この日記の、小沢一郎に好意を抱いてきたな５０代、６０代の＜未知の読者＞に語りかけたい。
かつて、小沢一郎は、「砕氷船」だった。
「この国に真の民主主義を！」、「そのために、二大政党制の定着を！」
といった政治改革の＜夢＞を訴え、
その＜夢＞の成就のために、
大勢の守旧派から、憎悪され、罵詈雑言を浴び、排除の槍に突き刺されながらも、
分厚い氷の壁を突き破ろうと、
全身を刀傷だらけにしながら、泣き顔一つ見せず、無愛想な顔で、氷壁を砕き続けた。
僕たち戦後昭和世代は、
その小沢一郎の姿に、
若い日、体制の壁を破ろうとあがいた自分自身の記憶を重ね合わせ、
自分たちがやり遂げられなかった困難を克服しようとする小沢一郎の姿に、
感動し、共鳴し、
小沢一郎に無言の声援を送り続けた。
それが、若い日、程度の差はあったが、左側に身を置き、
東西冷戦構造崩壊の真の意味を理解した者たちの２０年だった。
だから、戦後昭和世代にとっては、
小沢一郎は、＜もう一人の自分＞だった。
話は脇道にそれるが、
先日、文章を読むことを知らない人物が、
得意そうに、「矛盾」なんてタイトルまでつけて、たわ言を書いてきていた。
この人物は、
もう一人の自分、と表記する時、
もう一人の自分
「もう一人の自分」
＜もう一人の自分＞
の違いもわからないらしい。
ここは、「勉強を厭わない人」を対象に文章を書いている場所なので、
不勉強な人にもわかるような注釈をたんびたんびに施すような親切はしない。
わかりたかったら、本を読む勉強をしてくれ、としか言う言葉はない。
仮に、親切に、
＜もう一人の自分＞とは、相対化した自分のことだ、と書いたって、
この人物には、何のことかわかりゃしないだろう。
人の文章を読み解くのも、鍛錬なのだ。
そうかと思うと、今日は、タイトルも投稿者名も「Unknown」ってのがあって、
その人物が、書いてきた内容が、
私が小沢一郎という政治家にひかれるのは、「自己責任」という言葉を、
はっきりと使用する政治家だからです。
というものだった。
頼むから、「コメント」一つに、あなたの好きな「自己責任」とやらを見せてくれよ、と言いたかった。
ここの「コメント」欄は、どのような内容であれ、
タイトルも投稿者名も「Unknown」、なんて無責任なものは掲載しない。よく覚えておいて欲しい。
話を元に戻す。
つまり、
「東西冷戦構造崩壊」の真の意味に気づいていた僕たち戦後昭和世代にとって、
小沢一郎の２０年間の戦いは、＜もう一人の自分＞の戦いの軌跡でもあった。
が、
その一方で、
すでに論理的に破産しているのを知っていながら、
自分の怠惰から、自己変革をすることなく、
「左翼思想」を「市民主義」に衣替えだけ施して、済まし顔で世を渡ろうとした輩もいた。
その筆頭が、菅直人であり、仙谷由人であり、福島瑞穂であった。
僕たちは、菅直人たちは、滅びてしまったはずの「左翼思想」を利用しているだけの亡霊である、
という理由から、彼の一派を嫌悪し、
崩壊後の新しい政治理念を構築しようとする小沢一郎に声援を送ってきた、はずだ。
しかし、２年前に念願の政権交代を成し遂げたにもかかわらず、
政治改革の旗手であった小沢一郎は、
「あいつさえ潰せば、あとはどうにでもなる」
という敵方の適切な読みによる集中攻撃を受け、
不本意にも追いつめられていき、
敵方の読みどおりに、
前回の代表選、今回の代表選と、敗れ続けた。
仮に、
ここの日記の「コメント欄」にも、何人かの人が書いてきているとおり、
「代表戦では負けたが、戦略的には勝った」
などという見解が正しいとしたのなら、
それこそ、
小沢一郎が、もはや、「砕氷船」ではなくなったという証左ではないか。
「砕氷船」とは、分厚い氷の壁を、最初に突き破る船のことを言うのだ。
僕たちは、
そういう浅薄なとらえ方をしてはならない、と思う。
素直に、
かつて鋭かった小沢一郎のドリルが、今、鈍（にぶ）りつつある、と認めるべきなのだ。
そして、
それは、小沢一郎が鈍ったのではなく、彼の眼前の氷壁がより分厚くなったためである、
と理解すべきなのだ。
僕は、この数ヶ月の間に、
「小沢信者」たちの空元気とは裏腹に、
少し淋しげな眼を見せて、小沢一郎や平成政治から遠ざかっていく友人や読者を、
何人も見送った。
それは、何度見ても哀しい光景であった。
そうした事態を目の当たりにして、
僕たち５０代６０代の戦後昭和世代は、何をすべきか。
僕には、それが、いま一番の問題点なのだ、と思える。
すべき何かが見えない現状が、今一番の困難なのだ。
「小沢改革政権」の実現を、心底から願う人たちは、
政局与太話はもう控え気味にして、
真剣に考えるべきである。
御大将の小沢一郎にだけ戦わせて、あれこれ希望的観測を書きなぐっても、仕方がないだろう。
自分が何をやれるのか、それを考えなくては、いつまで経っても事態は打開できないだろう。
小沢一郎の「砕氷ドリル」が鈍ったなら、彼を補強する手を講じるのが、
そうした人たちの務めではないのか。
ここから先は、戦い、なのだ。
この戦いに負けたら、負けた側の理念は、全否定される。
戦後昭和を支えた僕たちの理念が全否定される。
だから、
戦うからには、勝たなければならない。
小沢一郎が政治現場で勝つとか勝たないとかに左右される戦いではなく、
たとえばネット世界で、
たとえば実社会で、
自分の周囲で、いかに勝利するかが求められているのだ。
僕は、僕自身の、戦後昭和世代の立場から、小沢一郎の戦いの勝利を願っている。
そのために、同世代の、同じ思考角度の人たちに、語り続けている。
同じように、
僕とは異なる立場の人は、その立場なりの言説と行動を、もっと公にすべきなのだ。
ＨＮでクタクタしゃべってみたって、埒はあきゃしない。
実名も出せないような人たちに、生き死にをかけた戦いが出来るとは、僕には思えない。
いま、その名を名乗って戦わずに、いつ名乗りをあげる気なのか。
もう一度、
小沢一郎を＜時代の砕氷船＞に戻す周囲の努力、
それが、いま求められているように、僕には思えてならない。
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