日から今日まで、
　大震災で頓挫した「１万人集会実行委員会事務局」である僕の電話に、
　１０００人ほどの方から電話があり、
　僕は、その方々と会話を交わしてきました。
　この「１万人集会」構想があなたのためのものであったことは、今さら隠す必要もないでしょう。

　その彼や彼女たちは、
　僕同様に、いや、僕よりももっともっと強い思いで、
　あなたの政治舞台への復帰を、
　この国の将来のために、望んでいました。

　この方々は、
「一体、自分たちは、
　期待する小沢一郎さんを政治の表舞台に復帰させて、その政治能力を発揮させるために、
　どのような行動をすればいいのか？」
　と、執拗に僕に問いかけてきました。

　僕は、その方々に、
「大義名分のないいかなる行動も、平成大衆の支持を得られない。
　小沢一郎が大義名分を抱えて行動するまで、我慢してください」
　と言い続けました。


　小沢一郎さん。

　最後に言わせてください。

　あなたが掲げるに一番ふさわしい大義名分とは、いったい、何なのか、と考える時、
　僕は、思うのです。
　それは、
　平成を代表する政治家小沢一郎が、この大震災を体験して、最初にしなくてはならないのは、
　第二の『日本改造計画』を、国民の前に提示することであって、
　しかも、それは、東北復興の指針となる内容でなくてはならない、
　というものです。

　僕には、
　かつて、政策政党「自由党」を興し、
　政策重視政党の確立のために砕氷船のように突き進んできたあなたが掲げる大義名分は、
　それしかない。
　と思えてならないのです。

　そして、そのようなビジョンが提示されたなら、
　これまでの１０数年間、あなたに政治の夢を託してきた多くの平成大衆は、
「東北復興は、小沢一郎にこそ任せるべきだ。
　小沢一郎以外に東北復興をゆだねられる政治家は、日本にいない！」
　と叫んで、
　あなたのために立ち上がることでしょう。

　あなたの取り巻きたちの「小沢神話」によれば、
　あなたはとてもシャイな人柄で、自分の方から自分を高く売るような行為はしない、
　とのことですが、
　しかし、
　今回の大震災は、１００年に一度の大惨事であり、
　その舞台は、あなたが愛してやまない東北です。
　あなたが、
「東北復興は私がやる。
　このとおり、ビジョンも作った。
　私にやらせてくれ」
　と、手をあげた時、
　いったい、どこの誰が、笑ったり顔をしかめたりするというのでしょう。

　僕たちは、
　そういう光景を見たいがために、いま、あなたを注視している、
　ということを伝えたくて、こんな便りを書かせてもらった次第です。


　長すぎる便りになりました。
　神の奇跡によって、この便りがあなたの眼に触れることを願って、
　拙い落書きの筆を止めることとします。


　　　　　　　　　　　　　　　　　　世川行介拝

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茶番劇雑感

2011年06月03日 15時35分50秒 | 01 小沢一郎篇

　僕は終始冷ややかに見ていたので、本当はどうでもいいことなのだが、
　「菅内閣に対する倒閣運動」という茶番劇の、第一幕が終わった。

　これについては、
　一昨日、
　「ナイショ話通信」で、５０人ほどの信頼できる＜未知の読者＞には、
「揺れている鳩山由紀夫の動向がすべてを決定するはずだ」
　と、人様の言葉を借りて、それとなく自分の見解を伝えておいたので、
　まあ、予想通りの結果であった。

　大雑把にしか見ていないので、あまり断定的なことは言えないが、
　今回の結末は、
　鳩山由紀夫のお坊ちゃま体質のもろさを世間にさらし、
　そして、小沢一郎のいつもの詰めの甘さを世間に露呈し、
　興味本位で眺めていた多くの人の失笑を買った。

　おそらく、
　鳩山由紀夫は、
　最終的に、菅直人から「辞任宣言」を引き出して、
　それで勝った気になり、
　あとは、「自分が作った大政党民主党を分裂させたくない」というオーナー本能で、
　小沢一郎にも妥協を要請したのだろう。
　鳩山派の協力がないと倒閣が成就できない小沢派は従うしかなかったはずだ。
　それなのに、
　その菅直人が、「辞任時期は来年一月だ」などと言ったものだから、
　「すぐにだ」と思っていた鳩山由紀夫は、「菅はペテン師だ」と激怒している。


　そうした報道を眼にして、
「この二人（鳩山、小沢）は、実に、いいとこの坊ちゃんたちだな」
　と、思わず微笑んでしまった。
　この甘さでは、成り上がりたちとの喧嘩には、勝てやしない。
　成り上がりには、戦いに勝つことだけが第一義であって、
　恥も、外聞も、見識も、ない。
　お坊ちゃまには、それが、どうしても、理解できない。

　ただ、
　僕は、この二人のお坊ちゃま的体質が、嫌いではない。
　むしろ、
　好きだなあ、と思っている。
　このお坊ちゃん的甘さこそが、この二人の魅力であるのかもしれない。

　今までは冷ややかであったが、
　二人がこれからをどう進むのか、
　少し興味を抱き始めた。


　僕は、小沢一郎という政治家を高く評価してきた人間なので、
　彼には声の届かないこんな場所からではあるが、一言、
「原理原則を生きようとする人間は、条件闘争をやってはならない」
　ということだけは、言いたい気がする。

　今回、
　結果として、条件闘争となって、あれだけ大言壮語を吐いていた小沢派議員たちの多くが、
　最後には、内閣不信任案否決に回った。
　条件闘争としては、それが妥当な戦略なのだろうが、
　一般有権者は、そんな戦略とは無縁の場所から彼らの戦いぶりを見ているのであって、
　この「泰山（たいざん）鳴動して鼠一匹」的な結末には、ある種の「肩透かし」を食ったことだろう。


　僕は、３月１１日午後、地震の直後の吾妻橋を、東京メトロに急ぎながら、
「菅って奴は、なんて運の強い男なんだ…、」
　と、何度も何度もつぶやいたのを、今でも覚えている。
　それは、無念いっぱいの呟（つぶや）きではあったが、
　その時、
「だけど、この運の強さも人の才能の一つなのだと認めなければならないぞ」
　と、自分に強く言い聞かせた。

