幹細胞治療とは
幹細胞とは、色々な細胞に変化できる能力である多分化能と、細胞分裂をしても多分化能を維持できる能力である自己複製能を併せ持つ細胞の事を言います。
その種類は様々で、ES細胞と言われる胚細胞から作られるものや、iPS細胞のように通常の細胞を加工して幹細胞にしたものなどもあります。
身体の中には元々幹細胞が存在していて、骨髄の中、脂肪の中、脳の中や関節の周囲など色々な所に存在しています。
当院では、その幹細胞の内の「間葉系幹細胞」を取り出し、身体の外で数を増やした後に身体に戻す治療を行っています。
幹細胞治療は基本的な治療を十分受けられたにも係わらず、辛い症状が残っている方にお勧めする治療法です。
幹細胞治療の詳細につきましては、外来にて担当医師に直接お尋ね下さい。
尚、コンサルテーションは予約制となっております。
コンサルテーション代は自費扱いとなりますが、治療を行う段階で、幹細胞治療代からコンサルテーション代分を引かせて頂きます。
コンサルテーションを受けられる際には、今まで受けてこられた治療内容が分かる資料をご持参下さい。
料金
1億個(1×108)の細胞での治療 | |
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細胞採取・分離・培養・治療代 | 1,500,000円(税別) |
当院で骨髄由来の細胞を使う理由
骨髄の中には、ある一定の確率(単核球層にある細胞の1/3000)で、MUSE細胞と呼ばれる細胞があると言われています。
MUSE細胞はMultilinage-differentiating Stress Enduring Cellの略です。東北大学の出澤真理教授、京都大学の藤吉好則教授によって報告された「第3の多能性幹細胞」と呼ばれる細胞で、表面にSSEA-3と呼ばれるマーカーがあるのが特徴とされています。
ES細胞やiPS細胞などと同様に、三胚葉全ての細胞に分化することができ(身体のほとんどの細胞に変化することができ)、その上、ES細胞やiPS細胞のような癌化する危険性が少ないと言われている細胞です。
この細胞は骨髄や皮膚で見つかっている為、当院ではより高い治療効果を目指して、骨髄由来の間葉系幹細胞を利用した治療を行っております。
料金を安くできた理由
幹細胞を増やす際、コストがかかるのものとして、培養液(細胞を育てる為の液体)があります。細胞の数が増える程、育てるのに必要な培養液の量が増え、その分コストが高くなってしまいます。
当院では、少ない培養液で培養できるよう、細胞の数をぎりぎりに抑えることで、治療にかかる値段を削減することができました。
また、当院の細胞培養は、全て自前の培養装置を使用して行っており、東京都内で培養を行っておりますので余分な費用がかかりません。その事も値段を抑えられる要素になっています。
幹細胞治療の効果
幹細胞を増やして身体に戻すことで、以下のような効果が期待できます。
1幹細胞が放出する物質(サイトカン)による効果
幹細胞から放出される色々な化学物質は生体内の反応を調節します。
その中でもインターロイキン10は、Th-1サイトカインを抑制することでTh-1細胞の過活動を抑制し、免疫反応を抑制する効果があります。
その事からリウマチ性疾患、変形性関節症など自己免疫に関連した疾患に効果が期待できると言われています。
また、NK細胞を経由してIFN-γを低下させる作用があり、その結果、炎症を抑制する事が出来る為、炎症を伴う疾患にも効果が期待できます。
幹細胞が放出するサイトカインの中には様々な組織の細胞を活性化する物質も含まれており、例えば、脳梗塞で損傷した神経や脊髄損傷後、パーキンソン病などにも効果が期待でます。
脳梗塞後麻痺・パーキンソン病・リウマチ性疾患・脊髄損傷後麻痺・変形性関節症・多発性関節炎・関節軟骨疾患
2細胞自体が変化する効果
間葉系幹細胞は、その細胞自体が骨細胞、心筋細胞、軟骨細胞、腱細胞、脂肪細胞などに変化する事が確認されています。
最近では更に脳神経の細胞、肝臓の細胞、膵臓の細胞などにも変化する事が確認されており、幹細胞を移植することで、損傷を受けた細胞を補える可能性を持っています。
脳梗塞後麻痺・パーキンソン病・リウマチ性疾患・脊髄損傷後麻痺・変形性関節症・多発性関節炎・関節軟骨疾患・末梢動脈疾患・糖尿病・腎機能低下・肝機能低下・心筋梗塞
3血管を作る作用
幹細胞は血管を作る作用が強い事が知られています。
幹細胞を投与することで、新しい血管が作られ、血流の悪かった部分の血流を回復する可能性があります。
末梢動脈疾患・脊柱管狭窄症・狭心症・心筋梗塞
治療の内容
採取方法
腸骨(腰の骨)から骨髄液を採取し、その中から幹細胞*を分離します。
その後、細胞培養を行い、細胞の数を1×107から108個まで増やした時点で身体に戻します。
培養の期間は概ね3〜4週です。
培養方法
牛の血清を使用する方法と、人の血清を使用する方法とがあります。
投与方法
1.経静脈的投与
大半の疾患に対しては、点滴のように静脈経由で投与を行います。
30分〜1時間かけて投与を行います。
2.硬膜内投与
中枢神経疾患(脳梗塞後麻痺、パーキンソン病、脊髄損傷後麻痺など)に対して行う事があります。背中から針を刺し、神経の周囲に直接細胞を投与します。
3.経皮的投与
皮膚越しに治療を行いたい部分に直接、幹細胞を注射します。
末梢動脈疾患に対して行う事の多い方法です。
4.関節内投与
関節の中に直接、幹細胞を注入します。
変形性関節症、関節軟骨疾患に対する治療の時に用いられる場合があります。
※有効性について
海外ではすでに幹細胞による治療が開始されていて、治りにくいと言われている症状が改善するケースも報告されております。
しかし、現時点ではまだ完全に確立された治療ではなく、また効果についても未知数な部分があり、必ず症状が改善するとは言えないのが現状です。 また、有効率についても不明です。
※副作用について
投与後に発熱を認める事があります。投与部位の掻痒感、痛みなどが出る事があります。
牛血清を使用して培養をした場合、未知の感染症の可能性については否定しきれません。
細胞が癌化する可能性は実験レベルではありません。
血栓や塞栓を作る可能性も現在の所、報告されておりません。
治療の流れ
問診
治療の適応となるかを判断致します。
その際に、今まで受けられた治療内容が分かる資料をお持ち下さい。
評価
現在の状態がどのような状態か、運動機能も含め評価致します。
骨髄穿刺
間葉系幹細胞を採取する為に、骨髄液を腸骨から10ml採取します。
- ベッドにうつ伏せになります。
- お尻から腰にかけて消毒を行います。
- 局所麻酔の注射を行います。
- 腸骨に骨髄穿刺針を刺し、骨髄液を採取します。
- 穿刺部位を圧迫固定します。
*当日の入浴はお控下さい。
培養
研究室にて培養を3〜4週間行います。
投与
1×108個程度の細胞を3回に分けて投与を行います。
リハビリテーション
必要に合わせてリハビリテーションを行います。