【ニューヨーク白戸圭一】オバマ米大統領は21日夜、国連総会出席のためニューヨーク訪問中のパレスチナ自治政府のアッバス議長と会談し、パレスチナが国家として国連加盟を申請すれば拒否権を行使する立場を直接伝えた。しかし、パレスチナ側は23日に加盟申請する構えを崩しておらず、米政府はクリントン国務長官とアッバス氏との会談などを通じ、申請取り下げの説得を試みる。
オバマ大統領はアッバス議長に申請見送りと共に、イスラエルとの和平交渉を再開するよう促したとみられる。だが、会談後、パレスチナ自治政府高官は毎日新聞に「現段階で方針に変更はない」と述べ、アッバス議長が会談で加盟申請を強行する考えを米側に伝えたことを示唆した。
オバマ大統領は21日の国連総会の一般討論演説で、加盟申請に反対する考えを明言。ネタニヤフ・イスラエル首相との会談でも「和平は押し付けられるものではなく、交渉に基づかなければならない」と語り、加盟申請を見送るようパレスチナ側に求めた。
一方、オバマ大統領とアッバス議長の会談に先立ち、パレスチナ自治政府のシャース議長顧問は記者会見で「我々は国家として加盟申請する。反対しているのは1国だけだ」と述べ、国連安保理での拒否権発動の方針を明らかにしている米政府を批判した。
ただ、シャース氏は「加盟申請が安保理に付託された後、一定の時間を安保理に与える」とも述べ、安保理で一定期間、実質的な審議が行われないことを覚悟の上で加盟申請する考えを示唆した。
毎日新聞 2011年9月22日 東京夕刊