　今回の倒閣運動で、反菅陣営が勘違いしたのは、
　平成大衆の意識だった。
　反菅陣営の彼らは、政治家としての視線でばかり菅内閣批判を繰り返したが、
　大衆視線からの批判（や評価）は、ほとんどしなかった。
　僕の眼には、
　政治に無関心な大衆は、それほど菅内閣に批判的ではない、
　誰が首相でもこれくらいのことしかできないよと思っている、
　と映っていたから、
　反菅陣営の攻撃の角度には、「それ、違うぜ」と、疑念を抱き続けた。


　何度でも何十度でも書くが、
　原理原則を生きる政治家である小沢一郎がしなくてはいけなかったのは、
　たった１００行でもいいから、
　彼の見識の芳香が充満した＜東北復興ビジョン＞を国民に提示すること、
　それによって、東北の人たち（特に若い人たち）に将来への＜希望＞を抱かせること、
　だった。

　僕の眼には、
　それを書ける高い見識を持っている政治家は、この日本政界では小沢一郎だけであるから、
　それを早く提示すれば、平成大衆は、
　親小沢も嫌小沢も、否応なく小沢一郎を認めざるを得ず、
　小沢一郎は平成の大政治家になれる、
　もっと言うと、
　それ以外に、刑事被告人になったマイナスを帳消しできるものはない、
　と見えたから、
　僕は、ここで、それを言い続けた。　

　しかし、
　小沢一郎は、地味な知的努力を惜しんで、
　手っ取り早い倒閣運動に走った。
　別に、僕の意見を聞けよ、と言うだけの力も信用もないから、それはそれでいいのだが、
　その行動姿勢に、僕は、少なからず失望し、
　当面の政局への関心を、急速に失っていった。


　僕は、今回の騒動に関して、
　ネット世界の落書きや意見をただの一つも見ていないので、
　ネット世界でどんな語り合いがなされているのか、まったく知らないが、
　ここの読者（阿呆読者は論外だ）にだけは、
　冷静に事態を見つめる視線を失わないでもらいたい、
　と願っている。

　伝え聞くところでは、
　先週日曜日の「菅を倒せデモ」などは、たった５０人ほどの参加だったらしい。
　この時期に、そんな阿呆なデモをやる主催者たちの貧しい見識を疑うが、
　ここの読者諸氏は、
　３・１１以降、日本が変わった、という認識を強くしてもらいたい気がする。　

　変容した日本であるなら、視線をどこに移すのか、
　というのが重要になる。
　僕は、
「視線を青少年に移せ」
　と、自分自身に言い聞かせていて、
　その手始めに、最近は、
　「嵐」だとか「山ピー」だとか「翔太」といった子供たちの歌をＹＯＵＴＵＢＥからダウンロードして、
　その歌詞を眺めている。
　別世界の歌ばかりだが、その歌詞、リズム…、結構勉強になる。


　おそらく、
　今回の不手際によって、
　小沢一郎の政治的評価は、大幅に低下することだろう。
　＜時代＞が、一層、小沢一郎から遠ざかったような気がする。

　しかし、
　僕は、小沢一郎を高く評価していて、
　一度でいいから、彼にこの国の政治の舵取りをさせてみたい、と思ってきたから、
　どこまでも、彼を見つめ続けていくのだが、
「小沢一郎。少しは平成大衆の意識をしっかりと把握した上での戦略に立って戦ってくれよ」
　と言いたい気持ちを抑えきれない。


　僕が、彼に見ている＜夢＞の成就する日が、
　いつかは来るのだろうか？

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白茶けていく…、

2011年05月25日 17時59分03秒 | 01 小沢一郎篇

　人も、国も、白茶けていく。

　最近、そんな気がしてならない。


　小沢一郎の裁判が、少し情勢の変化を見せ始めた。
　昨日、Ｔ君からの電話を受けた際、
「おお。やっと来たか」
　と僕は思った。

　この裁判に関しては、僕は、ここには書けない独自の見解を持っていて、
　おそらく、
　この裁判は小沢一郎側の勝利に終わるであろう、と予測しているのだが、
　ただ、
　小沢一郎を政治の表舞台から排除しよう、と思っている陣営は、
　たとえ裁判で負けると承知していても、
　最高裁の結審にまで眼いっぱいの時間をかけて、
　小沢一郎の年齢（つまり肉体）的な衰えと、気力衰弱を、待つだろう、
　と懸念している。
　それは、
　田中角栄のロッキード事件以後を検証すれば、
　即座に想像できることであるし、
　その衰えがどんな結果をもたらすかも、
　田中角栄の哀しすぎる最後から、容易に想像できるだろう。


　だからこそ、僕は、
　その無用な時間を、もう若くない小沢一郎に浪費させてはいけない、
　と考えて、
　あれこれと、他に向けて訴えてきた。


　こんなことを言うと、
　＜時代＞が読めない馬鹿たちから難癖をつけられるかもしれないが、
　小沢一郎という政治家は、「平成２０年間」の＜象徴＞であった。
　キムタクやイチローとは格違いの、
　彼以外の象徴を探すのはちょっと難しいくらいの＜平成の象徴的存在＞だった。

　たとえば、
　小泉純一郎は、一時期、確かに、国民的人気を博し、象徴的存在となったが、
　あくまでも、ほんの一時期だけの象徴にすぎなかった。
　しかし、
　小沢一郎は、
　日向を歩いているときも、日陰に干されている時も、
　どんな立場の時でも、＜平成の象徴的存在＞として存在感を誇示してきた。
　それが何故だったのかを解き明かすことが、
　平成という＜熱を失った時間＞を解き明かす知的作業には不可欠だ、
　と僕は思ってきた。
　
　事実として、
　政権交代前夜から実現直後まで、
　多くの平成大衆は、小沢一郎の再登板を期待して、それなりの声をあげた。
　その声は、かなりの音量だった。
　今振り返ると、
　あの時期が一番、「小沢コール」が高揚していた時期ではなかったろうか。

　しかし、
　秘書逮捕をきっかけとした「ダーティ小沢キャンペーン」から、
　小沢一郎に対する期待感は、急速にしぼみ始め、
　小沢一郎自身に対する裁判の開始、
　そして、
　これが極めつけの一打だったが、
　なん人も想像すらできなかった３・１１大震災勃発によって、
　平成大衆の小沢待望コールは冷却状態に入った。
　僕は、そこに、小沢一郎の属性とも言うべき＜悲劇性＞を見て、
　大いに哀しんだ。

