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東北新幹線が完全復活 運行本数、震災前の水準に

震災前の通常ダイヤに戻り、乗降客で混雑する東北新幹線のホーム=23日午後0時20分ごろ、JR仙台駅

東北観光の復興を目指し、東北新幹線の「完全復活」をPRするむすび丸=23日、JR仙台駅の新幹線中央口

 東北新幹線は23日、東日本大震災で被災した設備の復旧作業の終了に伴い、これまでの特別ダイヤから通常ダイヤに戻った。所要時間が短縮されたほか、運行本数も東京発着が6本増えて、震災前水準の173本に回復。東北と首都圏を結ぶ大動脈は、3月11日の運行停止から半年余りで完全に復活した。

 さいたま市から実家のある石巻市へ帰省する会社員早坂真澄さん(31)は「今までは本数が少なく、帰りたい時期に満席だったこともあった。ダイヤが元に戻り、帰りやすくなります」と話した。
 JR東日本によると、全面復旧に伴って増発されたのは、東京―仙台間が「はやて」5本、「やまびこ」1本。「はやて」に連結する「こまち」(東京―秋田間)も2本増えた。
 所要時間は、東京―新青森間の「はやぶさ」が上下とも3時間10分となり、これまでより20分短縮。「はやて」は東京―仙台間で下りが10分、上りが9分、「こまち」は東京―秋田間で下りが28分、上りが24分それぞれ短くなった。
 震災で東北新幹線は、電柱が傾くなど1750カ所に設備被害が出た。
 JR東日本は、4月29日に全線運転を再開させた後も、一部区間で減速運転しながら復旧作業を続けてきた。


<観光復興へ全速力 平泉と相乗効果期待>
 東北新幹線は23日、東日本大震災から半年余りを経て、ようやく通常ダイヤに戻った。時速300キロの国内最速走行を取り戻す作業は、架線を微妙な精度で調整するなどJRグループ挙げての挑戦となった。秋の観光シーズンに間に合った全面復旧。東北の関係者は「誘客の弾みになる」と観光復興の加速に大きな期待を寄せる。

 JR東日本仙台支社は「全面復旧は全国の鉄道会社の協力を得た結果。さらなる利用客の増加につなげたい」と強調する。
 東北新幹線は震災で設備が損傷し運転停止となった。4月7日の余震の被害も含め被災箇所は計1750カ所に及んだ。
 JR東日本は4月29日に全線での運転再開にこぎ着けたが、電柱の補強や建て替えなどが必要な区間では時速210キロに速度を抑えざるを得なかったため、「車両繰りの問題から、増発も難しかった」(同社)。
 減速運転区間の解消は架線とレールの位置や勾配の微調整を重ねることで実現した。仙台支社は「最終的には1ミリ単位の精度が求められる作業になった」と説明する。
 東北の観光はこの間、苦戦を強いられてきた。観光庁の調査では、春の大型連休中の主要観光施設の入り込み客は前年比41%減。JR東日本や青森県が4〜7月に開催した大型観光宣伝「青森デスティネーションキャンペーン(DC)」も当初は期待通りの集客効果がなかっただけに、「完全復活」した新幹線への期待は大きい。
 青森県観光交流推進課は「国内最速の『はやぶさ』(東京―新青森)のスピード回復は朗報だ」と語る。
 東北への入り込み客数のV字回復を願い、JR東日本はダイヤ正常化を祝って23日、主要駅で地元の特産品などを乗客に配布。仙台駅では宮城県の観光PRキャラクター「むすび丸」も登場し、バッジなどを配った。
 状況は好転しつつある。岩手県平泉町の入り込み客は4月に前年同月の14%まで落ち込んだものの、「平泉の文化遺産」が6月に世界遺産登録されてからは一気に回復。8月は前年同月比82%増まで上昇した。
 岩手県内では「いわてDC」が2012年4〜6月に行われる。実施主体の推進協議会はことし10月、大手旅行会社対象の説明会を東京で行い、旅行商品の開発につなげる。
 DCは13年春に宮城県、同秋に秋田県でも開催予定。新幹線の復旧はキャンペーンに合わせた商品開発の弾みになる。
 いわてDC推進協の事務局を担う岩手県観光課は「新幹線の全面復旧で利便性が向上すれば観光客は必ず増える。被災地の経済復興を後押しできる」と力を込める。


2011年09月24日土曜日


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