水素爆発を起こした東京電力福島第一原子力発電所1号機で、原子炉を覆う格納容器につながる配管に、比較的、高い濃度の水素がたまっていることが分かりました。東京電力は、再び水素爆発を起こす可能性は低いとしていますが、念のため、水素の濃度を下げる対策を取ることにしています。
福島第一原発1号機では、事故で発生した放射性物質を含むガスが格納容器の内部にたまっていて、東京電力は格納容器につながる配管を切断し、放射性物質を取り除く浄化装置に接続する計画です。ところが、切断を予定していた場所に近い原子炉建屋の1階にある配管の2か所で、1万ppm、つまり1%を超える濃度の水素が検出されたということです。東京電力では、仮に水素の濃度が4%以上あり、さらに高濃度の酸素と反応した場合、水素爆発のおそれがあるとして、近くの弁から窒素を入れて水素濃度を下げるなど対策を取ったうえで、配管の切断を行うとしています。東京電力は現在、1号機で格納容器の水素の濃度を下げる窒素を送り込む作業が続けられているため、格納容器につながる配管に外部から酸素が入り、実際に水素爆発が起きる可能性は低いとみています。また、この対応で事故の収束に向けた作業が遅れることはないとしていますが、同じように放射性物質の浄化を検討している2号機と3号機についても、配管などの水素の濃度を調べることにしています。福島第一原発1号機の配管で水素が高い濃度で見つかったことについて、原子力が専門の東京大学大学院の岡本孝司教授は「水素爆発を引き起こした水素が今も残っていたか、原子炉などの水が放射線によって分解され発生したか、両方の可能性が考えられ、格納容器を通じて配管にたまったとみられる。1号機の格納容器には、今も窒素を注入し続けているため酸素濃度が低く、水素爆発が起こる条件には達しないとみられるが、局所的に水素濃度が高い場所はほかにもあるだろう。今後、水素濃度を慎重に確認しながら作業に当たる必要がある」と話しています。