　その＜悲劇性＞を打ち返すには、＜東北復興ビジョン＞の早期提出しかない、
　と思ったのだが、
　今もって、小沢一郎から、そのような提言はされていない。

「時代が、小沢一郎を置き去りにしていくなあ…、」
　僕は、そう呟きながら、この数ヶ月を過ごした。


　最近の僕は、政治に関する情報収集もしないし、
　ネットの政治文章もまったく読まないので、
　これは、僕の日記への読者の反応の変化を見た勘だけで言うのだが、
　今、相変わらずの「小沢待望論」を熱っぽく語っているのは、
　「小沢信者」と僕が呼ぶ類の人間たちばかりではないのだろうか？
　少し見識のある「小沢支持者」は、
　ただ黙って、時代の推移を、少し哀しそうな視線で見つめているのではないのか？

　こう書くと叱られるかもしれないが、
　小沢支持者たちのこの沈黙は、やがて、諦めに変わり、さらに、＜無感動＞となり、
　多くは、小沢一郎への熱を失っていくだろう。
　最近、そんな気がしてならない。
　野党自民党が、内閣不信任案を出しても、
　仮にそれが可決されても、
　小沢一郎の再登板を促す熱にはならないのではないのか？　

　僕には、
　＜平成の象徴的存在＞である小沢一郎への冷（さ）めっぷりこそが、
　平成大衆の＜無感動＞の象徴のように思えてならない。

　しかも、
　これは、
　神戸の大震災の後に見た光景と寸分違（たが）わぬ光景なので、
　僕たちロートルは、その行く末を容易に予測することができ、
　やがて訪れるであろう「無感動の世界」の光景を想像し、
　この国家への落胆を、深くする。

　僕は、
　たとえ、平成大衆のほとんどが小沢一郎を忘却していっても、
　自分独りだけは、小沢一郎を見つめ続けたい、と決心しているので、
　小沢一郎は、＜平成の象徴的存在＞であり続けることができるのだろうか？
　あり続けてくれよ、
　と、そればかりを考える。

　だから、僕は、
　大震災から３ヶ月近くなる今日の今日でも、
　小沢一郎に、
「くだらない倒閣運動なんかやっている暇があったら、
　１０行２０行でもいいから、＜東北復興ビジョン＞を書いてくれよ」
　と叫びたくなる気持ちを、
　抑えきれなくなって、
　一向に出そうとしない今の彼の怠慢に、もって行き場のない落胆を覚え、　
　今夜も、浅草のだらしなく酒に酔うのだ。

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小沢一郎支持者にとってのネット世界とは

2011年05月14日 22時16分33秒 | 01 小沢一郎篇

　夕方から通り雨が走り始める中、
　上野から青い駒形橋の中央まで歩き、
　しばらく川を眺めた。

　雨に打たれた隅田川は、暗く汚れて、
　どこか淋しそうだった。

　何故か、
　不意に、
　数日前の読売新聞の小さな囲み記事を思い出した。

　そこには、
　民主党会派から離脱した１６人の八方ふさがりの近況が書かれていて、
　僕は、
　その囲み記事を読みながら、
　＜時代＞が小沢一郎と距離を置き始めていくのを感じたのだった。


　あまりしつこくは書きたくないが、
　政治現況を冷静に見つめた場合、
　菅内閣は、中部電力に浜岡原発の完全停止を要請して、それを実現させた。　
　少なくとも、この一点において、菅内閣は＜何ごとか＞をしたのであって、
　反菅グループが、自分たちのビジョンを提示しないままに倒閣へと動くことは、
　平成大衆からの支持を得られないだろう、
　という気がする。

　また、
　民主党・政府が提出するはずの「東日本大震災復興特別措置法案」（仮称）の要綱も、
　国民の前に輪郭を見せ始めている。
　たとえ、
　それが、復興理念を持たない継ぎ接ぎだらけの中途半端な代物であっても、
　出さない側よりも、出した側が評価されるのは当たり前の話だから、
　何も出さない反菅グループは、平成大衆の支持を得られないはずだ。

　先日も、T君が電話をしてきて、
「おい。
　小沢一郎は、もう、駄目になるんじゃないのか？」
「どうして？」
「また水谷建設の元社長の証言が出たぞ」
「そうか」


　小沢一郎は、しんどい場所に追い詰められつつあるな、
　という気がする。


　よく、
　小沢一郎を葬ろうする勢力の筆頭に、米国政府をあげて、
　対米関係の中での小沢一郎抹殺陰謀説を強調する人がいるが、
　僕は、
　その意見は、責任転嫁の典型のように思えてならない。

　たしかに、
　米国政府にとって、小沢一郎は邪魔っけな存在であるだろう。
　小沢一郎に日本の政治を委ねるなんぞ、どうしても避けたいに違いない。
　そのために、日本政府や高級官僚あるいは財界人マスコミに、
　小沢排除の示唆を見せることもあるだろう。

　しかし、
　たとえ米国政府がどんな示唆をしようとも、
　それを受け、それを諾とするかしないかは、
　日本大衆の総意に左右されるはずである。

　だから、
　僕には、
　小沢排除陰謀説で、すべてを米国政府のせいにして、
　対米関係の中での構図を強調する論法は、
　あまりにも短絡的すぎる思考法のように思えてならない。

　考察するのならば、
　そうした米国政府の要請を諾としてしまう平成大衆の意識、
　もっと言うなら、
　米国政府の意を受けた日本マスコミの垂れ流す情報にたやすく追随する、
　＜日本的なるもの＞の本質、
　について考察し、
　それについて言及していくべきなのだ。

　しかし、
　ネット世界も含め、小沢支持者や小沢支持の文筆業者たちは、
　誰一人、そういう部分について言及しようとせず、
　政局解説や政争与太話にうつつを抜かしている。

　そうした知的作業は、
　自己研鑽と知的鍛錬が求められるから、
　時間と労力を食うものだが、
　それをやらずして小沢一郎事件の本質を見極めることは、絶対に不可能だ。
　その関門を潜り抜けない限り、
　社会に向けて小沢一郎の価値を訴えても、
　小沢一郎に懐疑的な平成大衆から十全な賛意を得ることは出来ない。

