事件【主張】サイバー攻撃 国家を挙げた防衛態勢を2011.9.21 03:36

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【主張】
サイバー攻撃 国家を挙げた防衛態勢を

2011.9.21 03:36

 日本の防衛産業の代表である三菱重工業の本社や造船所などのサーバーやパソコンがサイバー攻撃を受けてウイルスに感染していた。

 同社は日本の防衛・安全保障に深く関わり、ライセンス契約などで米防衛産業との関係も深い。製品や技術情報の流出は確認されていないというが、ミサイルや潜水艦などの機密情報が狙われた可能性が高い。同じくサイバー攻撃を受けたIHIも含めて国の安全に関わる深刻な事件と受け止め、国家として的確に対処すべきだ。

 企業側には何が流出したかの徹底調査と情報管理の強化が欠かせず、警察当局には徹底捜査を求めたい。だが、最も必要なことは、省庁の縦割りを超えた国家としての取り組みだ。政府が強力な司令塔機能を担い、早急に官民一体の防衛態勢を築く必要がある。

 具体的には法の整備と司令塔の設置だ。法整備面では、サイバー犯罪を取り締まるために、ウイルス作成、配布罪を新設した改正刑法が6月に成立した。

 一方で、政府は平成17年に内閣府に情報セキュリティセンターを設置し、情報セキュリティ基本計画を立案した。毎年、計画を更新しているものの防衛態勢が充実しつつあるようにはみえない。

 日本の政府機関は昨年秋と今年7月にサイバー攻撃を受け、警察庁は「発信元の約9割が中国」と断定した。米欧諸国で多発するハッカー攻撃も、その大部分が「中国人民解放軍による組織的犯行が濃厚」とされている。

 今年の防衛白書や警察白書はサイバー攻撃の脅威を強調するが、組織ぐるみで攻撃するような国家に対処するにはどうすべきかを考えていないようにみえる。国家としての実効ある対抗措置について検討すべきだ。

 米国は国家への悪質なサイバー攻撃を「戦争行為とみなす」とする厳しい方針を定めている。2年前に大統領府に「サイバーセキュリティ調整官」を設置し、昨年5月には、国防総省が軍事対応を含むサイバー司令部を創設した。

 米国は同盟国日本へもサイバー安全保障で協力の強化を求めている。防衛省や警察庁を中心に、政府全体で危機対応力を高める努力を怠ってはならない。軍事技術や機密情報の防護を目的にした外為法の見直しや、国家秘密法(スパイ防止法)の制定も急がれる。

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