名古屋が3−1で神戸を下し、3試合ぶりの白星で勝ち点を53で暫定2位に浮上した。1−1の後半に藤本、ケネディが得点した。神戸は2連敗で勝ち点35。C大阪は山形に6−0で大勝して、勝ち点36。山形は同20。第27節の残り試合は、24日にG大阪−甲府など5試合、25日に柏−大宮など2試合が行われる。
◆名古屋3−1神戸
左後方の小川のクロスに、185センチの闘莉王と194センチのケネディがゴール左前に飛び込んだ。中央寄りに陣取った闘莉王がケネディの頭を越えて飛んできたボールを頭でたたき込んだ。前半10分、FKからの連続攻撃で、前線に残ったままだった闘莉王が生んだ同点劇。試合を振り出しに戻した闘莉王はすぐに最終ラインで神戸の攻撃に備えた。
アシストした小川は闘莉王の頭を狙ったわけではなかった。「高い選手がいるから何とかなる」というハイボールを上げたのだ。このアバウトなもくろみが、ちゃんとゴールにつながった。
前半4分に先制を許す苦しい試合。特に前半。神戸の組織的な守備に押され、パスミスを連発、中盤でたびたびボールを奪われた。そのたびに絶叫し、ピッチに背を向けたストイコビッチ監督は、ハーフタイムで猛烈なゲキを飛ばした。藤本には「もっとゴールの近くでプレーしろ」と指示。指揮官の怒りに、チーム全体に緊張感が走った。
後半は神戸守備陣の裏のスペースを突くロングボールを多用した。パスで崩せないのなら、ロングボールで相手チームを背走させれば、個人技が生きる。前線への飛び出しを狙った藤本が後半16分、右サイドをDF2人を抜き去り左足でミドルシュート。清水時代からの得意の形で得点し逆転に成功した。
闘莉王は「単純に裏のスペースにけり出してからやっと試合になった」と、厳しい表情で振り返った。ただ皮肉なことに、苦しみながらも勝利で終わったこの試合こそ、グランパスに特有の強さを端的に表している。同点弾はツインタワーからの力業。勝ち越し弾は藤本の個人技。ダメ押し弾は後半41分、藤本に代わって出場した永井が相手DFを抜き去り、ケネディのゴールへつなげた。永井のたぐいまれなスピードも名古屋にしかない強み。
「ほかのチームなら打つ手がなくなる場合でもウチの場合は個の強さがある」。闘莉王の言葉には実感がこもっていた。
勝ち点3を重ねたグランパスは暫定2位に浮上。J1は残り7試合。連覇達成のためには美しさよりも勝ち星。試合後、「良かったのは勝ったことだけ」と吐き捨てた闘莉王だったが、「この勝利は大きいよ」と安堵(あんど)の表情も見せた。前半26分に警告を受け、次節の清水戦は累積警告で出場停止となる。「次は何があっても勝ってきてほしい」とチームメートに勝利を託した。 (伊東朋子)
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