　何故、平成大衆は、
　だらしなく続く時代の風化に異議申し立てをしないのだろう？
　何故、平成大衆は、
　政治システムの改革に強い関心を持つことが出来ないのだろう？
　何故、平成大衆は、
　小沢一郎よりも菅直人をこの国の政治指導者として評価したのだろうか？
　何故、平成大衆は、
　小沢一郎を政治の表舞台に立てるなと要請する米国やマスコミの見解を、
　疑念なく受け入れるのだろうか？

　そういった小さな疑問に、一つ一つ自分なりの回答を出す作業を繰り返し、
　それが平成大衆に浸透した時に初めて、
　小沢一郎の真価が社会に定着するのだ。

　小沢一郎支持者にとって、ネット世界とは、
　そんな小さな作業結果を披露するのにもっとも相応しい場所ではなかったのか。
　マスコミの呪縛から自由なネット世界を経路として、
　一般社会への新しい見解伝達手段を獲得出来る可能性を持っていたのではないのか。
　
　それなのに、
　いま現在、
　その貴重な場所を使って彼や彼女たちが披露しているのは、
　安直を絵に描いたような政局解説や政争与太話ばかりだ。


　僕には、
　小沢一郎支持者たちの知的怠慢が、
　歯がゆくてたまらない。

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久しぶりのリョウさんへ

2011年05月12日 04時44分31秒 | 01 小沢一郎篇

　「リョウ」さんというまったく見知らぬお方が、
　失礼極まりないことを書いて寄越していた。

　なんと、
　言うに事欠いて、
　僕のここ数週間の日記文を、
「創作ではないのか？」
　と疑っていた。
　なんて失礼な人でしょう。
　３９歳の女よりも、５８歳の初老男性が魅力的であることが、この世にはある、
　という事実を、
　この人は知らないらしい。

　まあ、少し話してあげるとですねえ、

　先日、昼下がり、
　＜小悪魔＞と吾妻橋を歩いている時に＜４２歳＞から電話があって、
　「ヒト騒動」が起きた後、
　僕は、＜４２歳＞との電話交信を禁止されて、
　その後、一回も、＜４２歳＞と電話交信が一切できなくなった。
　今夜、久しぶりに電話して話したのだが、
「私、気を遣っているんだよ。
　私の方からは、絶対に電話しないから、
　声を聞きたい時は、そっちから電話して」

　なんて、優しい心配りでしょう。

　リョウさん。
　僕はネ、
　本当は、
　とってももてるんだぞ。
　と言っても、
　リョウさんに男女の情愛は理解できないか。

　　　　選んだ相手が世川さんじゃあなくてこの私だったら

　などとのたまっているが、
　あのね、
　リョウさん。
　この時期、あの女に、相手は僕でなくちゃいけなかったの！
　あなたは、「抱き逃げ」しかできなかったの！

　踏みとどまった世川行介の素晴らしさよ。

　なんてね。


　まあ、
　少し本音を言うと、
　僕は、＜小悪魔＞の心に＜何か＞をわずかでも残せればいい、
　と思っているだけで、
　あの女と何時までも続くなんて思っていないから、
　どんなからかいを言われてもいいのだけど…。

　僕としては、
　一連の＜小悪魔＞ネタでは、
　たとえ瞬間であっても、自分の存在をかけて女に接した、
　という事実を語りたかっただけのことであります。


　女の話はさておき、
　リョウさんは、明後日から、また東京からいなくって、
　音信不通になるらしいので、
　きちんと書いておくと、


　リョウさん。

　別に、
　小沢一郎は、東北に引っ込まなくてもいいの。
　何処にいたっていいの。

　だけど、
　心の置き場所を東北地方にして、　
「いま、東北こそが日本の要である」
　という意識に立って、
　東北の今後１０年を論じることが日本を論じることなのだ、
　という基本姿勢の＜東北復興ビジョン＞を、
　他の誰でもない、
　小沢一郎という、
　僕たちがこれまで高く評価してきた政治家に書いてもらいたい、
　と願ったとして、
　それの、何処が悪いのだ？
　熱烈な「小沢支持者」としては、当たり前の心情ではないのか？

　僕が失望したのは、
　小沢一郎が、菅政権を批判はするのものの、
　自らの＜復興ビジョン＞を出さずじまいで済ませようとしているその姿勢だった。
「何故、あなたは書かないのだ。
　あなたなら、早い時期に、それが書けるだろう。
　それをやらなきゃ、何も始まらないじゃないか」
　と、僕は、彼の怠慢を嘆いた。

　その悲嘆は、
　きっと、僕だけの悲嘆ではなく、
　小沢一郎を高く評価してきた多くの人々が思ったのと一緒のはずだ、
　と僕は確信している。

　リョウさん。
　何故、
　あの小沢一郎が、
　あの、名著『日本改造計画』を書いた小沢一郎が、
　二ヶ月もの時間を与えられながら、
　たった一行の＜東北復興ビジョン＞も書けなかったのだ？
　
　その知的怠慢に、文句の一つくらい言ったっていいだろう。


　しかし、
　小沢一郎支持者が歯がゆい思いをしているその一方で、
　「小沢一郎信者」と言って差し支えない一群も存在する。

　先日、
　「ナイショ話通信」を、間違えて送信した人から、
　こんな返信があった。


　　　　　　　小沢一郎さんは、長年に渡り政権交代を実現した、
　　　　　　　坂本龍馬より遥かに超える歴史に残る偉大なる人物です。

　　　　　　　貴方のように、
　　　　　　　至極簡単にその偉人を評価すること、切って捨てることは、
　　　　　　　どんなに貴方は偉い方かも知れませんが、
　　　　　　　誰も許されることではありません。


　手違いで、誤送した相手ではあったが、
　その返信を読んだ時、
　僕は、泣きたい思いになった。

　みんな、いつまで、こんなしょうもない戦略の中を生きるのだ？
　時節の急変も何も無視して、
　それで、
　刑事被告人になった小沢一郎を救済できるのか。
　何故、
　たとえば、三上治さんのように、
　「政治とカネ」という論理自体が無効である、
　といった論理の構築に全力を挙げることもせず、
　「神話」に胡坐を書いて、のほほんとしていられるのか。
　何故、あなた方は、
　知的努力を放棄して威張っているのか。

