男女交際の経験がある女子高生のうち、交際相手からメールをチェックされたり友人関係を制限される「社会的暴力」を受けたことがある生徒が3割を超えていることが、NPO法人「ウィメンズネット・こうべ」(神戸市)の「デートDV」(同居していない恋人間の暴力)調査で分かった。男子生徒の被害も2割に達している。【反橋希美】
08~10年、京都、大阪、兵庫の32高校の生徒を対象に、学校の協力を得てアンケートを実施。男子4630人、女子5052人、性別未回答427人の計10109人から回答を得た。交際経験があったのは男子41・2%、女子53・2%だった。
交際経験者に(1)ある(2)少しある(3)あまりない(4)ない--の4段階で体験を聞いたところ、社会的暴力の被経験者((1)~(3)の合計)は女子32・9%、男子20・9%にのぼった。
また、女子の27・3%、男子の15・4%が「バカにされたり無視される」などの精神的暴力を、女子の15・2%、男子の9%が「たたく、ける」などの身体的暴力を受けた経験があった。「キスや性行為を強要される」などの性的暴力を受けた人の割合は女子の17・8%で、男子も7・9%が経験していた。
「交際相手を怖いと感じたことがあるか」と聞いたところ、一度でも怖いと感じたことがある人(「ある」「少しある」「あまりない」の合計)は女子が34・1%にのぼったが、男子は13・3%にとどまった。また、女子の28%が、一度でも「相手に絶対に逆らえないと感じたことがある」と答えた。
交際経験のない生徒を含めてデートDVへの考えを聞いたところ、男女の2割以上が「他の人と話したり出かけたりするのを交際相手が制限するのは好きな証拠」「暴力をふるわれる方にも悪いところがある」との主張に肯定的な意見を示した。
内閣府が08年に実施した調査(20歳以上対象)でも、女性の13・6%が10~20代のうちに交際相手から身体的、精神的、性的暴力のいずれかを受けたことがあると回答していた。
同ネットの正井礼子代表理事(62)は「高校生世代から、一部の男女間に支配関係がある。中学3年生ごろから、相手を対等な関係として尊重するよう授業で教えるべきだ」と話している。
毎日新聞 2011年9月20日 大阪朝刊