AviUtlでDVDを綺麗にアップコンバートする 「その3 変換編」



[ソフト] AviUtlでDVDを綺麗にアップコンバートする。「その1 導入編」
[ソフト] AviUtlでDVDを綺麗にアップコンバートする。「その2 設定編」
[ソフト] AviUtlでDVDを綺麗にアップコンバートする。「その3 変換編」

AviUtlでDVDを綺麗にアップコンバートしてH.264のMP4ファイルとして保存する方法の紹介も、いよいよこのエントリーで完結です。その3ということで、DVDのリッピングからMP4動画の完成までを紹介したいと思います。
今回は空の境界ではなく、秒速5センチメートルを使って説明します。

ちなみにこのエントリーを書くとき、その1とその2も修正しています。前に読んだよ、という人ももう一度読むと、なお分かりやすいかと思います。




さて今回、DVDからリッピングしてアップコンバートするのは、「秒速5センチメートル 特報ムービー」です。
DVDに特典として収録されている映像で、38秒の短い動画ながら実によい映像です。短いのでエンコードのテストとしてもピッタリな映像ですねw


DVDのリッピング
まずはDVDをドライブに挿入しましょう。そしてDVD Decryptorを起動します。


「入力先」の「ラベル」には「5CM_S」と表示されると思います。
「出力先」には任意のフォルダを指定しましょう。


特報ムービーだけをリッピングするために、チャプターの指定をします。
「入力」タブには「VTS_01」「VTS_02」というように、いくつかの親階層があります。そこから1階層下に、各映像が収められています。ここから特報ムービーを選択するのですが、映像は「PGC X」というように連番になっていて、どれがどの映像なのか分かりません。横に映像の時間が表示されているので、そこから判別します。
特報ムービーは38秒。なので親階層「VTS_02」を降りた「PGC 1 [00:00:38]」が特報ムービーです。画像のように映像のタイトルをクリックして選択した状態にしておきます。


それでは画像のようにボタンをクリックして、リッピングを開始しましょう。3秒くらいで完了するのではないかと思いますw
リッピングが終わったら、出力先に指定したフォルダに「VTS_02_1.VOB」という名前のファイルがあることを確認しましょう。


音声の抜き出し
DVD2AVIを使ってVOBファイルから音声をWAV形式で抜き出します。

ソフトを起動し、VOBファイルをそこにドロップします。

シークバーを適当に操作し、動画がちゃんと読み込まれているか確認しましょう。

「音声→処理形式」とクリックし、「WAVで出力」を選択します。
「プロジェクトの保存」をクリックします。保存する場所と名前を決めます。VOBファイルと同じ「VTS_02_1」にしておくのが良いかと思います。そして「保存」をクリック。指定した場所に「VTS_02_1 AC3 T01 2_0ch 192Kbps 48KHz.wav」と「VTS_02_1.d2v」が保存されていることを確認して下さい。「VTS_02_1.d2v」は不要なので、削除しても結構です。

ちなみに抜き出した音声に「192Kbps 48KHz」と書いてあるのは、この抜き出した特報ムービーの元々の音質が192Kbps 48KHzだからです。あくまでオマケの映像だからでしょうか……。本編はしっかり無圧縮PCMです。


AviUtlでのファイルの読み込み
AviUtlを起動します。

先ほど保存された「VTS_02_1.VOB」をAviUtlにドロップすると、映像が読み込まれます。シークバーを動かして確認して下さい。
AviUtlではVOBファイルを読み込んでも音声を認識しません。のこのままでは音声のない動画が出来上がります。なので先ほどDVD2AVIを使って抜き出したWAVファイルをさらに読み込ませます。
VOBを読み込んでいる状態で「VTS_02_1 AC3 T01 2_0ch 192Kbps 48KHz.wav」をAviUtlにドロップします。


このように、映像の下に音声の波形が表示されていれば、無事WAVが読み込まれています。


各フィルタの適用
設定編で既にフィルタを有効にしていると思いますが、もう一度確認しておきましょう。


メニューの「フィルタ」から、
エッジレベル調整
Lanczos 3-lobed 拡大縮小
nonlinear sharpen
prefilter nonlinear sharpen
WarpSharp

が有効になっていること、他のフィルタが無効になっていることを確認して下さい。ちなみにAviUtl標準のリサイズ機能はオフにしておきます。「設定→サイズの変更」で「なし」にチェックが入っていることを確認しておいて下さい。

また、インターレースの解除も忘れずに。「設定→インターレースの解除」とクリックし、「自動フィールドシフト」を選択します。


H.264 + AACでエンコード
「ファイル→プラグイン出力→拡張 x264出力(GUI)」とクリックします。
エンコードした動画の保存場所と名前を指定します。保存する動画の名前は、「5CM_S_upcon_test.MP4」とでもしておきましょう。

エンコード設定の再確認を行います。「ビデオ圧縮」をクリックします。


設定編の通りにプリセットを適用していれば、画像のようになっていると思います。「neroAacEnc.exe」の場所をちゃんと指定していますか?


さて、いよいよ変換ですが、ただ普通に変換する方法と、バッチ登録をして変換する方法の2つがあります。2つの違いは、バッチ登録をしておくと変換終了時にAviUtlが行う動作を選択できること。例えば、変換終了時にWindowsをスタンバイしたり、電源を切ったりすることが出来ます。
今回はバッチ登録してエンコードしてみましょう。「バッチ登録」をクリックすると保存画面が終了します。


「ファイル→バッチ登録」とクリックすると、画像のように「バッチ出力テスト」画面が出ます。
「5CM_S_upcon_test.MP4」が追加されているか確認しましょう。
「バッチ出力終了時に」というところでは、エンコード終了時に行う動作を選択できます。今回は終了時にWindowsをスタンバイさせてみましょう。「ウィンドウズをサスペンド」を選択します。

ではエンコードを開始しましょう。「開始」をクリックして始めます。


フィルタをいくつか適用しているので、かなりエンコードには時間がかかります。俺の環境はCore 2 Quad 6600 2.4GHz、メモリは3GBです。エンコード時のプロセス数は65。CPU使用率は60~70%の間で推移していました。そして肝心のエンコード時間はおよそ15分。なんと動画の時間の約24倍も時間を要しますw
非線形処理な先鋭化フィルタとエッジレベル調整を有効にしていることが原因だと思います。さらに2パスでエンコードしているというのも原因の一つです。ま、速度をとるか、画質をとるか、ですね。この辺は皆さん各自で調整してみて下さい。


エンコードが終了したら、Windowsがスタンバイになったと思います。復帰して、指定したフォルダに「5CM_S_upcon_test.MP4」が保存されているでしょうか。確認して下さい。
早速プレイヤで再生し、ちゃんと綺麗にアップコンバートされているか見てみましょう。いい感じですか?


それでは、以上で終了です。お疲れ様でした。
その1からその3まで、結構な手間がかかってしまいます。ですが流石にそれに見合った効果はあります。一度設定を固めてしまえば、次以降は手順も少なくて済みますしね。
このように面倒なアップコンバートですが、アプコンが如何に面倒であるか、それは分かってもらえたと思いますw PS3などはやはり凄いですね。PS3でDVDをアップコンバートして再生しているものを見たことがありますが、綺麗でした。リアルタイムであそこまでするとは、次世代の名を冠しているのは伊達ではないですね。

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