　そんなことを、沢山、思った。


　リョウさん。

　あなたにはわかってもらおうとは思わないが、
　僕のところには、
　毎日のように、２本か３本の電話が来る。
　毎日のように、だ。

　その電話は、
　どれも、
「もう連休も終わりましたよ。
　いつ、１万人集会をやるんですか？　日程を教えてください」
　というものだ。


　リョウさん。

　それに答える時の，僕の苦衷が、想像できるか？

　僕は、
　この、小沢一郎の政治舞台への登板に、一縷の望みを懸けている人たちの、　
　必死さが、痛いほどわかる。
　それは、僕の姿でもあるからだ。

　僕は、彼らに、

「いまは、あまりにも情況が悪すぎます。
　小沢一郎が＜東北復興ビジョン＞を提示するまでは、動きようがありません。
　国民の支持が得られません。
　しかし、
　小沢一郎という政治家は、必ずそれを僕たちに見せてくれるはずです。
　彼はきっとやるでしょう。
　その時が、僕たちの戦いの勝負目です。
　あなたの急（せ）く気持ちはわかりますが、
　その時まで、待ってください。
　僕たちは、必ず、１万人集会はやってみせますから」

　それだけを言い続けている。


　リョウさん。

　毎日、
　見も知らぬ人たちに、こう語り続けている僕の胸中が、
　あなたに想像できるか？


　少しでもわかってもらえると、
　僕は、嬉しい。

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動くな

2011年05月04日 17時48分52秒 | 01 小沢一郎篇

　４日間も日記を書かなかったから、
　今日は、４日分の報告をいくつか書くことにする。

　毎年、悲しいまでに貧しい大形連休ばかりだったが、
　それでも、今年は、
　何とか、つつがなく連休を終えることができそうだ。
　何人かの＜未知の読者＞からの購読料送金のおかげだ。
　ありがとう。
　あと二日。世川行介、頑張りま〜す。


　数日前、Ｔ君が電話をくれて、
「おい。朝日新聞で、
　小沢一郎と鳩山由紀夫が会って、
　鳩山が、小沢派の倒閣運動は国民の支持が得られないから、自粛してくれ、
　って要請したらしいぞ」
　そんなことを言っていた。

　この騒動を契機に、小沢一郎が一層孤立していくような、
　そんな気がしてならない。


　僕は、最近、
　１万人集会事務局にかかってくる電話に、
「情況を見届けないと動けませんよ。
　今の情況で、１万人が集まったところで、何の効果があるんですか？」
　と言い続けている。

　こんなことを言ったら叱られるかもしれないが、
　小沢派議員たちも、二見さんも、ネットの小沢信者たちも、
　小沢支持者の誰も彼もが状況判断を誤った、と僕は思っている。
　喧嘩師武田信玄が、
「動かざること山の如し」
　と教えているのに、
　教えを遵守することができない。


　僕は、何度でも何十度でも書き続けるが、
　小沢一郎とそのグループが、＜東北復興ビジョン＞を提示しない限り、
　平成大衆の多くは、小沢一郎の存在意義に拍手しない。
　すべては、そこからしか始まらない。
　それ以外のすべての行動は、無効だ。
　あの聡明な小沢一郎が、何故それに気づかないのか、
　僕には、不思議でたまらない。

　みんな、知恵を絞り出すのを嫌がる、「怠惰な時代」に入ったのだ。
　手っ取り早い行動と大言壮語ばかりが横行している。


　僕の死んだ父親は、大正生まれの偏屈男だったが、
　僕に「人としての基本姿勢」をあれこれと教えてくれて、
　それが現在の僕の血肉となっているのだが、
　その父親が残した言葉の一つに、
「お前一人くらいは、正論を吐き続けろ」
　というのがあった。

「人というものは、大勢が一方に向かうと、
　その流れに異議申し立てをせず、すべてを曖昧にして、流れに乗ろうとするものだ。
　しかし、この世には、正論が必要だ。
　たった一人でも、正論を言い続ける人間がいないといけない。
　お前。そんな男になれ。
　どんなにみんなに煙たがられても、正論を吐き続ける男になれ」

　これを聞かされたのは、２９歳で特定局長に就任した時だったが、
　あれから３０年。
　結構、父親の教えを守って生きて来た。
　ただ、実生活でこれを生きるのは、不利益ばかり蒙って、つらかったが……。

　僕だって、馬鹿ではないから、
　ネット世界で、小沢一郎支持者たちの動きを１００％賛同する文章を書き続ければ、
　小沢支持者たちから、あいつはいい奴だ、と言われるのはわかっている。
　しかし、父の教えに従うなら、それは出来ない。
　小沢支持者たちからは、
「何で身内を批判するんだ」
　と顰蹙（ひんしゅく）を買うかもしれないが、
　相手が誰であろうと、駄目なものは駄目なのだ。


　小沢一郎たちの倒閣運動は、
　おそらく陽の目を見ないだろう。
　失敗し、小沢派は、与党内野党の場所に追い込まれ、
　櫛の歯が抜けるように、一人、二人、と、
　根性のない議員たちが、小沢派から脱退していくことだろう。

　今回の倒閣運動は、
　これまで小沢一郎がやった政治行動の中で、一番最低の行動だった。
　情況を読み間違って、無理やり政局を作ろうとしたした、
　稚拙この上ない行動だった。
　敬愛する二見さんでさえ、完全に読み違えていた。
　たった１０００人程度のデモをやって、何の効果を期待したのだろう？

　情況を正確に判断して、小沢一郎に進言できる軍師は、
　小沢派と呼ばれる国会議員たちの中に、もう、まったくいなくなったのだろうか？

　僕たちは、
　小沢一郎という政治家の卓越した政治能力を高く評価して、
　風化の一途をたどるこの国の再生には彼しか人材がいない、
　と期待してきた。
　しかし、
　いま、彼とそのグループの議員たちがやろうとしているのは、
　ただの「政局作り」だけだ。
　いったい、そんな愚行に、何の意味があるのだ？
　そして、
　そんな愚行まで１００％支持する小沢信者とは、何者なのだ？
　何故、
「いくら小沢さんのやることでも、今回のその手法は間違っているよ」
　と、発言しないのだ？

　僕は、ある時期から、人生というものを焦ったことがないから、
　この人たちの焦りから来る短絡的な行動様式が、不思議でならない。
「急ぐな！」
「今は動くな！」
　と、怒鳴ってやりたい衝動に襲われるが、
　他人のすることなので、仕方がないから、見つめているだけだ。
　ただ、
　すこぶる不快ではある。


