人気絵師編

藤ちょこが鮮やかな色彩で描く、ガラスと宇宙の空間

第1回アナログとデジタルを使いラフ~キャラの線画

[1]キャンバスの作成
[2]ラフ
[3]作画のガイドとなるパース線を作る
[4]下描き
[5]線画の読み込み

 

[1]キャンバスの作成

IllustStudioを起動させ、キャンパスを新規作成します。
のちのちの動作速度や、印刷する際の解像度を考え、A4 350dpiを基本に作業することが一番多いです。

(1)イラストを描くための新規キャンバスを作成します。[ファイル]メニュー→[新規作成]を選択し、新規作成ダイアログを表示します。

[既定のサイズ]を「A4(350dpi)」に変更、[横]にチェックしキャンバスのの向きを横にします。

 

今回もA4サイズ、解像度350dpiで新規作成し、構図的に若干横幅が余分だと思ったので、「キャンバスサイズの変更」で横幅を削って、291mm(4010px)×210mm(2894px)の画面で描くことにしました。

(2)[編集]メニューから[キャンバスサイズの変更]を選択します。

 

(3)[キャンバスサイズの変更]ダイアログで幅を「4010px」に変更します。

 

[2]ラフ

IllustStudioを起動させ、まずはザッとラフを描きます。

 

頭の中のイメージを確認し、人物や小物、動物のおおまかな配置などを描いて、きちんとした構図が取れているかどうか確認する作業です。
1~3点、多いときだと5点以上ラフを描いて、その中からいちばんしっくりきたものを選び、描き進めていきます。

使用ツールは鉛筆の「シャーペン」、サイズは、ざっくりラフを描くためなので大きめの28.5ピクセルです。

特に設定はカスタマイズせず、手ブレ補正なども初期設定のまま描いています。

 

[3]作画のガイドとなるパース線を作る

ラフをもとに消失点を決めます。
下描きはアナログで進めるため、パース定規を使いアタリ用のパース線をひきます。
まずパース線を引くためのレイヤーを作成します。

(1)[レイヤー]パレットの[新規ラスターレイヤー作成]をクリックし、レイヤーを作成します。

 

(2)「定規」メニュー→「パース定規」→「一点透視を作成」で、まずは奥行きのパース線を作ります。

 

(3)定規をラフの消失点に合わせます。

 

定規の操作方法について詳しくは、IllustStudioトラの巻「第25回 パース定規の使い方・基本編」をご覧ください。

(4)[鉛筆]ツールの「シャーペン」、サイズは8.0くらいで線を引きます。

パース定規のスナップを有効にして、それに合わせて線を引いていきます。

(5)[定規]メニューの[スナップ]と[スナップ先を設定]→[パース]にチェックが入っていることを確認します。

 

(6)細めの線で、なるべく沢山、特にパースを確認しながらの作業が必要なモチーフがある箇所には重点的にパース線を引いておきます。

 

同じようにあと二つの消失点に合わせたパース線を引きます。

別々のレイヤーにそれぞれ一点透視定規を作成し、別の消失点からも色を変えて線を引いていきます。

 

一点透視の定規を使用していますが、絵としては三点透視の絵です。

IllustStudioには二点透視、三点透視の定規もありますが、個人的に一点透視の定規がいちばん動かしやすく使いやすいので、一点透視定規を多用することによって、三点透視のパース線を作り出しています。

また、それぞれのパース線の色を変えているのは、これを下敷きにして下描きを作成する際、どの線がどこの消失点から延びているものなのか混乱しないようにするためです。

ラフを描いたレイヤを非表示にして、パース線だけを表示させます。

 

[4]下描き

パースで作ったガイドラインをプリントアウトし、トレース台で透かしながら、鉛筆で下描きを描きます。

 

下描きはキャラクターをはじめに描き、ついで周りの動物たち、最後に背景という手順で描きました。
下描きが終わったら、それをスキャンしてパソコンに取り込み、ざっと大まかな陰影をつけます。

 

