THE SHOW MUST GO ON:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) THE SHOW MUST GO ON

通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

台風一過の快晴の空を見上げながら出勤した今日。舞い散った落ち葉やら壊れた傘などが無ければ本当に昨日の事すら忘れてしまいそうな穏やかな日だったりしますが、実際には各所で大変な状況になっていたわけです。因みにかく言う私自身も見事に帰宅難民となっていたのですが、幸か不幸か仕事の山と重なり、オフィスを出た時点では通勤のために使っている電車の路線も全列車各駅停車とはいえスムーズに運行されていて、混乱と呼べるような状況には全く会わずに帰宅する事が出来ました。

ただし、これはたまたま遅くなった事情があり、台風の通過後に帰宅するような状況であったからで、自分自身が何かしらその場でサバイブするための準備や手段が役に立ったわけで無いのは理解しています。でも、ちゃんとそれなりに備えていたのは事実です。だって、台風には予想進路を始めとする予報が存在しますから。

 

事前にわかっている事は既にリスクではないという理解再考

以前に自分のエントリーでも書いた事があるのですが、リスクとは不確定要素であり、危険要素ではないという理解のしかたをしています。したがって、影響度合いが予測でき、かつ対応策が考えられるものについては既にリスクではないという理解です。それを踏まえつつ自然災害について言うと、たとえば地震が起きることとその影響自体はリスクですが、起きたときにどうするかという対策は既にリスクマネジメントの範疇とは理解していません。

じゃぁ今回のような台風はどうよ?という話でいうと、そもそも近づいてくるまでに色々な形での予報や状況に対する報道に触れる事が出来ます。それ自体の勢力や進路、近づいてくるまでの途中における被害などの出方によって対策は幾らでも取れるわけです。対策が取れる=単に状況に対応するだけの話、という理解です。

ただ問題は、その対応策をどのような立場でどうする立場なのかによって実際の行動は変わってくるわけで、正直一概にこうするべきだとは言いにくい話です。大里さんの経営者として判断が遅かった台風対応(反省)というエントリーや大木さんの【台風15号】状況判断の難しさと限界といったエントリーにあるように、それぞれの立場で何をどう理解し、どう判断するのかというところは私とは大きく異なる立場や経験を踏まえると当然違うところが出てきます。何が正解で、何が間違いなのかを単純に判断するわけには行きません。結果的に成り行きで取った行動が功を奏する場合もありますし、考えた末に一番混乱している状況に身を置くことになったとしてもそれ自体を責める事は出来ないわけですね。

ただし、そこにはあくまで大きな前提がつくと思います。それは「目の前の事をキチンと把握して自分なりに考えたのか」ということ。無策が単に対処するだけの事象をリスク化してしまう事が無いかというと、そうじゃないというのは冷静に見る必要があると思うんですね。簡単な事ではないですが。

 

ビジネス上のリスクというのはビジネスの場だけにあるのではないというコトは時々思い出すべき事項だという認識

日常のビジネスの場、あるいは社会生活を営む中でのリスクというのは自分が認知しているものだけではないのは当たり前の話です。もちろんそれらに遭遇しなければ幸せな訳ですが、時々一歩引いて色々な事象を眺めつつ自分の立ち位置やら周囲の環境やら、そしてもちろんそれらを取り巻く歴史的経緯などを掘り下げておく事は大事だと思っています。そんな事忙しくてやってられるかい!という話はあるでしょうが、思いもかけないところや気が付かないうちに酷い状況に巻き込まれる事が嫌なら、どこかでそういう動きをしていないと駄目です。

内容には深入りはしませんが、テレビ番組の編成の問題から不買運動に繋がるような流れとか、何かの切っ掛けから「世論」として企業や組織を断罪してゆくような流れとか、それこそ呼び止められて振り向いた瞬間にぶん殴られるような事象は実際に起きるわけです。もちろんそれら全てに対する情報を事前に収集し、理解し、回避策や対応策を検討しろなどとはいいません。ただ、事前にキチンと広く物事を見ていれば状況の判断や行動が変わってくる筈、というのが持論の私の場合、まったくの飛び火であればともかく自身の脇の甘さから自分で自分を陥れるような事だけは避けるべく努力をしようよというコトは思っています。

因みに、ぐるっと強引に台風の話にもどすと、気象に対する基本的な知識があれば、台風の進路の東側と西側での一般的な被害の出方の違いとかそもそも台風の進路は何が決定するかと言う部分の理解があれば、更には台風は基本的に通り過ぎるものであるという理解があれば、ひょっとしたら各交通機関の運行の混乱の場の状況がもう少し変わったんじゃないかとか思う部分はあります。

いや、もちろん勤務先から退避指示が出てオフィスから出るしかなかったとか、子供の迎えがあるからどうしても自宅に向かう必要があったとか、そもそも出先であったとか、お前に言われなくても台風とかについての知識ぐらいあるけどさとか色々な事情状況があるのは理解しています。でも、数日前から台風が接近してきている事自体は広く報道されていましたし、一昨日の時点で東海から関東を直撃する可能性がある事も発表されていました。ここに至るまでの雨の被害や勢力の情報から「電車が止まる可能性はあるよね」とか「暴風雨だと傘は役に立たないよね」といった事は判断できるわけです。

もちろんそんな事くらい考えたよって?いや、私ごときが偉そうにいうコトではありませんね。

 

bibendum_iwa

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コメント
Ifreeta 2011/09/22 15:54

台風が当たり前な九州に住んでいる者から言うと、台風の時には屋外に出ないです。

ardbeg32 2011/09/22 17:22

今回の台風、確かに来る事はわかってましたが、どれだけの被害や影響が出るか素人には一概に判断できないという点ではやはり予測不能のリスクだったんでは?
実際関西勤務のこちらでは、別段停電するわけでなく朝夕の電車が止まるわけでなく、名古屋は何を騒いでるんだろうくらいの対岸の火事状態でした。

しかし、リスクなんて無いんだよ、心配性だなぁなんてのは論外ですよね。きちんと一度考える、考えた上で判断する、評価とマネジメント。
それを当たり前としない風潮が日本人に多いのはなぜなのか興味が尽きません。

いわなが 2011/09/23 10:21

Ifreetaさん、コメントありがとうございます。
 
危ないから屋外に出ないというお話、なるほど確かにそれが一番良いのかもしれませんね。

いわなが 2011/09/23 10:27

ardbeg32さん、コメントありがとうございます。
 
そうですね。たとえば紀伊半島にいくつものせき止め湖を作った今年の12号のときには関東から見ると同じような状況であったのは事実ですね。どうしても自分の身に直接なにか振りかかってこないと現実感が無いし、それでも現実感が元々無いからいざその場に置かれても何をしていいか良く判らんと言うループなのかもしれないと思っています。
 
当事者意識や緊迫感を持ち続けるなんてのはとても難しい事ですが、少なくとも何も根拠が無いまま「自分は関係ないし、大丈夫だから」と思い込んでしまう事はしたくないものですね。


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岩永慎一

岩永慎一

外資IT、日本のIT系を経由して現在通信事業者に勤務。営業やSE、更にはコミュニケーション系を中心にありとあらゆるマーケティング関連の仕事を経験してきたが、現在は通信業界の特殊部隊として常に完全装備で課題に取り組む。

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