　１万人集会事務局に電話をかけてくれる人たちの心情は、察して余りあるものがあるが、
　しかし、
　今の状態で人を大勢集めて、それで何をするのか？
　人も集団も、そんな愚かな気休めをやって、自己満足にひたってはいけない。
　動いてはいけない時は、死んでも動いてはいけない。

　そういう基本姿勢の中で、
　僕は、小沢一郎の行動を見つめ続けている。

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水谷建設元社長の公判証言からの雑感

2011年04月29日 23時23分48秒 | 01 小沢一郎篇

　公判で、水谷建設の元社長の証言が出て、
　倒閣運動に動き始めていた小沢派議員たちの足は止まり、
　小沢支持者たちは思わず肩をすぼめたみたいだ。
　今夜、Ｔ君から電話があって、
「お前。
　いくら、小沢論を書いたって、
　小沢支持者は、みんなシュンとなっているから、購読料なんか送られやしないよ。
　もう、小沢論なんか書くのをやめておけ」
　と忠告を受けた。
　しかし――。


　この証言内容については、
　ここには書かないが、僕は自分の見解を持っているので、
　どうでもいい、と思っているが、

　今回、検察がこのタイミングでこの証言を出したことについて、
　小沢派国会議員や小沢支持者たちに対しては、
「何を、こんなことくらいでシュンとなるんだ。
　君たちは、
　検察（＝高級官僚群）が、
　これくらいのことは平然とやってみせることを考慮に入れなかったのか。
　こんな事態も想定できないような戦略を立ててきた自分たちの不明を恥じろ」
　と言いたい。
　

　今は、もう、一歩引いて書く必要はなくなったから、
　思いのままを書くが、
　僕は、そこいらの「小沢信者」たちよりも数段の激しさで、
　「小沢一郎による政治」を希求してきた男だ。
　一度でいいから、小沢一郎にこの国の政治の舵取りをさせてみたい、
　と希求してきた男だ。

　しかし、
　そこいらの阿呆な「小沢信者」たちの、
　情況も国民意識も論理も度外視した、心情一本の乱暴な「小沢待望論」など、
　あまりにも稚拙で、
　こいつらとは一緒にはやれないよ、
　と思ってきたから、
　自分でやれないことは他人に求めるな、という教えに従って、
　「自分たちの手で情況を作り上げる作業」に専念してきた。
　小沢論も、『〜泣かない』も。国民会議も、１万人集会も、
　すべて、その一環だった。

　３・１１がなければ、その小さな作業を充実させることで、
　どこかに展望は開けたかもしれない。
　しかし、３・１１が発生し、＜時代＞は小沢一郎の前を素通りしたため、
　僕たち熱烈な小沢一郎支持者には、新しい戦略が求められ事態になった。


　僕が、３・１１を契機に考えたのは、
　何度でも何十度でも書くが、
　「小沢一郎の手による＜東北復興ビジョン＞の発表」の必要性だった。
　これがない限り、小沢一郎は政治の表舞台に復帰できない、
　と思った。

　しかし、
　逆に言えば、
　これさえあれば、
　言いがかりみたいな刑事被告人にされようとも、
　国民が、わけても被災地東北の人々が、
　そのビジョンを提示した小沢一郎による復興推進を激しく求めることになるだろう、
　と思った。

　僕の頭の中では、
　それしか、小沢一郎が＜時代＞を奪回できる手段はない、という気がしている。
　それがない限り、
　どんな倒閣運動を繰り広げても、必ず敗れるだろう、と思う。

　たまにテレビのニュースを覗くと、
　小沢一郎に案外好意的だった赤松何がしや、
　国民新党の亀井静香までもが、
　倒閣運動に否定的な意見を述べていた。

　当たり前だな、と思った。


　何も、
　『日本改造計画』のような、立派な本にする必要など、ないのだ。
　粗末な紙に走り書きでいい。
　そこに、
　３・１１を契機として変容を余儀なくされた日本という国、
　あるいは東北という地方、
　に対する、中期的なビジョン（＝政策）が書かれていれば、
　それだけでいいのだ。


　３・１１以降を見ていると、
　結局、高級官僚作成の場当たり的な復興策が、
　国会で承認され、
　実行に移され始めている。
　そこには、中期的なビジョンなど、かけらもなく、
　腕を斬られたら血をぬぐい、腹を刺された腹を縫う、といった応急処置策でしかない。

　今は、まだ、それでいい。
　しかし、応急処置策が無数に積み重ねられていったら、
　根源的な復興ビジョンも出る幕がなくなってくるのも、また事実だ。
　そして、
　それこそが、高級官僚たちの願うところであるのかもしれない。

　だから、
　つまらない倒閣運動などはいい加減にして、
　一日でも早く、
「さすが小沢一郎」
　と、誰もが唸るような、
　理念と政策が一致した＜復興ビジョン＞を提出すべきなのだ。
　それが、９３年以降、
「政策政党を！」
　と叫び続けてきた小沢一郎が果たさなければならない、一番の責務ではないのか。


　この日記に、同じようなことを何度も書くのは、僕の本意ではないが、
　しかし、
　先日、研一郎ちゃんから送られてきた、
　以前、僕を、小泉純一郎のスパイだなどと阿呆を書いていた、
　山崎何がしとかいう、「小沢一郎議員を支援する会」の世話人だった人物の、
　三上治さんやＳさん（僕は姓名を知っているが、あえて書かない）を攻撃した、
　「これが真相です」、」「Ａ世話人」、なんていう馬鹿文章を流し読みして、
　こういう輩がネット世界に跋扈している限りは、
　そうしたことについては、何度でも何十度でも、
　声を嗄らしてでも言い続けなければならない、
　と思うに至り、
　今夜も、また書いた。

　こんな、学校を出てから勉強など一回もしたことのないような、
　山崎何がしとか、大島楯臣とかいった、「知的怠け者」たちが、
　小沢支持者群の代表格みたいにのさばっている間は、
　「小沢総理」など、絶対に誕生ないだろう。

　大言壮語ばかり吐かずに、
　もっと自己研鑽してから発言しろ。
　汚らしいネット世界の暗闇では通用しても、
　この国の大衆は、そんな大言壮語にうなずくほどの馬鹿ではない。
　
　
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もっと地道な＜知的作業＞を