画面のだいたいのイメージを確認する作業です。
あらたにパソコン上で、木や、シカの背中に乗っている本などを描き足しているのが見て分かると思います。

少女の髪の色や、空の色など、現段階ですでに確定している色は置いておきますが、色は塗りながらその都度決めていくタイプなので、特に詳細な色ラフは作りません。

そして、これをまたプリントアウトし、線画の清書に移ります。

 

[5]線画の読み込み

主に、キャラクターや自然物など、曲線の多いモチーフはアナログで、人工物など、直線の多いモチーフはパソコンで線画を作るようにしています。

曲線にはアナログ特有のやわらかい線を生かし、直線にはCGの綺麗でシャープな線を生かすためです。
プリントアウトしたものをトレース台で透かしながら、線画を清書していきます。

 

画像はかなり大きめにプリントアウトしています。

鉛筆だとどうしても、パソコン上でペン入れするほど細く描けませんが、大きめに描いた線画をあとで縮小すれば、線も細く、またキレイに見せることができます。

 

鉛筆での清書は、消しゴムをかけすぎると汚くなってしまうため、なるべく一発で、キレイな線が引けるよう注意しつつ描いていきます。

線画はキャラクター、動物ごとに6枚に分けました。
これは、のちのち動物の位置を微妙に調整したりする際に、やりやすくするためです。

 

線画の清書が終わったら、1枚1枚スキャンしてパソコンに取り込みます。

(1)[ファイル]メニューから[読み込み]→[スキャン]を選択し、線画を1枚取り込みます。

 
POINT

白を透明に!

スキャンした画像はカラーレイヤーに取り込むと白地のある線画になります。
そのため線画を取り込んだレイヤーより下のレイヤーに彩色しても見えません。

 

カラー(32bit)レイヤーをグレー(8bit)レイヤーに変換すると白地が透明になります。

(1)白地を透過したいレイヤーを右クリックし、[レイヤーの変換]を選択します。

 

(2)[レイヤーの変換]ダイアログで[表現色]を[グレー(8bit)]に設定し[OK]をクリックします。

 

白が透明になり下の色が見えるようになります。

 

スキャンの際、ゴミがたくさん写ってしまっているので、ゴミを取り除きます。

(2)まず[ツール]パレットから[投げなわ選択]ツールを選択し、キャラの周りを大きく囲みます。

 

(3)[選択範囲ランチャー]から[選択範囲外をクリア]をクリックしてキャラの周りのゴミを有る程度消します。

 

(4)次に、[フィルタ]メニューから[明るさ・コントラスト]でコントラストを32程度まで上げます。

 

これでほとんどのゴミは見えなくなりましたが、原寸表示にして、キャラの内部なども確認し、ゴミがあったら適宜[消しゴム]ツールで消していきます。

他の動物たちの線画も、同じように処理をします。

POINT

[ゴミ取り]ツールと[ゴミ取り]フィルタ

IllustStudioにはスキャンした画像のクリンナップに便利な[ゴミ取り]ツールと[ゴミ取り]フィルタがあります。

小さなゴミ(点)を簡単に消すことができます。

詳しい使い方はIllustStudioの質問集「スキャンした画像をクリンアップしたいのですが?」をご覧ください。

 

線画をパソコン上で合成します。
下描きの画像をうすく表示させながら、それに沿って各線画を縮小し、画面に貼り込みます。

(1)[レイヤー]パレットから縮小させるレイヤーを選択します。

 

(2)[編集]メニューから[移動と変形]→[拡大・縮小]を選択します。

 

(3)[移動と変形プロパティ]パレットの[元画像の比率を維持]にチェックを入れます。

 

(4)赤いガイド線をドラッグし、下絵に線画を合わせます。

 

(5)同じように他の線画も下絵に合わせ縮小します。

 

レイヤーは、動物ごとに分けて名前をつけておきます。

構図のバランスを見ながら、下描きより若干キャラを小さめにしたり、位置を変えたりなど、微妙な配置の調整を行っています。

 

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