2011年04月24日 21時55分33秒 | 01 小沢一郎篇

　脂汗が引かず、微熱が続くので、今日は一日寝て過ごした。
　十数年ぶりに日本国籍（？）を得て、投票用紙をもらい、
　今日は必ず投票に行きますからと、送ってくれた山村さんに約束していたが、
　無理だった。

　体調が悪いので、５時半から大好きな『笑点』を見ても、あまり笑えず、
　笑いも気分に左右されるものなのだと知った。
　６時過ぎからウツラウツラし、８時前に眼が覚めたが、どうも、身体がだるい。
　微熱も治まらず、何かを書くのも億劫な気になって仕方がない。
　が、
　昨日、「瀧夜叉」さんが、
　小沢一郎に関する僕の見解が自分に合う、と書いてくれていたので、
　彼女に応える意味から、
　統一地方選後半戦の投票終了の時点で何か書いておくことは大切だ、と思い、
　少し書くことにした。


　今日の地方選の結果を得て、
　小沢派議員たちによる「打倒菅内閣！」の動きが活発化するらしい、
　と、読売新聞にも、ネットニュースにも書かれていた。
　僕は、政局とは距離を置いた生き方を自分に課してきたので、
　政局のいちいちについて言及する気はまったくないが、
　この倒閣運動だけは、
　成功するにせよしないにせよ、
　少し苦々しく眺めている。
　本会議で、小沢派議員の何人かが、投票を欠席したり、反対に回ったりしているが、
　僕は、その闘争手法に、大きな疑問を感じている。


　大震災から、今日で１ヵ月半ほど経った。
　僕たちの眼にも、その間の中央政府の対応は、まずい、と映った。
　それは確かだ。
　しかし、だからといって、
　政府の不手際を「不手際だ！」という点からだけで責め殺す手法は、
　この未曾有の大惨事の渦中では、大衆に通用する手法ではないのではないか？
　という思いをもってきた。

　僕は、一貫して、
　今回の大震災と原発事故は、過去の経験則では推し測れない事態だから、
　小沢一郎とか菅直人とか前原誠司とかいったことはまったく関係なく、
　政治の主導権を握りたいと願う政治家は、すべからく、
　早急に、具体的かつ創造的な＜東北復興ビジョン＞を国民に提示し、
　そのビジョンの優劣によって国民からの支持を競うべきであって、
　それ以外には、大衆の、特に東北地方の人たちの支持を得ることはできない。
　と主張してきた。

　そんな意見は僕ばかりではなく、
　今日のネットニュースでは、連合の会長か何かも、
　＜復興ビジョン＞の提出を求める発言をしていた。

　そういう観点からこの一ヵ月半を眺めてきた僕にとって、
　ここ一ヵ月半の小沢派議員たちの闘争姿勢は、
　「時代認識の錯誤も甚だしいものだ」、としか見えない。
　それは、小沢一郎を好きだとか嫌いだとかといった次元とは、全く別の話だ。


　僕は、
　心ひそかに、
　小沢一郎が、走り書きでもいいから、
　彼ならではの、創造的な＜東北復興ビジョン＞を公表することを、
　何故か信じてきた人間だった。
　彼なら、きっと、そうしたビジョンを、東北の人たちに、国民に、明示するだろう。
　現在のこの日本において、彼だけが、それをできる政治家だ。
　そう信じて、この一ヵ月半を待ってきた。

　僕は僕の直感である、
　＜時代＞は、３月１１日に、小沢一郎の眼の前を、無慈悲に素通りしていった、
　という思いを、確信のように信じてきて、
　小沢一郎がもう一度＜時代＞を取り戻すためにどうあるべきか、
　ということだけを考えて、この一ヵ月半を過ごしてきた。
　その道は困難ではあるが、その困難を克服しない限り、
　小沢一郎が＜時代＞を奪回することはむつかしい、
　と思ってきた。

　そして、僕の得た結論は、
　そのためには、
　どうしても、彼の手による明確な＜東北復興ビジョン＞を提出しなくてはならない、
　という一点だった。

　その内容は、
　官僚作成の＜東北復興ビジョン＞とは次元を異にしたものではなくてはならず、
　例えば、
　東北地方における原発を、今後、全部廃炉とするのかしないのか、
　廃炉とした場合、それを補う火力発電所を、どこに設置し、経済振興とつなぐのか、
　また例えば、
　放射能汚染の不安から生じた東北地方太平洋岸の漁業の困難を補うために、
　政府が目指してきた観光立国日本の進路と東北復興策を、どう密着させていくか。
　そんなことを、
　具体的に、また１０年２０年の長期的照準で、明示すべきだ、と思った。

　そのような優れた＜東北復興ビジョン＞を提出して初めて、小沢一郎は、
　凡百の陣笠政治家とは違った特異性を国民に見せつけることができ、
「やっぱり小沢一郎しかいないな」
「この国の将来は、小沢一郎にゆだねるべきだな」
　という思いを、多くの国民に抱かせることができるのだ、
　と思ってきた。

　仮に、
　多忙を極める小沢一郎に書く暇がなかったら、　
　小沢一郎の政治理念を継承する小沢派議員たちが総出で、
　知恵のありったけを出し合って、小沢一郎の名で公表したっていいのだ、
　と思ってきた。

　例えば、
　小沢派には、中塚一宏という優れた政策通政治家がいる。
　僕は、彼の優秀さを高く評価してきた一人だが、
　そうした優秀な人材を多くかかえながら、
　彼らの頭脳を集結させて、やれば可能であったにもかかわらず、
　何故、大勢の小沢派議員たちは、
　この一ヵ月半の間に、
　具体的な＜東北復興ビジョン＞を書き上げる努力を捨てて、
　昔ながらの単純な政争に向かったのか。

　遠慮を捨てて言わせてもらうと、
　僕の期待する地道な知的作業を、この一ヵ月半、誰もしなかった。
　政府案に反対や異議を申し立てるのは一向に構わないが、
　しかし、そうした時には、自分たちの「包括的ビジョン」を出すべきであって、
　それ無しの、その都度その都度の「不手際だから反対」という「反対のための反対」は、
　自民党政権時代の万年野党の反対姿勢そのものだとしか言いようがない。
　そんな「政争のための反対」を、
　こともあろうに、小沢派議員たちが率先して行なうその姿勢に、
　僕は、うそ寒いものを感じた。

　僕は、小沢一郎について書いてきた男として、声を大にして言わせてもらうが、
　小沢一郎とその仲間たちが一番の優れた点は、
　「小沢自由党」によって、
　この国に、初めて、＜政策政党＞を立ち上げたことだった。
「古ぼけた理念政党ではなく、政策政党を！」
　と訴えた小沢一郎の主張に感動したから、
　僕たちは孤独な小沢一郎を強く支持してきたはずだ。

　なのに、
　今、一番政策（復興ビジョン）が問われなければならないこの時期に、
　具体的な＜復興ビジョン＞を出さずに政局作りに奔走する小沢派議員たちの姿は、
　そうした僕たちの期待や＜時代の要請＞を踏みにじるものでしかない。
　そんな稚拙な闘争で、＜時代＞は、棄てた小沢一郎をもう一度振り返るのか？
　これまで、＜時代＞は、小沢一郎を優しく扱っててきたわけではないだろう。

　彼らは、何故、こんな単純な事実に気づかないのか。
　僕には、それが、不思議でならない。


　今、１０時だ。
　ＮＨＫの選挙速報を覗いたが、まだ、大勢は見えていない。
　どんな結果になるのか、僕にはわからないが、
　どちらに転んでも、それなりの政争は起こるだろう。
　僕は、
　それらについて、距離を置いて見つめていきたい、
　と考えている。

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雑談４時間

2011年04月15日 17時16分46秒 | 01 小沢一郎篇

　昨夕、
　「減税日本」の愛知県議選の応援に帰国していたMさんが、会おう、と言ってきて、
　また、T君も、会おう、と言うので、
　３人で、居酒屋に行った。

　Mさんは、米国在住。
　T君は、元証券アナリスト。
　なかなか面白い話を聞かせてもらった。

「世川さん。
　国民会議って、どうしてああなったんですか？」
　Mさんが訊いた。
「あまりしゃべったことはないけど、
　一等最初に一緒にやってきたあなたなら、話してもいいか」
　と、
　僕は、本当の理由を言った。
「本当に、そんなことが発端だったの？
　みみっちい話。
　いかにも日本人だなあ」
　Mさんが笑った。
「あのね、Tさん。
　何かをやるのにはお金がかかるんですよ。
　みんな、ボランティアで何かがやれる、と思っている。
　大間違いですよ。
　私はね、名古屋の河村支援の運動で、１０００万円ほど資財を使いましたよ」
　T君は黙って聞いていた。

「４・１６デモ、どうします？」
　僕はMさんに訊いた。
「二見さんが主催者なら、行ってあげないとね…」
　そう言いかけたMさんに、T君が口をはさんだ。
「デモのテーマはなに？」
「脱原発と菅内閣打倒」
　僕がそう答えると、
「お前たちは馬鹿か！
　そんなデモなんか絶対出るな！」
　いつもは温厚なT君が、珍しく激昂して叫んだ。
「あのな。
　脱原発のデモをやるのはいい。
　菅内閣打倒のデモもいい。
　単独のデモをやるなら、いくらやってもいい。
　だけど、脱原発と菅内閣打倒を並列でやったら、
　経済界から総スカンを食うぞ。
　なんでそんな簡単なことがわからないんだ。
　経済界を敵に回して、小沢総理もへったくれもあるか。馬鹿じゃないか」

「私、米国から、今度の震災を見ていたでしょう。
　一つ笑ったのは、
　震災でも原発事故でも、日本人は全然乱れなかったって自慢しているでしょう。
　あれ、大間違い。
　外国人はね、あの日本人の姿を見て、
「日本人って、あそこまで去勢されているのか。
　ものの見事に去勢された国民だな。あの国は、もう駄目だぞ」
　って笑っているんですよ。
　それなのに、日本人は、自分たちのそんな姿が優れているかのように錯覚してる。
　原発情報でも、
　米国では、事故の直後から、みんな、とてつもない大事故だって言っていた。
　それなのに、日本人は、政府や東電の報道を鵜呑みにして、高をくくっている。
　日本人って、本当は馬鹿じゃないのかって米国人は言ってましたよ」

　僕もT君も、そうだろうな、と頷いた。


　それから、
　僕たちは、日本のこれからについて、それぞれの考えを述べあった。
「結局、日本の立て直しをやれるの小沢一郎しかいないんだけど、
　今までみたいな政争を繰り返したって、国民の反発を食らうだけだぜ。
　菅が悪いって言ったって、
　それって、菅の政策についてではなく、
　この一ヶ月の原発処理の手際が悪いって事だけだろう？
　誰がやっても似たりよったリだから、そんなの許容範囲だと国民は思っているよ」
　T君は、そう言った。
「そうなんです。
　そんな話じゃないんですよ。
　小沢一郎がどうとかこうとかといった次元から違う次元に世の中が行ったような気がする」
　Mさんが応じた。
「復興案の提示が必要じゃないだろうか？」
　僕は、ここ最近の持論を述べた。
「東北復興の中期的ビジョンと、原発行政の将来についての具体的なビジョンを、
　小沢一郎が提示して、それを基に政策で戦う姿勢を見せ、
　国民に、小沢一郎のビジョンの是非を問う戦い以外、
　一旦、小沢一郎の前を素通りした＜時代＞を、取もどす方法はない、と思っている」
「そうだ」
　T君が賛同の声をあげて、言葉を続けた。
「しかも、一日も早く出すことが大事なんだ。一ヶ月以内くらいにな。
　そうしないと、小沢一郎は＜時代＞から取り残されて、忘れられる」
「それしかないですよね」
　Mさんも、同意した。


「おい。
　世川。
　お前、日記に、そのことをしつこく書け。
　小沢一郎に聞こえるように、
　一日も早く、具体的な復興ビジョンを提出しろ、って書け」
　T君が、威張って命令するので、
　こうやって、小沢支持者の反発をも覚悟で書いている僕である。
　
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島根県生。大和証券勤務後、特定郵便局長に。43歳で上京。５年間の歌舞伎町暮しの後、各地を放浪、現在に至る。 著書、『歌舞伎町ドリーム』、『郵政　何が問われたか』、『地デジ利権』
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